東大生が進路変更する理由【医師】【弁護士】

今回は、東大理系に入学し4年生まで進級した筆者が何故医学部再受験・予備試験といった方向への進路変更を検討しているかについて書く。

大まかに
・一般論として東大卒サラリーマンよりも士業の方がメリットが大きい
・自分の適性
の2点がある。

・一般論として東大卒サラリーマンよりも士業の方がメリットが大きい

この点に関しては、「東大卒の人生を考える」さんが以下の記事で分析している。自分の考えと大体同じなので、この記事に補足する感じで意見を述べたいと思う。

1.医学部の方が年収が高い
その通りである。
平均的に見れば、東大生の方が学力は高いだろう。医学部は全国に82校あり、その中で東大(理三以外)の偏差値を超えるのは5校、多く見積もっても10校程度なので、大体の医学部よりも東大の方が難しい。
にも関わらず、卒業後は医師の方が高収入である。
弁護士の平均年収は945万とのことだがこれは玉石混合であり、ある程度レールに乗っていれば東大卒の平均年収は超えると思う。

東大卒で高難易度資格を保有していない場合、医師・弁護士の平均収入を超えようとすると外資系投資銀行・コンサル・IT、総合商社あたりだろう。
外資系企業は競争に晒されるため士業ほどの安定感はなく、トータルの収入では多くの人は勝てないのではないか。外資系企業に入ったもののパフォーマンスが芳しくなく退職→謎のベンチャー、みたいな話はたまに聞く。

総合商社に居座れば65歳までの収入なら勝てるかもしれないが、士業は定年後も稼げることを考えたら生涯収入では士業に軍配が上がるだろう。

そもそも一流の外資系や総合商社の入社難易度は高く、東大生でも多くの人は入れない。
実際東大の先輩の就活事情を見ると、勉強以外の強みがない人は普通にこの時期でもNNTで苦しんでいる。

2.東大であっても卒業すればただの人
新卒就活や若い頃の転職なら大学名は関係するかもしれないが、その程度だと思う。

さらに言えば、東大卒ゴールドマンサックス勤務でも、高卒中小企業事務職でも、言ってしまえば同じサラリーマンである。一方、医者は川崎医科大学でも医者であるし、高卒でも司法試験に通れば弁護士である。
資格がある限りは多少キャリアで失敗してもやり直しやすいが、サラリーマンの場合は立て直しにくいだろう。(弁護士の場合は医者ほど働き方に自由度がないと思うので、失敗しまくっても大丈夫ということはないかもしれないが、それでも普通のサラリーマンよりは良いだろう)

3.医者の方が働き方の自由度が高い
そう思う。弁護士でも、普通のサラリーマンよりはやりやすいだろう。

4.医者の方が社会的ステータスが高い
そう思う。大学生の場合はステータスの一番上に大学名が来るので、東大生は
「大学生です」
「大学どこなん?」
「東大です」
「すごいね」
というやりとりを頻繁にしているが(別にすごいから何か意味があるのかと言われたら疑問だが)、社会に出てからはこうはならない。
社会人になるとステータスの上の方に来るのは職業・収入・居住地あたりだろう。話が進むうちに「そういえば大学どこなんですか?」となるかもしれないが、その程度だろう。

5.東大卒は勤務地が限定的
これは知らなかった。おそらくこれは文系の話で、理系の研究開発などは地方に行きがちだろう。まあしかし研究開発等に就いてしまうと、多くの人は高いとは言えない給料で田舎に幽閉されることになる。

6.医師の方が結婚しやすい
そう思う。先ほども述べた通り、社会人のステータス上位に来るのは職業・収入・居住地である。医師・弁護士とサラリーマンなら当然医師・弁護士の方が評価が高く、高収入である確率が高い。収入が高いほど良い場所に住める。

7.医師の方がドロップアウト耐性が高い
そう思う。

ここからは、他の点について書く。

8.士業の方が、身近な人の役に立ちやすい
東大卒ゴールドマンサックス勤務は、確かにすごいかもしれない。が、別に日常で何か人の役に立つことはできない。コンサルでも、商社でも、ITでも、基本的には役に立たないだろう。
一方、医師や弁護士は、知識・経験・資格を活かして身近な人の役に立てるだろう。

9.定年後も働ける
まず純粋にお金の問題がある。今の若者が死ぬ頃には、おそらく平均寿命は90歳を超えているだろう。その中で定年が65歳のままであれば、サラリーマンには死ぬまでの2.30年のお金を65歳までに貯めておくことが求められる。それ自体難しいだろうし、そもそも何歳で死ぬかも分からない。もしかしたら105歳とかまで生きるかもしれない。分からないにも関わらず、定年は決まっている。

また、お金の問題を抜きにしても定年はない方が良いだろう。今の70歳、75歳とかは普通に元気だし、定年後20年とか30年とか生きるとして、普通にやることないのでは?と思ってしまう。特に配偶者が早死した場合などは孤独だろう。
士業であれば、体が動く限りは働けて、他人と関わることができるしお金も稼げる。他にやりたいことがあるなら早めに引退すれば良い。

上記が士業のメリットである。
まあ片方のメリットだけ強調するのはフェアじゃないので、一応東大のメリットも述べておく。

1.早く社会に出られる
学部卒なら22歳で社会に出られる。修士だと24歳になって医師と変わらないが、医学部の進級の厳しさを考えると、修士でも平均的には医師よりは早く働けるだろう。医師や弁護士は卒業後も研修があるが、普通のサラリーマンにはない。
まあしかし筆者はあまり働きたくないので、学生という名のニートを続けることに不満はない。

2.若い頃東京に住める
医師との比較になるが、東京の国公立医学部は東大理三、医科歯科しかなく、両方とも難易度が異常に高い。よってほぼ全ての医学部生は東京以外の大学に行くことになる。別に東京が優れている訳ではないが、多くの人は東京に住みたいだろう。弁護士の場合は、東大や一橋、慶應などに通い司法試験を受ければ良いだけなので、このメリットはなくなる。

3.大学名のブランド(笑)がある
千葉大学医学部よりは東京大学のほうが聞こえが良い。だからなんだという話ではあるが。こちらも、弁護士の場合は東大と弁護士両方手に入るので、メリットにはならない。

4.学部学科によっては忙しくない
医学部は基本的に忙しいし、予備試験や司法試験の勉強をするのも大変だろう。士業を目指さないのであればここら辺の負担は無い。しかしこれは文系に限った話であって、理系なら4年生以降、つまり研究室に配属されてからは基本的に毎日午前から夕方まで通うことになる。特に有機化学系などはコアタイム(研究室に居なければならない時間)がブラック企業並のところもあったりする。

トータルで見ると、明らかに士業の方がメリットが大きいだろう。
そうなると、東大が向いている人というのはかなり限定的になると思う。
・官僚や研究者など、お金以外の軸でやりたい事が明確に決まっている人
・医学や医者が絶対に向いていない人
・なんとしても東京の大学に行きたい人
・(知能だけではなくトータルで見て)能力が極めて高く、競争により高待遇を勝ち取りたい人

あたりだろうか。多くの東大生は当てはまらないと思う。

・自分の適性
自分の適性的にも、士業の方が良さそうである。
理由は以下である。

1.無能である
筆者は無能である。3年生の時、一年弱コンサル系のベンチャーで働いていたが、パフォーマンスが芳しくなかった。東大生が多く働いている会社だったが、他の東大生よりも仕事ができなかった。もちろんベンチャーなので教育とか研修みたいなものは一切存在せず、会社の体制にも問題はあったし、直属の上司にも問題があった。もっと体制が整っている会社で、まともな上司のもとで働いていたらだいぶマシにはなったと思う。とはいえ、同じような境遇で働いている他の東大生と比較しても出来が悪かった。外資系コンサルみたいなとこに行っても、同じようなことが起きると思う(そもそも自分がtop tierの外資系コンサルに入れるとは全く思わないが)。普通のJTCに入ったとしても、クビにこそならないかもしれないが、少なくとも上手くやれるタイプではないと思う。
そもそも普通に就職するとなると、東京一工、早慶、マーチの学生とトータルの人間力で勝負しなければならず、東大はおろか早慶やマーチの優秀層にすら普通に負ける可能性がある。
そう考えると、やはり学力面で大きな参入障壁のある難関国家資格が適していると思う。
(また別の記事で書くと思うが、無能であることを考えると弁護士は微妙かもしれない。四大事務所の就活は学歴重視なので、入ること自体は可能かもしれないが、東大の優秀層や早慶の超優秀層と戦うとなると、外資系コンサルなどに入った場合と大して変わらない可能性がある。弁護士資格がある分、普通のサラリーマンよりはその後のキャリアもなんとかなりやすいかもしれないが、この点に関しては医学部再受験の方がいいかもしれない)

2.別にそこまで競争が好きではない
高待遇を得るには、競争と独占の2種類の方法があると思う。
競争といえば、就活で競争し、実力主義の会社などに入り、そこでも競争して良いポジションを勝ち取る、あるいは起業も競争だろう。
独占といえば、新卒カードを活かして終身雇用のJTCに入る、高待遇がかなりの確率で約束される難関資格を取る、というのが独占である。

自分はたまたま東京の教育熱心な家庭に生まれ、受験勉強が得意だったので中学受験、大学受験と受験戦争を戦って(一応)勝ち抜いてきた。しかしよくよく考えると、根本的に競争が大好きかと言われたらそんなことはない気がする。なので自分にとっては、勉強が得意なのを活かして独占のルートに行くのがベターだろう。別に難関資格を取った後でも、競争したければ出来る。

以上を鑑みると、JTCに滑り込むか、難関資格を取るかのどちらかになるが、難関資格の方が色々と優れているように思う。

というわけで難関資格を取って進路変更することを検討している。


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