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【読書日記】 「〈オールカラー版〉美術の誘惑」を読む
まえがきの出だしに「美術は世の中に必要だろうか」と問われていて、興味津々で手に取りました。
第1刷:2015年6月20日
発行元:株式会社 光文社
著者:宮下 規久朗
内容:美術は、単に優雅な趣味の対象ではなく、社会や文化全般に強く関係する。政治経済と深く関わり、生老病死を彩り、人の欲望や理想を反映する―。西洋でも東洋でも、美術は歴史の局面で重要な役割を果たしてきた。そんな美術の誘惑についての、一期一会の物語、図版125点収録。 (amazonより)
著者のドラマ(ドキュメンタリー)でもあった。この本に感動した。
美術の専門家が書いた、「広く美術を知ってもらうための本」だと思って読んでいました。
ところが、最後の最後に大きな悲しみが述べられているともに、驚きと感動が待っていました。
一人娘さんを亡くされた著者の、美術に対する疑いや葛藤が伝わってきました。
改めて美術というものを見直し、これからを歩んでいこうとされる姿勢にも感動しました。
とても‘意外な本’でした。
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美術は単独では存在しない
美術の歴史は、それぞれの時代背景、政治、文化、経済と密接に関わっているということはよく本に書かれています。
私は、その意味がわかるようでわからないでいました。歴史があまり得意でないため、美術の背景についてはとっつきにくかったのです。
ところが、この本を通して、「そういうことだったのか」「もっと早く知りたかった」と思うことがありました。
ほんの少しですが、美術を単独で見るのでなく、いろいろなこととの関わりの中で見るとおもしろく、作品も理解できるということが実感できました。
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心に響いた一文「美術の誘惑とは…」
この本は、オールカラー版であり、多くの作品が美しいカラー写真で掲載されていました。
本文を読みながら作品の写真を見て、「なるほど」とか、「本物を見てみたい」と思ったり、私を刺激してくれました。
私は時々、図書館で美術大全集を時間を忘れ、眺めていることがあります。大きなカラー写真、ものによっては原寸大で部分が載っていることもあり、心にグンときます。
著者の書かれている通り、美術は私の感性を刺激し、感覚を揺さぶってきます。この一文に非常に共感しました。
そして、ますます、本物の美術作品と、より多くの時間をともにしたいと思いました。
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面白かったエピソード
・コレクターが自らの収集品を誇る心理の表現方法が、西洋と東洋では全く異なる。
・自画像は、自己愛の強いナルシシズムの表れ、名刺がわりにされたこともある。
・日本の植民地での官展とアジア美術の発展との関わり
・いろいろな作品に出てくる白い蝶と著者の娘さんとの関わり
「美術の誘惑」について、最後はドラマのように語りかけてくださった、素敵で、重みのある、この本に感謝します。
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