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記事一覧

2019/09/20

あなたを好きにならなくてはいけないあなたを好きにならなくてはいけない、わたしをきらいにならなくてはいけないわたしをきらいにならなくてはいけない。あなたは知っている愛そのものを、あなたは知らない私の愛し方を。あなたを好きになるときわたしはわたしをきらいにならなくてはいけない。わたしはきっとあなたの愛し方を知りません。

ドッペルゲンガーの恋煩い
#詩 #散文詩 #短文

2019/09/13

不自由 はときに自由への活力となることがありますが、不自由に触れていない_あまりにも 自由がすぎる というのは人間が構築する社会すべて、その発端 あるいは最果て において不自由を被るということを知りました。

そしてわたしは
あまりにも自由すぎるのでしょう
あなたに比べてほんのすこし

不自由を持ち合わせたあなたにはわたしがまぶしくみえたのでしょうね。わたしに、自由に、近づけば 触れれば 自分の不

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2019/09/05

‪どこかで犠牲の花びらが舞う となりの誰かが深呼吸を繰り返す 白くなる息 生きていると 実感するためだけにながれる涙 記憶が辿り着かない場所に行きたい 遠くても近くても 夜も空も光りがないならそれは黒です 星だけが知る真実なんて灰とおなじです それでも願いというものが溢れます 光りだけが宿る生きものに僕はなりたい
#詩 #夜

2019/08/30

今日みたいな静かな夜に 言葉についてひとり想いを巡らせる時間が 言葉に沈んでいく無重力状態が とてもぜいたくですきです わたしとことば いいえ ことばの中で認識するわたし の輪郭がはっきりしているようでぼやけているようで

わたしが生まれるよりもずっとむかしから存在していたことば に出会ったとき
それは何百年も前から枯れずに咲いていた花を偶然みつけた瞬間に感じる永遠 に近いものがあります

わた

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2019/08/22

雨。傘も文字も音も街も、あの子も、境界線が溶けていく、わたしはわたしの輪郭を思い知る。コーヒーに浮かぶ氷でさえもわたしに馴染んでいく。目の前で流れる時間を見つめるわたしは、可能性、愛、というものに触れた気がした。ピアノの線で弾いた雨粒が青い星に水を注ぐようすを想像して、わたしは目を閉じる。記憶の端で祈りに近い今だけを辿る。

いつか、光になる前のはなし
#詩

2019/08/19

等間隔で光る ひとのかたちをして
大きな入れ物 小さな入れ物 不揃いでいいはずなのに 理由を求められるのは責められてる気がした 二つの信号は風を捉えたり 歩き慣れた道 こういうのわかりやすく目が合うって言うのかな なんだか隠すのもめんどくさくなってきた ほんとに誰でもいいっておもってますか

失うものがない人間と死ぬことを恐れていない人間はタチが悪い どんな幸福も不幸に変えてしまうから まるでなに

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2019/08/15

誰かに好きだ、というとき、わずかに自分自身が軽くなっている気がして怖くなる。イメージではなく質量のはなしで、1g軽くなるという感覚を覚える。身体は何も変化などしていないから、きっと魂、のようなものが、ふわりとわたしから離れているのだろう。

あなたがすきです、という魂は、空気を伝い、声になって宙を舞い、言葉としてあなたの目の前を通過する。あなたがわたしの1gの質量をみつけ、あなたに溶けていく様子を

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2019/08/10

信じたいと信じることができるのあいだに隔たる溝は透明だから埋まらないのですね。きみの口笛に似た花火の音。ため息をつく私が紛れ込んだ夏は、夏のようなものでしかありませんでした。あなたが愛せないあなたに、委ねた、私の好意は、永遠にたどりつくことはありません。さようなら。お元気ですか。

_0:00_
#詩

2019/08/08

さよならさよならさよなら
言えないなら叫べばいいよ
解釈が意図を遮る夜に
私たちはなんて無力なのでしょうね
墓場に咲く花は造花がいいなんて
君のくちびるは音を刻む
海みたいな万華鏡の中で踊りましょう
乱反射する時間を集めましょう
私の口癖と君の言い訳でつくられた水平線はまるでおままごとみたいだね

愛していたよ
僕はきみがだいきらいだ

_ドッペルゲンガーの憂鬱_
#詩

2019/08/03

奇跡と運命を比べているあいだに
死んでいった偶然のそばで
明日の夢を話しましょう
わかった気になる症候群のふたり
いつまでも地球から離れられないまま
満月しかみていないあなたのそばで
今日もわたしは三日月に聞かせるための
音楽を選んでいます

「海は、誰のものでもないんだって」

Crescent Moon Song
#詩 #三日月 #月

2019/08/02

寂しいがたまにしか聞こえないなら明日もまた話そう
雨が降るから生まれた色とあなたの瞳はなにがちがうの
360度重ねた瞬きを忘れられるわたしはさよならにふさわしい
今日もまた明日のことを考えているから覚めない夢があります
都会で鳴る鐘がいつか通り過ぎるときを生きています

予定調和の15時
#詩

2019/08/02

銅メダルみたいなマンホールに落ちる夢
ただあの空に浮かぶ雲になりたかった
太陽の位置が変わっていくように
月は知らないあいだに色をつけていく
夜を吸い込んだ空気が白く光る
黒は海から生まれた色

天気予報の色
#詩

2019/08/01

好きも嫌いもない季節
日常と呼ぶには安すぎる気がして
ためらったくちびるが彷徨う夜
暑さだけがさよならを繰り返すあいだ
愛がおかえりと言ったような気がした
わたしが住んでいたのは水平線だ
かたちのないものは海だよと言えた
あの日のわたしがどこかで生きる夏

8月31日の水平線
#詩