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気仙沼ニッティング 東北探検隊

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2017年8月9日から1ヶ月間、気仙沼ニッティングは東北探検隊を派遣しました。隊長に任命された私は、毎日ブログを更新しました。このマガジンはその記録です。遡ってお読みいただければ… もっと読む
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2017年8月の記事一覧

店の都合でやり方を変えたら、お客はついてこない――山形県山形市にて

店の都合でやり方を変えたら、お客はついてこない――山形県山形市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」22日目は山形県の小国町から山形市へ。
山形市に入り、夕食をとるお店に入ろうと街を歩きました。観光客目当てのお店や、全国チェーンの居酒屋などもせっかくだから避けたい。できれば、こじんまりとしたお店で食べたいと思って見つけたのが、「わかしょう」という日本食のお店でした。一品料理を中心としたお店でカウンター席に座らせてもらいました。

ご主人は、10年前に独立してこの店

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小国町はスイスのようなところ?――山形県小国町にて

小国町はスイスのようなところ?――山形県小国町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」21日目は山形県の山形市から小国町へ。
山形市からクルマで2時間半。新潟県と福島県に隣接する、山形県の端、山に囲まれた町です。面積は東京都23区より広いのですが、その95%が山という、本当に山に囲まれた町とのことです。この旅行で知り合った小国出身の方が「スイスのようなところですよ」と言われていたのが印象的で訪ねてみることにしました。

ほとんど当てもなく現地に到着し

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山形に居ついてしまったデザイナー――山形県山形市にて

山形に居ついてしまったデザイナー――山形県山形市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」20日目は山形県の最上町から天童市を経由して山形市へ。
僕は東京の人間なので、どうしても「東京から見た」東北を描きがちになります。その点を認めつつ、東北にはこんな人もいるんだと思ったのが、山形市で「アカオニ」というデザイン会社を経営する小板橋基希さんです。デザインの領域は、商品、写真、パッケージ、ロゴ、グラフィックからウェブまで幅広く、機能的でありながらどれも温かく

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廃校した小学校の意外な使われ方――山形県最上町にて

廃校した小学校の意外な使われ方――山形県最上町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」18日目は山形県の最上町へ。
日本海岸沿いの酒田市から最上町には、クルマで約70キロ。最上川沿いを上っていく道は景色が素晴らしい。酒田の人が「最上に行くなら、秋の紅葉すごいよ」と仰っていたのがよくわかりました。
新庄市を過ぎると完全に山間を走ることになります。そんな集落もまばらな道沿いに「Café」の看板が目に飛び込んできました。Uターンして看板に従って道を降りてい

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宿のご主人は「東京で画商をしていました」――山形県酒田市にて

宿のご主人は「東京で画商をしていました」――山形県酒田市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」17日目は山形県の酒田市へ。
「いらっしゃい。長旅ですか?」
宿に入ると、滑舌のいい大きな声でこう話しかけてくれました。昔相撲でもされておられたかのような巨漢のこの方は、「日和山ホテル」のご主人でした。ちなみに、お相撲さんではなく高校時代の応援部だったとのこと。
旅人を親身にかまったくれる方です。宿帳に名前を記入しながら「酒田は初めてなんです」と話すと「この町は昔、

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「美味し過ぎる焼きそば」を出す喫茶店――秋田県にかほ市にて

「美味し過ぎる焼きそば」を出す喫茶店――秋田県にかほ市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」15日目は秋田県にかほ市の象潟へ。
象潟(きさかた)という町は、かつて松尾芭蕉が「松島に並ぶ景観」と称した場所です。象潟の湖に無数の島々が浮かんでいた光景を見た芭蕉が、そう称したのです。その後、江戸時代後期に象潟地震で海底が隆起し陸地化してしましいましたが、水田としていまなお芭蕉の見た光景の面影を残しています。そして、海沿いの町でありながら近くには鳥海山がそびえる。

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田んぼの真ん中にカフェをつくったスロバキアのご主人――秋田県大仙市にて

田んぼの真ん中にカフェをつくったスロバキアのご主人――秋田県大仙市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」14日目は秋田県の阿仁から大仙市へ。
阿仁という山村から角館に向けてクルマで走っていたら、美味しそうなパン屋さんを発見。クルマをUターンさせてお店に入りました。「パンドコロ TOSSI(とっし)」というこの店は、兵庫県の「ビゴの店」で修業されたご主人が焼くパン屋さんで、クロワッサンを購入。「パンとコーヒーが好きで」とお話しすると、近くにこのパン屋さんのパンを使ってい

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マタギという生き方を心底楽しむ人――秋田県北秋田市阿仁にて

マタギという生き方を心底楽しむ人――秋田県北秋田市阿仁にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」12日目は秋田県北秋田市の阿仁へ。
マタギに会うにはどうすればいいのだろう。ネットで調べてみたら、阿仁というところが、マタギ発祥の地で、マタギ資料館もあることがわかりました。秋田市からはクルマで二時間ほど。高い秋田杉が連なる山々をみながらどんどん山奥に入ると、マタギ資料館がありました。ここでは、マタギの歴史からかつて使っていた道具などの展示を見せてもらい。実際、いま

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「いまでも、なまはげは恐いですよ」――秋田県男鹿市にて

「いまでも、なまはげは恐いですよ」――秋田県男鹿市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」12日目は秋田県の男鹿半島に。
「悪い子はおるか!!!」
ドスのきいた低い怒鳴り声と大きな足音と同時に、障子が勢いよく開く。
出てきたのは、赤いお面を被った2人組のなまはげでした。
ここは男鹿市の男鹿真山伝承館。通常は大晦日しか現れないなまはげを、観光客向けに毎日実演してくれています。この日のお客さんは20人くらい。僕を含め大人もその迫力に驚くし、小さな子どもは完全

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老舗の酒蔵には写真ギャラリーがあった――秋田県潟上市にて

老舗の酒蔵には写真ギャラリーがあった――秋田県潟上市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」11日目は秋田県に入り、八郎潟に隣接する潟上市の酒蔵へ。
潟上市にある小玉醸造さんは、創業138年の老舗企業。清酒「太平山」で有名であり、また醤油と味噌の生産も手掛けられ、味噌の生産量は秋田県最大だそうです。最初に驚いたのが、その広さ。東京ドームほどの大きさとのことで、明治時代に作られたレンガ造りの醸造蔵が目を引きます。事務所も映画に出て来そうな趣きがあり、古い建物

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探検隊は楽し過ぎますが、休息も必要なんです。――青森県青森市にて

探検隊は楽し過ぎますが、休息も必要なんです。――青森県青森市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」10日目は休息日。
冒険隊は1か月の予定なのですが、その間、東京に戻る用事もあるため、全行程を3期に分けています。いまは第2期で15泊16日というロングラン。この長丁場を乗り切るために、途中で休息日を入れようと決めていて、今日がその日でした。

東北に行き、好きなところに行って、好きなものを食べるとは、羨ましい限り。疲れとか休息とか無縁なんじゃない?と思われる方がい

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イタコさんに会いに行きました――青森県むつ市にて

イタコさんに会いに行きました――青森県むつ市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」9日目。青森県大間町からむつ市へ。
「イタコさんに話しを聞いてみたい」。そんな当てもない願望も口にしていたら、大間で知り合った方が「知り合い、いるよ。連絡先教えてあげる」とイタコさんの電話番号とご住所を教えてもらいました。朝の10時を過ぎるのを待ってお電話。見事につながったのですが、この方、年配の男性で耳が遠いとのことで、「聞こえないんです」と言われ電話は切れてしま

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なぜ人気の食堂を譲って、民宿の女将になったのか――青森県大間町にて

なぜ人気の食堂を譲って、民宿の女将になったのか――青森県大間町にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」8日目。青森県弘前市から大間町へ。津軽三味線やりんご、そして白神山地など、弘前が面白すぎて連泊してしまったつけで、今日は、北東の大間へ、クルマで4時間半かけて走りました。マグロの一本釣りで知られる、あの大間です。

大間では観光案内所で紹介された民宿の一つに泊まりました。玄関を開けると、民宿というより、何度か来た友達の家に入ったかのような。奥から「はい、さっき電話さ

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津軽のポール・マッカートニー ――青森県弘前市にて

津軽のポール・マッカートニー ――青森県弘前市にて

気仙沼ニッティング「東北探検隊」7日目。青森県弘前市に。
生で聴く津軽三味線は、迫力満点でした。場所は弘前市の「ねぷた村」(弘前では、「ねぷた」と言います)という観光施設で、ここで1日数回生演奏が行われます。その音は、弦楽器というより打楽器のよう。「弾く」という表現より、弦を撥で「叩く」と言った方が似合う奏法で、弦から伝わってくるメロディと、撥が弦を叩くドラムのような音とが合わさって独特の音となり

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