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更年期のセックスの悩み、どう解決したらいい?

〈監修者〉
丸の内の森レディースクリニック
院長 宋美玄先生

大阪大学医学部医学科卒業。周産期医療、女性医療の診療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』『産婦人科医 宋美玄先生の生理だいじょうぶブック』『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』などがある。2017年に開業した丸の内の森レディースクリニックは日本屈指のオフィス街とターミナル駅に近く、近隣で働く人から遠方に住まう人まで幅広い層の女性が訪れている。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。

こちらの記事はセックスに関する内容です。見る方によってはセンシティブな内容となっております。念のためお気をつけの上、ご自身の判断でご覧ください。

こんにちは、フェリシモ「gokigen Lab.(ゴキゲンラボ)」のAです。 今回のテーマは、興味があるけれど、個人的にはちょっと恥ずかしい話題……セックスについてです。 夫婦や長年付き合っているカップルなど、特定のパートナーと一緒にいる時間が長くなると、セックスのタイミングがつかめなくなって困っている人というのは、少なくないのではないでしょうか? 不調の起こりやすい更年期になると、さらに悩みも増すような気がしています。 ラボでもアンケートをとったところ、やはり悩んでいる方が多いという結果になりました。

【今回のお悩み】更年期を迎えても快適にセックスをしたいです!

では、具体的にはどんなお悩みがあるのでしょうか? 
ラボに届いたお客さまの声をご紹介します。

「もうアラフォーだし、子どもも三人いるから、私としてはからだの付き合いは面倒ですが、夫にとっては大切なようで、夫婦間の差を感じます」

「50代です。主人との性交がつらいです。主人は好きなのでこたえてあげようと何とか自分の気持ちを盛り上げようとそのような漫画を読んだりするのですが、かえって気分が悪くなります。不愉快な営みのはずではないのにどう気持ちを盛り上げていけばよいかわかりません」

「腟ケアについて知りたいです。歳を重ねると乾燥してとても心地悪いのです」

「自分の更年期に加えて、夫にも更年期があることを知り、男性のケアも知りたいです」

したい気持ちはあるけれど、からだがつらかったり、気持ちが盛り上がらなかったりすることがあるみたいです。
どれくらいの方が悩みを抱えているのかについても聞いてみました。

Q. セックスに関するお悩みはありますか?

アンケート 調査期間:2022年9月18日~9月25日 有効回答数12,832件


Q.「ある」と答えた方、その悩みをどう解決していますか?

Q.その悩みはいつごろからありますか?

セックスのお悩みのきっかけは人それぞれ。更年期をきっかけにという方もいらっしゃいました。
こうしたセックスの悩みは、婦人科に相談すれば解決できることも少なくないそうですが、どうしても恥ずかしく感じてしまうんです。
宋先生、ぜひ詳しく教えてください!

更年期のセックスのお悩み、起きやすいものは?

こんにちは、産婦人科医の宋美玄です。
女性のセックスの悩み、特にからだに関するお悩みは婦人科医に相談してもらってOKです!
セックス関連のお悩みは、もっとオープンに語り合えるようになってもいいと思うのですが、どのくらいオープンになれるのかには、個人差がありますよね。
アンケート結果にもあったように「パートナーや友人には話しづらい」といった場合にも、ぜひ婦人科に相談してください。
私もよく相談を受けています。中でも更年期付近では、以下のようなお悩みが多い傾向にあります。

■痛みがある
セックスで感じる痛みのことを「性交痛」といいます。痛みの度合いや痛む場所などは人によってさまざまですが、性交痛を感じる人は多く、女性の6割以上がセックスの際に痛みを感じているという調査もあります。
痛みを感じる主な原因には、以下のようなものがあげられます。
・潤滑液とよばれる、性的興奮を感じたときに分泌される体液の不足
・加齢や刺激によるデリケートゾーンの皮膚の変化
・病気(子宮内膜症)
・子宮後屈など内臓との位置関係
・パートナーとの体格差

一概にはいえないものの、更年期ころになると多くなってくるのが、主な原因の最初にあげた「潤滑液=うるおい不足」です。
更年期になると、それまでは安定して分泌されていた女性ホルモンの一種であるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減ってきます。
エストロゲンには腟粘膜の厚さを保ったり、性的興奮時に潤滑液を分泌したりする働きがあります。更年期はそれが十分に分泌されなくなるのでうるおいが減ってしまいやすく、それまで感じなかった性交痛を感じるようになる人もいます。

感じているのにうるおわないと思うようになったら、女性向けの潤滑ゼリーを使って、うるおいを足すのがおすすめです。
なかには婦人科で試供品を配っていることもあるので、相談のときに聞いてみてもよいでしょう。
パートナーには「感じていないわけではなく、からだの変化でうるおいが少なくなってしまうこと」「より楽しむために使いたいこと」を説明すると、潤滑ゼリーを使うことを受け入れられやすいはずです。
ほかには、飲み薬やシール、塗り薬などでエストロゲンをプラスするホルモン補充療法(HRT)をすることでうるおいが増え、性交痛が改善されることもあります。
HRTは性交痛以外の更年期症状を改善してくれることもあるので、人によっては一石二鳥かもしれません。

■腟が乾く・かゆみがある
加齢によってデリケートゾーンに乾燥やかゆみなどの不快感が生じることを閉経関連尿路生殖器症候群(GSM)といいます。更年期以降の女性は、GSMによって、セックスをしても心地よさを感じられなくなることもあります。
GSMは婦人科や整形外科などでの治療により改善できることが少なくありません。主な治療法はHRT、またはレーザーによる方法です。

・ホルモン補充療法(HRT)…性交痛のところでもお伝えしたように加齢によって減少した女性ホルモン(エストロゲン)を薬によって補充する治療法です。エストロゲンを補充することで、腟粘膜の厚さが保たれたり、腟の分泌液が増えたりして、不快な症状が改善されることがあります。GSMの場合、飲み薬やシール、塗り薬以外に、腟にエストロゲンの錠剤を挿入する方法もあります。

・レーザー治療…顔のリフトアップやたるみの改善などに使われるレーザーを腟内に照射する方法です。それによってコラーゲンの生成が促されて腟粘膜の状態が改善され、気になる症状を緩和できるといわれています。

デリケートゾーンに不快感が出てきたという場合、まずは婦人科を受診し、相談してみるとよいでしょう。その結果、治療の必要があると診断された場合、上記のいずれかの方法をとることがあります。
基本的には医療の力に頼るのがおすすめですが、潤滑ゼリーなどを使ったセルフケアでも一時的に痛みを和らげることが可能です。

■ゆるくなる・気持ちよくない
骨盤底筋群とは、骨盤の底部にある筋肉の総称です。

普段は排せつや性機能にかかわったり、内臓を支えたりしているのですが、出産、体形や姿勢の変化、加齢などの影響によって疲労やダメージが蓄積しやすく、トラブルに見舞われることが少なくありません。
例えば、産後に尿漏れが生じやすくなるのも、出産によって骨盤底筋群がダメージを受けることが影響しています。更年期以降も同様の影響が表れやすく、それがセックス時の不快感につながることも。
これを改善するには、骨盤底筋群のトレーニングをするのが有効です。一日のうちに何度か、骨盤底筋群に力を入れ、グッと引き上げることを繰り返してみましょう。腟からピンポン球を吸い上げるような感覚というと、やり方が想像しやすいかもしれません。いすに座り、膝の間にペットボトルやクッションなどを挟んで行うのもOKです。

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From Lab. 編集部
「セックスの悩みは話しにくいし、悩みがあっても『こんなものかな』と思って、改善しようとは考えなかったと思います。改善の方法をいろいろ教えてもらえてよかったです」
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更年期の早い、遅いとセックスの有無は無関係

ところで先生、更年期特有の症状は早く現れる人もいれば、遅く現れる人もいるようですが、以前「セックスをしていなかったり、ときめきが足りなかったりすると、女性ホルモンが早く枯れて更年期症状が早く現れる」といわれたことがあって、それが気になっています。
セックスをしないと、更年期が早まるんですか?

誰ですか、そんなおかしなことを言ったのは? 閉経の時期とセックスの有無に、直接の関係はありません。女性ホルモンの分泌量が減るのは、卵巣機能が低下することが原因ですが、どのタイミングでそうなるのかは、人それぞれ違います。
みんな同じタイミングで歯が生えたり、同じタイミングで初経が来たりはしませんよね? 閉経もそれと一緒です。
セックスレスだから早く更年期の症状が現れるということはないですし、逆にセックスをすれば若返るということもありません。それを気にして、無理してセックスに応じる必要もないです。
また「閉経すると女性ではなくなる」といわれることもありますが、月経の有無にかかわらず、女性は一生女性です。
おかしなうわさに惑わされないでくださいね。

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From Lab. 編集部
「閉経に対してネガティブなイメージがあったのですが、『女性は一生女性です』という先生のひとことで印象が変わりました。うわさに惑わされず、正しい知識を得ていきたいです」
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男性にもある更年期! パートナーのことも知り、いたわり合おう

それから、更年期に不調が現れるのは、女性だけでなく男性にもあるんです。

「更年期」というと、女性の心身が不安定になる時期というイメージをもっていましたが、男性にも更年期に不調が現れるなんて全く知りませんでした……。パートナーにも共有していきたいです!

男性も、年齢を重ねるとテストステロンという男性ホルモンの分泌量が減り、イライラやほてり、疲労感、不眠など女性の更年期障害と同じような症状が出ることがあるんです。

男性ホルモンの低下によってこうした症状が現れる状態を、LOH(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼びます。
LOH症候群になる原因のひとつは加齢ですが、いつテストステロンの量が減り、LOH症候群になるのかには個人差があり、50代でなる人もいれば30代でなる人もいます。女性よりも症状が現れる年齢に差があるのが注意点です。
パートナーの体調が悪そうだけれど、健康診断では特に異常が見られないという場合は、男性ホルモンの検査をすすめるのもよいかもしれません。泌尿器科、男性更年期外来、メンズヘルス外来などを受診してみましょう。
パートナーとお互いにいたわり合って、更年期を乗り越えていけるとよいですね!

年齢を重ねると、男女ともにいろいろな不調が現れてくるんですね。そのことを知れただけでも、ずいぶん違います。理解を深めて、できるだけケアをして、元気に更年期を過ごしていきたいです!


〈今回のPoint〉
・更年期などのセックスの悩みは、婦人科に相談して解決することも
・特にセックスの痛みや腟の乾きなどは治療で改善できることがある
・更年期は男女ともにある。パートナーとお互いにいたわり合おう


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