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ポエム

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2023年6月の記事一覧

罰と穢れ

罰と穢れ

人は闇を恐れて火を作った。
神様は人を恐れて焼き払う。
雲のように空に広がる黒煙。
夕焼けのように広がる炎。
罪を浄化するように。
アダムとイヴの原罪の処置を後悔するように。
完全な正義はいらない。
穢れある自分でもいい。
人は闇や影も受け入れることを
選択する。
信じるのは自分の両手。
#詩 #散文詩

【後書き】
んー……ここ最近夕日について詩を書くことが多くて……写真は素敵だと思ったのです

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QOLクオリティオブライフ

QOLクオリティオブライフ

父も母も90近くなった。
盆と正月だけは帰省している。
蝉時雨とぎらつく陽光に
汗をしたたせながら玄関をくぐる。
庭の朝顔。きっと母がまだ育てているのだろう。
居間にはテレビを陣取った位置にいる
父が気難しい顔で
高校野球を見て、若干興奮している。
タンクトップにステテコ。
この人は家ではいつもこの格好のような気がする。
テーブルにはゆでたての枝豆。西瓜。塩。メロンときゅうりの漬物。ビールが置いて

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生命の讃美歌

生命の讃美歌

月下美人の白さに呼応するように白い光を放つ三日月。
2つは淡く光りながら。
自分たちが満ち足りていくこと。やがて、欠けていく
渦の中にいることを知っていた。
喪われていくもの。生まれていくもの。
渦の中に溺れる人の微かなつぶやきに
風にそよいだ月下美人が頷くように。

地球の人は
月を見て、「あそこに行くんだ」
そう願いをもった。
人々は繋ぎあい、その夢の果てにたどり着く。
夢のかけら……月の石と

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終末のバラ

終末のバラ

2作作ったので。

バッドエンド風バージョン

瘴気の中に狂い咲いた薔薇。
この病んだ体でいつまで愛しむことが
できるだろうか。
子供がクレヨンで描いたような白い花の幻覚さえみえるようで。
世界の終わりに、一輪でも最後に愛せるものができて良かった。
僕が人間だった証を残せて。

トゥルーエンド風バージョン

終焉を迎える世界。灰色に包まれ、
花々すら歪な形になり精彩を失う。
命消えゆく世界で
一つ

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本日答えたお題2023/06/05

本日答えたお題2023/06/05

光が明るくて、影が暗いなんて誰が決めた?
ポジティブな影があっても良いし、ネガティブな光があってもいい。眩しいほどの影。目を閉じると優しく染み込む光。
一縷の希望の影なんて表現をしたら、差し伸べてくる誰かの手の映像が浮かぶように。

お題『光と影』るぅにぃ様

死にたくない。生きたい。にアンチテーゼはいらない。

お題『アンチテーゼ』言葉の添え木様
#詩 #散文詩 #1行詩 #言葉の添え木 #る

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希望が生まれること

希望が生まれること

目覚ましが鳴る前に目覚める。
眠れなかった夜もある。
今日は眠れた夜。
カーテンを開け、換気をする。
新しい朝。新しい空気。新しい光。
新しい1日。
口ずさむ歌は明るくいたい。
憂鬱な予定はぶっ飛ばして、
憂鬱な気分は吹き飛ばして、
憂鬱な自分も波に乗って、
それでいいんだよ。きっと。
また新しい明日を。
明日を、何度も繋げて、
その果てに、見上げる朝日に。
新しい詩。新しい歌。新しい言葉。
変わ

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酷薄

酷薄

張り裂ける音を鳴らせ、
呼吸する肺に直接入っていそうな突風に、
叩きつけるような豪雨。
心音をかえりみる余裕すらない氷が
芯から体に染み込んでいくように。
涙の一雫が落とす音は聞こえない。
稲妻がさえずる。
目がにじんで、ぼやき、視界は乱れ荒れていく。
台風のその様子は、
白日に暴かれるのを拒む
ある種の感情に似ている。
死海のほとりで
鎮魂歌を紡ぐ竪琴の弦を
焼き裂くような。
その感情との葛藤の

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本日答えたお題 2023/06/01

本日答えたお題 2023/06/01

お題 『唇』 るぅにぃ様

伝達だけの器官じゃない。
理性だけじゃなく、嘘を、秘密を、本能を、感性を唇は語る。
摂食だけではない、快楽と性愛の交換も時には行われる欲望の器官。
ルージュを塗るのは保湿と虚飾のためだけじゃない。性と、生のためでもある。
#るぅにぃからのお題

お題『孤独など怖くはない』ウサギと馬様

孤独には孤独の過ごし方がある。
孤独にしか出来ない過ごし方がある。
孤独な時にしか

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我輩はカエルである

我輩はカエルである

1匹小さなアマガエル。
彼は葉っぱの影に隠れながら、
移りゆく空を見るのが好きだった。

雲一つない快晴は焼かれそうで
苦手だけど。
雲の白混じりの水色の空が
なんだか、
快晴の強さを緩和させる
淡い優しい色使いで好きだし。
明け方の空の
濃紺から青に近づくときに見せる
紫がかった空や、
雨が近づいたときに見せる
ピンクの空が
紫陽花色に見えて好きなんだ。
この6月。
6月らしいと私は思う。

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深い青に昇る煙

深い青に昇る煙

炭からチロチロと放たれる熱と発光。

すみびをみていると、
おなかがすいてきます。
うなぎ。さんま。やきとり。バーベキュー。マシュマロ。リンゴ。
おとうさんがつれていってくれたキャンプに。
つくってくれたごはん。
ぜんぶ、わたしのおもいでにのこっています。

喪われた蛍火が書いた詩のようなもの。
私はその紙を見ながらコーヒーをゆっくり、そっと飲んでいく。
冬のキャンプ場に人影はなく、その日は貸し切

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Twitterを駆け出す中で

Twitterを駆け出す中で

最近、みかんの短編部屋お題さんのお題だけが書けないっていう状態になってました。
フォローさんのつぶやきを参考にして、つぶやきスタイルなら行けるかなと思ってチャレンジしたら、思いの外うまくいきました。

お題『アムステルダム』→『とんがり帽子』→『誘う君』→『広がる牛乳』→『お湯を飲む』で繋げた方が一つの作品になりそう。

様々な表現がされるTwitter。さながら、オンラインのアムステルダムの様相

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神様の瞳

神様の瞳

上記のリンクを参照して作った作品です。

神の瞳が開いて、
人間の罪を白日の下に晒されれば、街は太陽の灼熱と虹の紫外線に消される。
神の瞳が閉じれば、人間に夢がなくなり
神は目を閉じ眠る最中、悪意は暴かれず、
悲しみの雨に包まれる。
絶望の中に神を拒むことにした人間はドームで世界を保護する。
神に見放され、神を拒否する人間たちの末路は、
黒い傘に覆われたような曇天が
隠してしまい、冷えゆくばかり。

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夏水仙が咲く

夏水仙が咲く

夏水仙。
彼岸花の仲間である
その可憐な姿は毒を孕んでいる。
闇の中に魅了させる艶やかな姿は
淡い光の中に顕現させている。
古来の佇まいを残したままの街に
並ぶ遊女が重なる。
表面上の慰みを求めて男は街を彷徨う。
裏の虚しさは残されたまま自分の住まいへ戻る。
表面上の豊かさを纏い女は街にとどまる。
自分の裏側の希望を無視して。
コドクを癒せないコドクが流される街に。
明日も夕闇が攫っていく未来は

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蝶の戯れとは?

蝶の戯れとは?

ピンクの花に舞う蝶。
蝶は戯れのために花にとまるのではない。
蝶は命の循環のシステムの一欠片のためとまる。
本能の為。

戯れとは、指一本で描かれる光景。
肩を触られ呼ばれて、振り返った時に、
花色の頬をつつく指先。
赤ん坊の手に自分の指先を握らせる母親のほころぶ花色の笑顔。
裸体をなぞり、その身体を花色に染める指先。

蝶は粛々と、淡々と命の営みをこなしていく。
人間がその姿に戯れを感じる情緒は

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