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更年期の合言葉は、「怖がらない、あきらめない、不調はチェック」

〈監修者〉
丸の内の森レディースクリニック
院長 宋美玄先生

大阪大学医学部医学科卒業。周産期医療、女性医療の診療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』『産婦人科医 宋美玄先生の生理だいじょうぶブック』『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』などがある。2017年に開業した丸の内の森レディースクリニックは日本屈指のオフィス街とターミナル駅に近く、近隣で働く人から遠方に住まう人まで幅広い層の女性が訪れている。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。

こんにちは!「gokigen Lab.(ゴキゲンラボ)」のCです。
40代を過ぎたころから体調が安定しないことが多くなっています。
もしかしたら「そろそろ更年期を迎えたのかも……」と思ってしまうのですが、更年期っていつから始まるものなのでしょう。何歳になったら気にすればいいのでしょうか?
ラボにもこうしたお悩みやアンケート結果が寄せられています。

【今回のお悩み】更年期っていつから? どんな症状が出るんですか?


「30代前半なのに更年期のような症状があります」

「年齢的に更年期を疑っていますが、もともと生理が不順すぎて通院すべきか、様子見でいいのか判断がつきません」

「更年期も多種多様なので不安ばかり大きくなる感じです」

Q.更年期に対する不安はありますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件

Q.「ある」と答えた方に。その不安をどのように解決していますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件

Q.更年期に不調がなぜ起こるか理解していますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件

アンケートでは、8割近くの方が、更年期に対する不安がある(あった)と答えています。
でも、不安がありながら対処は特にしていない方が、半数以上いることがわかりました。
みなさんと同じように、私も不安でいっぱいです。
宋先生、詳しく教えてください!

更年期は3つの合い言葉で前向きに迎えよう

産婦人科医の宋美玄です! クリニックに来る患者さんからも、更年期についてはよく相談されます。ですが、30代の方に更年期の症状が出ることは、基本的にないと考えていいでしょう。
誤解されていることも多いのですが、更年期は「小児期」や「思春期」「老年期」などと同じ、女性の一生の一時期に過ぎません。卵巣など、からだの機能の一部が低下し始める時期なので、体調に変化が現れることもありますが、影響や訪れる時期については個人差があります。
まずは以下の3つの合い言葉を覚えておいて、悲観的にならず前向きに捉えましょう

■怖がらない

のちほど詳しく説明しますが、更年期はどんな人にも訪れるものです。更年期には卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌量も少なくなっていきますが、「女性でなくなる」ということはありません。更年期を迎えても、女性は一生女性です。必要以上に怖がることはありません。

■あきらめない

女性ホルモンの低下に伴い、更年期には、からだにさまざまな症状が現れることもあります。なかには、日常生活に影響があるものもあります。ですが、それらは治療によって軽減できることが少なくありません。「更年期だからしょうがない」とあきらめず、医療の力を適切に頼ってください。

■不調はチェック

更年期にからだの不調があっても、すべてがそうとは限りません。「更年期特有の症状だろう」と思っていたら、実は病気が隠れていることもあります。更年期には、女性ホルモンの分泌量が低下することなどの影響で、かかりやすくなる病気もあるのです。定期的に医療機関で検査を受けて、からだの状態をチェックしておくことが大切です。

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From Lab.編集部
「更年期に対してネガティブなイメージがあったのですが、みんなにあるということがわかると、ネガティブさがなくなりました。更年期であることを隠さなくていいんだと思えました」
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正しく知ろう! 更年期。女性ホルモン低下でどんな症状が起きる?

3つの合い言葉を思い出して、更年期を前向きに迎えればいいということはわかりました。……ですが、更年期になぜ不調が起こるのかが、よくわかりません。詳しく知りたいです!

はい、ここからは更年期について説明していきましょう。

■更年期=閉経の前後5年間

さきほども少しお話ししたように、更年期とは「小児期」や「思春期」「老年期」などと同じ、女性の一生の一時期です。それぞれの時期に起こることの違いは、女性ホルモンの分泌量にあります。
女性ホルモンは一生のうち、常に分泌され続けているわけではありません。第二次性徴が始まるころ、つまり月経が始まるころから分泌され始め、その後、20~40代くらいまでは安定して分泌されていきます。
しかし、ある時を境に、その量はガクンと減ります。そして、最終的にはほとんど出なくなり、閉経を迎えます。そうした閉経の前後5年間、計10年間を「更年期」と呼んでいます。
閉経を迎える年齢には個人差がありますが、日本人女性の平均は50歳です。そのため一般的には、45~55歳が更年期にあたることが多いです。

【図】女性ホルモン エストロゲン分泌量の変化

■更年期に現れやすい症状

更年期には、この女性ホルモンの急激な低下によって、からだに不調が現れることがあるのです。更年期に現れやすい症状には、例えば以下のようなものがあります。

更年期に起こる症状は本当にさまざまで、人によって大きく違います。なので、上記の症状は、ほんの一例に過ぎません。表にあげた中に当てはまるものがなくても、「何か今までと違う」という症状があれば、婦人科を受診してみることをおすすめします。

■更年期と「更年期障害」の違い

更年期が必要以上に女性から怖がられたり敬遠されたり、誤解されやすいのは「更年期障害」と混同されていることも関係しているかもしれません。

宋先生、「更年期」と「更年期障害」って違うんですか?

違うんです! 更年期は、先ほどからもお伝えしているように、女性のライフステージのひとつで、閉経を挟んだ前後5年間程度の時期を指します。一方、更年期障害とは、更年期に生じる症状が重く、日常生活に支障が出ている状態のことをいいます。この2つはイコールではないのです。
更年期は誰もが通るもの。でも、全員が更年期障害になるわけではありません(何らかの症状がある人は6割弱、治療が必要なほど辛い人は約2割です)。
それに、もしも更年期障害になっても、治療によって症状を軽くすることは可能です。だから、必要以上に怖がらないでほしいのです。

ちなみに更年期障害が起こるのは、女性だけではありません。男性にも起こります。
女性の閉経の時期と前後するように、男性も徐々に男性ホルモンが減少し、不安・イライラ・気分の落ち込み・筋力の低下・疲労感・ほてりなどの症状が現れることがあるといわれています。
40代後半以降は、男女ともにココロとからだに変化が起こりやすくなる時期です。パートナーとそのことを理解し、共有し合って、支え合っていきましょう。

>>こちらの記事もチェック!
No.6 男性にもある更年期!パートナーのことも知り、いたわり合おう

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From Lab.編集部
「更年期と更年期障害が違うことを初めて知りました。それに男性にも更年期障害があることも。こうして知っておくことは大切ですね」
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40代以降はかかりやすい病気も変化

徐々に女性ホルモンの分泌量が少なくなってくる40代以降は、かかりやすい病気にも変化が出てきます。
例えば、エストロゲン(卵胞ホルモン)が少なくなることにより骨密度が低下しやすくなり、骨粗しょう症になりやすくなります。またエストロゲンの減少でコレステロールが増え、血管が硬くなるため、脂質異常症になりやすくなったり、自律神経がうまく働かなくなり、自律神経失調症が生じたりすることもあります。

トラブルが生じやすい時期だからこそ、それまでよりも婦人科に行くハードルを下げることをおすすめします。また、自覚症状がなくても病気が進んでいることも、なかにはあります。特に不調を感じていない人も、定期的な婦人科検診を受け、自分の健康状態をチェックしておきましょう。

更年期の不調は治療できます

宋先生、「更年期を怖がらなくていい」とのことですが、こんなふうにかかりやすい病気が変わってきたり、体調に変化があったりすると聞くと、やっぱり不安になってしまいます……。

そうですよね。たしかに、いろいろ言われると不安になってしまいますよね。でも、「更年期障害」のところでもお話ししたように、更年期のからだに現れる症状は婦人科で治療ができるんです。更年期障害になるほどつらくなくても、婦人科で「こうした症状が気になっている」と伝えてもらえれば、治療は可能です。治療法としては以下のようなものがあります。

■更年期症状の治療法の例

ホルモン補充療法…飲み薬、シール、塗り薬などでエストロゲンを補充する方法。HRTともよばれる。不正出血などの副作用が出ることもありますが、更年期に不安定になりがちな女性ホルモンの分泌を補うことで、更年期の諸症状、特にホットフラッシュとよばれる急なのぼせや発汗の治療に効果を発揮します。
低用量ピル…エストロゲンとプロゲステロンが配合された飲み薬を服用することでホルモンバランスを安定させ、気になる症状を軽減させます。ただし、40代から初めて低用量ピルを飲み始める場合は血栓症などの副作用が出やすくなるため、「慎重投与」となります。かかりつけの婦人科医とよく相談しておきましょう。
漢方薬……漢方薬は、複数の生薬(しょうやく)と言われる自然由来の薬効成分が組み合わさって、からだの不調に複合的に効果を発揮するのが特徴です。薬局で販売されている市販薬を購入し、服用することもできますが、どの漢方薬が効果を発揮するかは個人差があるので、最初は婦人科医や漢方専門医に相談するのがよいでしょう。
・ミレーナⓇ(IUS)……プロゲステロンを放出する小さな医療器具を子宮内に挿入することでホルモンバランスを安定させる方法です。更年期が近づき、エストロゲンの分泌量が減少している場合は、これにエストロゲンの飲み薬や塗り薬をプラスすると、更年期の諸症状の軽減に効果を発揮します。

ちょっとしたことでも、それが毎日続くとなるとつらくなります。

ぜひ、ためらわずに相談してください!


〈今回のPoint〉
・更年期は誰もが通る道! 不安もあるけれど、怖がりすぎる必要はありません
・更年期の気になる症状は、治療によって軽くすることができます
・30代では更年期の心配はほとんどなし! でも不調があれば婦人科に相談を

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