池田直渡の「ぜんぶクルマが教えてくれる」

自動車経済評論家、池田直渡のnote連載です。

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自動車経済評論家、池田直渡(いけだ・なおと)が、クルマ、自動車メーカー、政府の政策などについて、事実に基づき論理的・批判的に思考し、しかしいかなる時も希望を持って書き下ろす連載コラムを掲載します。時にはグルメやオタク話も。 クルマ好きの方はもちろん、巷にあふれる悲観論や感情的な意見にうんざりした方に楽しんでいただけたら幸いです。まずは無料記事でお試しいただき、面白そうと思われたら、ぜひご参加ください。

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「ぜんぶクルマが教えてくれる」巻頭言

 池田直渡の『ぜんぶクルマが教えてくれる』」へようこそ。  クルマは大量生産される工業製品だが、その設計、製造には数値と官能の両面が必要だ。だとしたらその評価にも、合理的・客観性と直観的・主観性の両方がいるはずで、でも、どうも世の中の自動車評論は、スペックか情緒かのどちらかに傾きがちな気がする。膨大な人間の英知、情念、そして時間を注ぎ込んで造られるクルマは、数値と感覚の両面からしゃぶり尽くすに値するし、そこからものすごく面白い知的興奮が得られるんだよ……というあたりが「ぜ

    • 【new!】中野ブロードウェイで考える。自動運転は「何をやらないか」が大事

       筆者は長らく「内燃機関は滅びない」「EV(BEV、ここではハイブリッドやPHEVを含まない、純粋な電気自動車を指す)、はそれなりに普及するが、オールEVの世の中は当分来ない」と言い続けてきた。言い出し始めて7年が経過している。  今年(2024年)の3月11日にITmedia ビジネスオンラインに同様の趣旨のことを書いたので、ちょっと引用しておく。  せっかくだからもうひとつ付け足しておこう。こちら、日経ビジネス電子版に2021年3月に書いた「欧州のEV戦略は『ブラック

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      • 不正で「ものづくり日本の信頼が揺らぐ」と書くメディアの方々へ

         7月5日、トヨタ自動車の子会社、株式会社トヨタ カスタマイジング&ディベロップメント(TCD)が緊急記者会見を開いた。  TCDは、2018年にトヨタテクノクラフト、ジェータックス、トヨタモデリスタインターナショナルの3社が統合した会社で、傘下のブランドにTRDやモデリスタがある。チューニングパーツの販売やモータースポーツ事業を手掛ける会社だ。  23年5月に公正取引委員会から調査要請が入り、同年7月から実地調査を開始。その結果、公正取引委員会から「不当な返品」と「金型

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        • (free)自動運転は「トロッコ問題」を解決すべきか

          (本記事は最後までメンバーシップ加入なしでお読みいただけます)  管理人M2号はあれこれ言いたいことがあるかもしれないけれど、筆者としては登録不要の無料記事も書いていきたい。お金は大事だけれど、全てではない。書き手としては、読んでもらうことそのものにも意味はあるのだ。  もちろん、有料記事でもお代に相応しい記事はアウトプットしていくつもりだし、何ならそれ以上のクオリティという自負のある決算記事は、多くの人に読んで欲しいから登録不要にしている。 今回は有料サービスが始まっ

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        「ぜんぶクルマが教えてくれる」巻頭言

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          【new!】中野ブロードウェイで考える。自動運転は「何をやらないか」が大事

           筆者は長らく「内燃機関は滅びない」「EV(BEV、ここではハイブリッドやPHEVを含まない、純粋な電気自動車を指す)、はそれなりに普及するが、オールEVの世の中は当分来ない」と言い続けてきた。言い出し始めて7年が経過している。  今年(2024年)の3月11日にITmedia ビジネスオンラインに同様の趣旨のことを書いたので、ちょっと引用しておく。  せっかくだからもうひとつ付け足しておこう。こちら、日経ビジネス電子版に2021年3月に書いた「欧州のEV戦略は『ブラック

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          不正で「ものづくり日本の信頼が揺らぐ」と書くメディアの方々へ

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          不正で「ものづくり日本の信頼が揺らぐ」と書くメディアの方々へ

          世界は「軽自動車」と日本を再発見しつつある

          今年も開催されるジャパンモビリティショー  「ジャパンモビリティショー(JMS)」が、従来の「東京モーターショー(TMS)」が隔年開催だった前例を破り、昨年(2023年)に続いて今年も開催されることになった。  ただし、中身そのものは隔年でちょっと変わる。いわゆる表年と裏年とでも言うのだろうか。TMSを受け継ぎ、新しい提案を人々に提示する「ショーケースイベント」が表年、対してモビリティサミットとでも言うべき、モビリティに参画する数多くの仲間が、企業同士の連携強化を図りコミ

          世界は「軽自動車」と日本を再発見しつつある

          日本の自動車会社の近未来は明るい

           さてさて、記念すべき「ぜんぶクルマが教えてくれる」の有料記事第一号に何を書こうか。  決算記事に忙殺されている間に、自動車各社の認証試験の不正問題が発生した。実は管理人M2号からは「池田さんこれは決算の間に割り込んででも書かないとダメでしょ」と言われていた。  まあ言いたいことはわかるし、書く意思ももちろんある。だけど、「FACT, THINK, HOPE」を旨とするこの自分のnoteのメンバーシップ読者に向けた1本目に、不正の話というのはどうにも嫌だ。もっとHOPEの

          日本の自動車会社の近未来は明るい

        記事

          世界は「軽自動車」と日本を再発見しつつある

          今年も開催されるジャパンモビリティショー  「ジャパンモビリティショー(JMS)」が、従来の「東京モーターショー(TMS)」が隔年開催だった前例を破り、昨年(2023年)に続いて今年も開催されることになった。  ただし、中身そのものは隔年でちょっと変わる。いわゆる表年と裏年とでも言うのだろうか。TMSを受け継ぎ、新しい提案を人々に提示する「ショーケースイベント」が表年、対してモビリティサミットとでも言うべき、モビリティに参画する数多くの仲間が、企業同士の連携強化を図りコミ

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          日本の自動車会社の近未来は明るい

           さてさて、記念すべき「ぜんぶクルマが教えてくれる」の有料記事第一号に何を書こうか。  決算記事に忙殺されている間に、自動車各社の認証試験の不正問題が発生した。実は管理人M2号からは「池田さんこれは決算の間に割り込んででも書かないとダメでしょ」と言われていた。  まあ言いたいことはわかるし、書く意思ももちろんある。だけど、「FACT, THINK, HOPE」を旨とするこの自分のnoteのメンバーシップ読者に向けた1本目に、不正の話というのはどうにも嫌だ。もっとHOPEの

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          三菱自、主力車種のデビューもほろにが決算に

           さて2023年度乗用車各社決算大会のトリを務めるのは三菱自動車工業(以下三菱自)である。7社全部が上手く行った奇跡の決算期だった、とも言えるので、おそらく最後まで後味を悪くすることなくお読みいただけると思う。 きわどいところで増収増益  まずは基本的な数字だ。際どいところではあるが、増収増益の決算となっている。冒頭に掲げた三菱自の2023年度決算報告資料の表紙は、タイで生産する新型トライトンが富士山をバックに颯爽と走る写真だ。(以下、写真・資料出所は三菱自)  自動車

          三菱自、主力車種のデビューもほろにが決算に

          スズキの決算、トヨタとはまた違う凄み

           乗用車メーカーの当該期の決算はどの社を見ても好調なのだが、スズキもそれらの中でトップランクの成績を収めた。まずはスズキ自身が決算発表の冒頭で語った自己評価を抜き出してみる。 (冒頭の写真は2023年12月発表のスズキの基幹車種「スイフト」。日本では5代目。以下写真・資料:スズキ)  まさに鉄板級。「ファンダメンタルの好転に応じて、適正な値上げを行なって業績の全項目が向上。直近の四半期もその様相に変化なしで好調を維持。そのままの勢いで今期も好調を継続できそうなので、成長の

          スズキの決算、トヨタとはまた違う凄み

          SUBARU「北米一本足打法」で大ホームラン

           SUBARU(以下スバル)の決算は、増収増益はもちろんのこと、全項目でプラス。それも大幅な伸びを示している。スバルのビジネスの特徴は良くも悪くも北米一本足。北米の景気が良い年は無類の強さを見せる。 (冒頭の写真は2023年11月に米国で発表された6代目「フォレスター」。以下、資料・写真:スバル)  まずは数字を見てみよう。 連結販売台数 97万6,000台(前年比 114.6%) 売上収益 4兆7,029億円(前年比 124.6%)  営業利益 4,682億円(前

          SUBARU「北米一本足打法」で大ホームラン

          ホンダ 構造改善実ってほぼ全勝優勝

           ホンダの決算分析は、他社と勝手が違ってやりにくい。もうちょっと正確に言うと、四輪事業、クルマの数字がつかみにくいのだ。 (冒頭の写真はホンダの軽自動車「N-BOX」。2023年4月~24年3月の販売台数は21万8,478台で、この年度に日本でもっとも売れたクルマとなった。写真:ホンダ)  そもそもホンダの場合、四輪専業ではなく、二輪とパワープロダクツがあって決算資料の構造自体が嫌でも複雑になるのだ。多様な事業があるという意味ならスズキにも二輪があるし、スバルには航空事業

          ホンダ 構造改善実ってほぼ全勝優勝

          トヨタ空前の決算、売上高でスウェーデンの税収を抜く

           自動車会社の決算の中でも、トヨタ自動車の決算が日本の経済に与える影響はデカいし、注目度も抜群。で、そのトヨタ。今回もまた空前の決算である。 (冒頭の写真は2024年3月期に発売された「ヴェルファイア」。写真:トヨタ) 言葉に頼るのをやめたくなる決算数字  このところ毎回空前を更新してくるので、もはや形容するのが大変。「もう言葉に頼るのをやめよう」と、書き手を諦めさせるような数字を叩き出している。  まず数字を並べる。前回記事の末尾で並べた、各社横並びのデータと数字は

          トヨタ空前の決算、売上高でスウェーデンの税収を抜く

          日産、復活への戦いはこれからだ

           日産自動車(以下日産)の決算は、一言で言えば好調だった。ただし、それは前年と比べた見え方の話である。「前年より良くなった」ことが、すなわち「日産の本来の実力が出ている」とは限らない。 (写真は24年3月期で2期連続国内電気自動車販売台数首位となった「サクラ」 写真・資料:日産自動車、以下同)  もって回った言い方になったが、そういう話を最初にしないと、日産の決算の評価はできないのだ。まずは当該期(2023年度、24年3月期)の数字を見てみよう。 小売販売台数 344万

          日産、復活への戦いはこれからだ

          長い努力がついに報われたマツダの決算

           マツダは2012年2月に国内で初代CX-5をリリースして以来、長い時間をかけて体質改善に取り組んで来た。 (上の写真はマツダの北米戦略の要、「ラージプラットフォーム」車種の代表、CX-90 写真・資料:マツダ、以下同)  その基本的な戦略は、高付加価値販売。つまり旧来の値引きの割安感でクルマを売るビジネスから、価値あるクルマを適正価格で売るビジネスへの転換である。言葉を選ばずに言えば「安物と思われないマツダ」に変わることだ。  そのためにマツダは、ブランドイメージを改

          長い努力がついに報われたマツダの決算

          2024年3月期自動車メーカー決算記事の前説

          ※すぐ各社の分析をお読みになりたい方はこちらからどうぞ ・トヨタ自動車(トヨタ)2024年3月期決算 ・マツダ2024年3月期決算 ・日産自動車(日産)2024年3月期決算 ・本田技研工業(ホンダ)2024年3月期決算 ・スズキ2024年3月期決算 ・SUBARU(スバル)2024年3月期決算 ・三菱自動車工業(三菱自動車)2024年3月期決算  さてさて、ゴールデンウィークもすでに過去の話だが、5月のGW明けは国内自動車メーカー各社の決算発表が集中して、筆者は大変忙しい

          2024年3月期自動車メーカー決算記事の前説

          〈ご試読用〉火縄銃とBEV

          【池田直渡のnoteに掲載した記事(2024年3月12日)です。メンバーシップ配信記事のご試読用として掲載します】 ITmedia ビジネスオンラインに書いた記事、『EV減速の中でもっとも注意すべき政策』がよく読まれている。読まれているだけでなく、コメント欄やSNSでも議論も巻き起こしていて、それはありがたい限りである。 未来は規制やルールではなく物理量で決まる 神の見えざる手に逆らったところで、どうにもならないという極めて常識的なことを7年間にわたって書いてきたわけだ

          〈ご試読用〉読書遍歴と自動車趣味とフィッシュアンドチップス

          【池田直渡のnoteに掲載した記事(2023年11月26日)です。メンバーシップ配信記事のご試読用として掲載します】 多分あんまりアピールしたことはないが、池田は緩い英国好き。多分その原点は小学生の時に学校の図書館で借りて読んだコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズだと思う。なんというか地名や通りの名前に惹かれるものがあった。ただこの時の英国への興味は一度心の奥にしまわれる。 多分、現在の池田を形成する一番大きな要素は文章好きで、幼少時から「あんたはお菓子の箱

          〈ご試読用〉読書遍歴と自動車趣味とフィッシュアンドチップス