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【事実発掘!FACT JAPAN 47 NO.39】香川県

今回は芸術一家に生まれ育った松原がアートの視点でFACT JAPAN47 をお届けいたします。
日本屈指の「アート県」といえば香川県。というか直島をはじめとする瀬戸内の島々がアートのイメージを思い出させるんじゃないでしょうか?
直島、豊島、犬島を舞台に株式会社ベネッセホールディングス、公益財団法人 福武財団が展開しているアート活動により、そのイメージが定着しつつあるのはここ最近のお話だと思います。
2010 年より開催されている瀬戸内国際芸術祭も有名になりましたが、そこにも香川県とは銘打たれていない。香川県といったらまだまだダントツ「うどん県」のイメージのほうが強いんじゃないでしょうか。

香川県とイタリアの意外な共通点?

うどん県としての香川県。一世帯あたりのうどんの消費金額では12,570 円でダントツの全国1 位。( 農林水産省米麦加工食品生産動向2009 より) うどんの原料となるのはもちろん小麦。
そして香川県と言えば小豆島のオリーブもまた有名。
「小麦とオリーブ」ってもう欧米か!っていうかイタリアじゃないか!と勝手に思ってしまいイタリアとの共通点を調べるうちにもう一つ見つけてしまいました。
それは「石」です。
石?って感じかもしれませんが香川県は有数の石の産地で、日本三大花崗岩のひとつでありきめ細やかな地肌で磨けば磨くほど艶を増す「庵治石」や「豊島石」など高級石材が産出されています。
一方イタリアは「大理石」の世界一大産地であります。
そのため、ミケランジェロの数々の彫刻作品やシエナ大聖堂などの歴史的建造物が芸術作品として生み出されてきたというわけです。
石と芸術の関係は切っても切り離せない深いつながりがあり、香川県にも直島のように持ち込まれたアートではなく、その地域に根付いたアートがたくさんあるんじゃないかと深く調べてみることにしました。

直島だけじゃない!本土こそアートがあふれている

僕も大好きな彫刻家のイサム・ノグチ
彼こそ香川県の石に魅了された一人だったといいます。1964 年に香川県を訪れその石に出会った彼はそこにアトリエを構え20年あまりNYと行き来しながら彫刻作品の制作活動をしてきました。その場所が今のイサム・ノグチ庭園美術館として残されています。高松市の名店・まいまい亭は店のデザインや、豊島石でつくられた囲炉裏自体もノグチ作品なんだとか。行ってみたい。。。やはり石のあるところに偉大な芸術家がいるんですね!

イサム・ノグチ庭園美術館

そして、高松市出身でフランスにてアンリ・マティスに師事した画家・猪熊弦一郎。三越の包装紙「華ひらく」のデザインで有名な画家さんで猪熊弦一郎現代美術館には2万点以上の作品が現存しています。

猪熊弦一郎デザイン「華ひらく」
猪熊弦一郎現代美術館

また、1950~1974 年当時の県知事・金子正則氏丹下健三による県立体育館、大江宏による香川県文化会館、山本忠司による瀬戸内海歴史民俗資料館などデザイン性の高い公共施設を多数建て、「デザイン知事」と呼ばれていました。県中には今も芸術的建造物が鎮座しています。

丹下健三設計・香川県庁舎東館

その他、香川芸術をあげればキリがないのですが香川県本土にはすばらしい芸術・アートが無数に存在し、直島をはじめとした瀬戸内にアートを迎え入れる土台が築かれており、そもそも「アート県」といわれるに値する県だったと言えるんじゃないかと感じました。

銘菓・名物デザインまでも美しい

香川県と代表する銘菓、こんぴら堂の「灸まん」や「名物かまど」、巴堂の「ぶどう餅」、白栄堂の「名菓観音寺」などなど、その素晴らしいデザインはナガオカケンメイ氏によるd design travelでも特集されるほどです。
それらをデザインしたのが琴平町出身の画家・和田邦坊。
「香川のデザインは邦坊のデザイン」とまで言われ、銘菓だけではとどまらず、名店「山田屋」や「銀波亭」のプロデュース、はたまた香川県民の母子手帳や長寿手帳、讃岐民芸館から個人宅の表札まで県中にすばらしいデザインをもたらしてきました。

和田邦坊デザイン

全国一面積の小さい県

直島だけじゃない!香川県は県全体として正真正銘のアート県であると言えることがわかったのですが、特徴的なのはそれが小さな範囲にギュッとまとまっている点です。香川県は全国一面積の小さな県であるにもかかわらず、アートがまとまっているアート密度の高い県といえます。
まさに県自体がギャラリーになっているのです。
数年前の話になりますが、三寺・細川・僕を含む男5人で四国旅をしました。車でのドライブ旅です。
四国の玄関口・香川県に関してはとにかくうどんを数軒食べ周り、通り過ぎ、宿泊は高知と愛媛にしました。地元の方もおっしゃっていました、「香川は滞在してもらえないんですよね。。うどんを食べて通り過ぎる県なんです」と。
たしかに僕らもメインは四万十川でチャプチャプしよう!という旅でした。(実際は50年に一度の大雨に遭い、四万十川はまったくイメージと違う表情をしていたわけですが。。笑)
そこで、むしろ通り過ぎる県を逆手に取り、全国一面積が小さくてアート密度が高く、魅力的なうどんがある香川県で、時間に追われる現代人にとっての新たな旅のスタイル

「アートドライブスルー」

を押し出していくのはいかがでしょうか?県民みんながキュレーターや学芸員として旅行者と触れ合ったり、アートを維持・保存・伝達していく。そんな未来像をレジェンドアーティストたちも喜んでくれるんじゃないかと勝手に思ったりしています。
「スルっと満喫・香川県」って感じでしょうか? w
もちろんゆっくり滞在して直島・豊島も満喫するのも最高ですよ!

最後に

イサムノグチは言いました。
「ここをすべての創作者のインスピレーションの源泉にしたい」と。

猪熊弦一郎は言いました。
「猪熊弦一郎現代美術館は子供を大事にすること。今の時代を子供にこそ見せてあげたい。」と。

僕は言います。
「美しさに満ち溢れた香川県は彼らの思いを受け止めた新たな世代とともにその美しさに磨きをかけ、瀬戸内国際芸術祭はいずれ香川国際芸術祭と名を変える日が来るでしょう。」

次回は難関東大もスルっと合格、鈴木がお届けいたします。お楽しみに!


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