すぐ読める!忙しい人向けのためのシュールレアリスム二篇(12/31追記更新♫) New!!
『考えるな、感じろ!(Don't you think,feel!)』
ブルース・リー主演映画 “燃えよドラゴン”より
第一篇:『シュレディンガーのニャンコドン』←新作!(New!)
そんなわけで、ようやく、わたしは大好きな彼と婚約をし、
結婚式当日を迎えることが出来た。
教会では、神父様を真ん中に、わたしとフィアンセは向かい合う。
『さぁ、誓いのキスを』
神父さまにそう言われて、愛しの彼は、
わたしの唇にキスをするのかと思いきや、
「もらった――!!!」
彼は、いきなり発狂し、叫びだし、
彼の鼻の穴からは、
アナコンダ並にでかい鼻毛がぶよぶよ飛び出し、
それは触手にまでなって、神父様をぶっ飛ばし、
周囲の奴らをけちょんけちょんにしてしまった。
なので、わたしは、空かさず、
「チェストォォォォ――――!!!」
と叫んで、
大事なフィアンセの股間に迷わず金的蹴りを喰わせた。
ついでに、わたしはフィアンセをボコボコにタコ殴りにして、
教会を走って脱出することに成功した。
走りながら、今のわたしは、
どうやらトレパン姿だったことに気づいたのが、もはや遅かった。
こうして、わたしは走って走って走りまくったのだった。
今更ながら、
わたしは冷凍食品のナシゴレンを食べなかった不甲斐なさを恥じてしまった。
それに、わたしは焼き魚がキモヲタに進化を遂げたことにだって気づいていなかったはずだ。
――全ては、ニコニコ丸とプリティ岡田が、
『コーヒーとラジコン』で牛丼を作らなかったせいだ!
走っているうちに、
わたしは公園にたどり着いたので、
ひとまずジャングルジムの頂上で無意味な逆立ちをした。
すると、
少し離れたところの滑り台が丁度ゲップをしたようだったので、
わたしはブランコにキャットフードをあげることにした。
キャットフードをあげるとブランコは、
ゲップの代わりに、くしゃみをしたので、
わたしはビタミン剤がカブトムシになる奇跡を想像してみた。
想像していたら、ニチアサの美少女戦士が、
露出狂の水着ババアに変化したので想像をやめた。
ということで――。
わたしは公園を抜けて、
角度が直角90度の坂道を全力で駆け上がっていたら、
直角90度の下り坂になったので、
それも全力で駆け下りた。
駆け下りている途中、
何匹かのキングコングとムカデマンと、
出来損ないのスライム将軍にぶつかったような気がしたが、
そんなことは今のわたしには、
わりかしどうでも良かった。
そんなこんなで、
ようやくわたしは、
『グルコサミンとねじり鉢巻のための悶絶集会所』に到着した。
そこには――。
蝦空千鶴がゴスロリバージョンで待機していたので、
彼女には聞きたいことが山ほどあった。
「ちょっとお尋ねしたいのですが……」
「うむ? わらわに何か用かの」
「はい。
実は……脱皮を終えたばかりのピタゴラスイッチは、
どうして札幌駅を通過しないのでしょうか?」
「うむ。なるほど。
松ぼっくりが歌舞伎町に七味唐辛子とサンダルを投げなかったことも問題じゃったが」
「し、しかし、それではコインランドリーが、
耳かきでバンダナを発見しなかったことと、
密接にならないじゃないですか!?」
「うむ。まぁ落ち着け。たしかにそのとおりじゃ。
鎧には津軽海峡が必要じゃった。
まさに、
それはわさびにもプエルトリコが必要であるのと同じようにの。
じゃが、
リアル三次元の巨乳と貧乳には、
爪楊枝とスクール水着が必要じゃろうに」
「た、たしかに!! 言われてみればそうですね。
片栗粉からランドセルとリコーダーを出すのと同じ理屈ですからね」
「そうそう! そういうことじゃよ。
あとはアレじゃ。
ブラジャー変態仮面には、
タピオカと便所コオロギを提供してあげることも寛容なのじゃ」
「蝦空先生! もしかして、
あなた……もしかしてリサイクルショップがポケモンGoと糸ようじで幽体離脱が成功すると思っていたのですか!?」
「はっはっはっ!
まさか、わらわはアレじゃよ。
トイレの消臭力に枕アイドルと童貞靴下の呪術をかけてやっただけじゃ」
「なななな、な、なんですってぇぇ!!?
お、お……おそれいりました――――!!!!」
こうして、わたしは新年の光を直で迎えるために、
猫とヤドカリ用のコンビニのトイレで手を洗おうと心に決めたのだった。
めでたし。めでたし。
12月31日書き下ろし。
第一篇:『シュレディンガーのニャンコドン』 Closed.
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第二篇:『海辺でクラスメイトの男子を見かけたら“ベントラー*2”と唱えよ』
「あたし……ずっと前からあなたのことが……す……好きだったの!!
だからその……このあたしと……つ、つ……付き合ってください!!」
場所はあたしの自宅。
あたしは顔を真っ赤に、意を決して、
ずっと片想い中だった、大好きな彼にようやく告白した。
そんなあたしの思い切った告白に、
彼は悲しそうな表情をして、
「ごめん……」
そう一言、謝ったのだった。
その、『ごめん』という一言が、
あたしの心にポッカリと穴を開ける。
なんだか、あたしまで悲しくなってしまった。
あたしは涙を堪えながら、
「どうして……? どうしてなの?
あたしじゃ……ダメなの?」
すると、彼は首を横に振って、
「違う……違うんだ……」
「もしかして……他に好きな人……いるの?」
「違うんだ……その……ごめん……」
彼を見つめていると、
今にも彼まで泣き出しそうだった。
「僕は……僕は……その……」
「…………うん」
あたしはゆっくりと、彼の次の言葉を待った。
「僕は…………僕は……僕は!
僕は君が好むような、
使用済みのブリーフパンツになることが出来ないんだぁ!!」
突然、彼はそのように、わめきだすと、
女の子用のはかせるオムツのムーニーマンを1枚取り出し、
自分の顔からズッポリとかぶったかと思えば、
発情した雄豚の如く、スーハースーハースーハー……と、
鼻呼吸をはじめた。
そして、彼はあたしの部屋の窓を、
ガララァ――ッと勢いよく開けたかと思うと、
遠い空に向かってクロールで泳ぎ飛んでいった。
あたしは遠い大空を、
クロールで泳ぎ飛ぶ彼の後ろ姿を眺めていたら、
ようやく、自分は、ここ最近『バーモントカレーの辛口』を、
食べてなかったことに気がついたのだった。
だから、あたしは全開の窓を閉めて、
テレビをつけることにした。
テレビをつけると、
『あれれ~? あれあれあれれ~?
君は……君はもしかしてドラえも~ん!そうだよね?
君はドラえも~ドラえドドドドドドラえも――ん!!Σ(´∀`;)
だよね? だって君は……君こそは、
ド~~~~ラ~~~~え~~~~も――――――――んっ!!!!Σ(゚д゚lll)
やっぱそうだよっ! 君は、
どぅお~~~~~~~~、
るぁ~~~~~~~~~、
うぇ~~~~~~~~~、
むぉぉぉぉ~~~~―――――――――ん!!゚(゚´Д`゚)゚
ド~~~~~~~~
ラ~~~~~~~~
え~~~~~~~~
も―――――――――――――――――んっ!!!(*∩∀∩*)
ドラえも~ドラえも~ドドドドドドラえも~~~~ん!!!<(*ΦωΦ*)>
ドラドドドドラえドドラドドラえドドドドラえもんえもドラドドドドドドドラえドラドラドラドドドドドラドドラえドラえドラえも~ん♫(((o(*゚▽゚*)o)))
ドラドラドラドラドラドラえドラドラドドドドドラドラえドラえも――――ん!!!Σ(゚д゚lll)
ド――ドラドドドドラド――ラドラえドドドドドラドラドラえドラドラえもドラドドドドラドラドドラドドラえむぉ~~~~んん!!\(//∇//)\
ドド――ドドドドラドラドドラドラドえもドラドドドラドラえドドドラドドドドドララえも――――…………
…………って思ったら
ド ラ ニ ャ ン じ ゃ な い の ん っ !(`・∀・´)』
という、なんだか一体何がしたいのか、
よくわからん意味不明なCMが流れていたので、
チャンネルを変えると、
今度はどう見ても、怪しくて謎の着物姿の胡散臭い変な女が、
『はっはっはっはっはっ!
は――っはっはっはっはっ!!
このわらわこそが、蝦空chi――』
と、なにやら言いたそうだったが、
あたしは最後まで聞かず言わせずテレビを消した。
そんなわけで――。
あたしは、しょうがないのでヤカンに水を入れて、
お湯を沸かそうとガスコンロのつまみを回そうとしたところで、
ピンポ~ン♫と玄関のチャイムが鳴ったので、
慌てて手を離し、それから玄関の扉を開けた。
玄関の扉を開けると、
薄らハゲのオッサンが立っていた。
どうも見るからに顔色が悪そうだった。
「はい。どうしましたか?」
あたしは冷静にそう尋ねると、
「た、たた……た……助けて欲しいんです!!」
「助けて欲しい? 一体どうしたんです?」
これはただ事ではない雰囲気である。
「実は……ポテトチップスが……」
「ポテトチップスが?
ポテトチップスがどうしたというんです!?」
「ポテトチップスが……私のことを狙ってくるんです!」
「なんですって!? ポテトチップスが!!?
……もしかして……のりしおパンチ味ですか?」
「違います……。
……ちょっとリッチなコンソメ味です……。
……あの……私は一体どうすれば……!?」
「大丈夫! 大丈夫ですので落ち着いてください。
ここにはあたしとあなたしかいません。
冷静に今から、すぐにここのアパートを出て、
すぐ手前にある、
〈変態ネドゲーマーの廃人横丁〉という名の、
極めて陰気で不気味で不愉快な横丁に入ってください」
「なるほどなるほど、
〈変態ネトゲーマーの廃人横丁〉という名前の、
極めて陰気で不気味で不愉快な横丁ですね、わかりました」
薄らハゲのオッサンはオウム返しに言った。
あたしは続ける。
「はい。で、その横丁を汗だくで泥だらけになったブタゴリラキング四世のような気分で1時間歩き続けてください」
「なるほどなるほど、なるほどですね!
すると……最終的にどうなるんですか?」
「はい。で、歩き続けると、右側に、
だらしねぇスーパーマーケットという名前が見えてくるので、
迷わずその店に入店してください」
「そこで何を買えばいいのです?」
「はい。そこで税込88円の牛乳と、
税込198円のコーンフレークを買ってください。
買ったら家に帰って、
それをモシャモシャと無言で食べればあなたは助かります」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。ただし、入店する際に、
ある儀式をやって欲しいんです」
「ある儀式……ですか?」
「はい。
だらしねぇスーパーマーケットに入店した瞬間に、
『巨乳ギャルの生パンティはダックスフンド!』
と、でっかい声で叫んでください」
「ほうほうほう!!
なるほどなるほど~なるほどですね!
『巨乳ギャルの生パンティはダックスフンド』とでっかい声で叫ぶ。
……しかし……あの……その……それって叫ぶ何か……その……あの……、
その……叫ぶ何か“意味”とかって、……あるんでしょうか?」
無粋なことを訊かれて、あたしはいよいよ憤慨した。
「何を仰ってるんですか!
叫ぶ“意味”なんかあるわけないでしょう!!」
「え!? じゃあ……、
それを叫ぶことで私にどんなメリットが!?」
「メリット? メリットなんかありませんよ」
「ええぇぇ!! メリットないんですか!?」
「メリットなんか無いに決まってるべや!
……まぁ、アレですよ。あえて言うなら、周囲の客に、
『あ~……いよいよ頭のイカれた変態ハゲが来店してきたな~』
と思われるデメリットならあります!」
あたしがはっきりキッパリと言うと、
オッサンはいよいよ観念した表情になり、
「お姉さん……あなたはもしかして……天使か何かですか?」
「いえいえ、あたしはどこにでもいる、
ただの普通のインテリ番長な女ですよ」
「そうでしたか……。わかりました! ありがとうございます!
この御恩は一生忘れません!!」
薄らハゲのオッサンは泣きながら、
あたしに何度もお礼を言って、すぐに目的地へと向かった。
あたしも玄関の扉を閉めて、再度、ガスコンロのつまみを回した。
すると、ちゃんと点火されたのだが、10秒もしないうちに、
『沸いたっしゅ~♬ 沸いたっしゅ~♪ オイラ沸いたっしゅ~♬』
と、ヤカンが喚きはじめたので、
あたしは火を止めるのだが、ヤカンからは湯気の代わりに、
ポップコーンが注ぎ口から次々と溢れ出した。
恐る恐る、あたしはそのポップコーンの一つを手に取って、
パクッと口に放り込んでみた。
そしたら、なんと――。
てっきりポップコーンを口に入れて、
食べたはずだと思っていたら、
あたしが咀嚼していたのは――。
スナック菓子のキャベツ太郎だった。
――嘘よ! そんなはずはない!
そう思ったあたしは、
ポップコーンをもう一つ口に放り込んで噛んでみると、
今度は、とんがりコーンの焼きとうもろこし味だった。
なんだか非常にイライラし、いよいよ、
「ぐぬぬぅ~!! ぐぬぬぬぬぅ~!!!
おのれぇ~!! おのれぇ~蝦空千鶴めぇ~!!』
怒りが沸騰点に達したあたしは、制服に着替えて、
学校に登校する決心をした。
そんなわけで――。
今日は学校で、
何が起こるのかしら~♡ うふふ~うふふふふふ~♬
などとウキウキで登校していたら、
たまたま空の上を、
“うさぎマンX”が三輪車で飛翔してい、
あたしと目が合うと、
「ペリカンのゲップに宿る天使こそが偉大である!!」
などと叫び、
奴はけたたましいほどの、
でかくて臭いオナラを上空でぶっ放したことで、
空は一瞬で〈夜〉になってしまった。
〈夜〉になったため、あたしは学校に登校するどころではなく、
もう下校ならぬ帰宅をしなくてはならなくなった。
だが、まずは学校に電話をしなくてはならないと思い、
スマホを取り出して、学校に電話した。
『トゥルルルルル……トゥルルルルル……ガチャッ……、
はい、こちら学校です』
「あ、もしもし?
あのぅ……たった今、
うさぎマンXが空でオナラをしたら〈夜〉になってしまったので、
もう家に帰ろうと思います」
『そうでしたか。いや、今日はお疲れ様です。
わたくしたち教員もついさっき学校に到着したばかりですが、
たしかに、〈夜〉になったため、
我々もそろそろお開きですので』
「では、また明日」
『はい、また明日、ガチャ……』
ということで、
あたしは電話を切って登校すらしていないが、
下校することとなった。
で、家に到着し、ドアのロックを解除して、
ガチャッと開けると、
あたしの家の中から大量の一日分の〈夜〉が、
大洪水の如く、外に溢れ出した。
そして、ようやく落ち着いたところで、
あたしが家の中に入った時には、
もう〈朝〉になっていた。
あたしはとりあえず、
シャワーを浴びて――浴び終えた頃には、
もう〈昼〉になっていた。
なので、あたしは、
――お昼ご飯を食べなきゃ!
そう思ってあたしは冷蔵庫を開けて、
卵を一つ取り出して、手のひらに乗せると、
卵は突如、空中浮揚を開始した。
しかも、その卵はあたしの顔の高さまで空中浮揚し、
ブルブルと震え、
やがては、パカッと音が鳴ったのと同時に、
ピンク色のヒヨコが空中浮揚状態で登場した。
ピンク色のヒヨコはあたしと目が合うと、
「プププププ!
お前はバンジージャンプのヒーローになることは出来ないピヨ!」
などと、ヒヨコには似合わない、
ボーイッシュな声で言ってきたので、
あたしは割り箸でピンク色のヒヨコを掴むと、
ヒヨコはモンシロチョウに変身したため、
あたしは台所の窓を開けて、外にかえしてあげた。
するとモンシロチョウは、
空の一番高いところで光ると、
それは天気雨に変わって、街中を虹色に染め上げた。
あたしはその光景を見て、
――あっ! あたしは“会社に”行かなきゃいけないんだった!
と、思い出した。
こうして、あたしはパンツスーツに着替えて、
自宅を出て、テクテクテクと地味に歩いて、
路地裏にいるニャンコドン(猫)がいたので、
ニャンコドンを触ろうとしたら、
「シャーッ!」って言われて、
更に噛み付かれて引っ掻かれて逃げられたので、
またテクテクテクテクテクと歩くことにした。
歩いていたら、やがて、いつものオフィスビルに到着した。
で、そのビルに入ったら入ったで、
受付嬢の顔というか、
頭全てがサボテンだったから指を差して大声で笑ってやった。
すると、サボテン頭の受付嬢は、
ヘリウムガスを吸ったような声で、
「今日はバームクーヘンの下僕ピコリンとキモヲタ海パン男子草野球同盟の臨時会議なんですよ!?
あなた知ってましたか!?」
などと発狂しながら言ってきたので、あたしは、
「はぁ? なに言ってるのよ!
焼きそば大臣と女子風呂覗き魔太郎を言い負かして倍返しが出来なかったのは、あなたと洗濯バサミと防虫剤の責任じゃない!」
そのように言い返してやった。
受付嬢はグーの音も出ないほど、
黙り込んだので、あたしは勝った気分になった。
――なんて気分がいいのかしら。
そんなこんなで、あたしは久々に清々しい気分で、
高速エレベーターに乗ることが出来た。
エレベーターにはエレベーターガールがおり、
「今日は何階にしますか?」
と、尋ねてきたので、
「今日は8億9627万5341階でお願いするわ」
「かしこまりました。いつもの173階ですね。
お支払いはゴールドカードですか?」
「いえ……今日はブラックカード一括で支払ってあげるわ」
「さようですか。誠にありがとうございます」
エレベーターガールが、そう言うと、
高速エレベーターは、たったの5秒で173階に到着した。
あたしは、エレベーターから出る前に、
ブラックカードを内ポケットから取り出し、
それをエレベーターに装着された、
特殊カードレコーダーにかざすと、
“本日のご利用料金は、19億7523万円でした”
と、表示され、ドアが開いた。
――今日もいい具合にぼったくられたわ~
ということで――。
あたしはエレベーターから降りて後ろを振り向くと、
エレベーターガールは満面の笑みで、
「本日も、エレベーターをご利用頂き、
誠にありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております」
そう言って彼女は頭を深々と下げると、
エレベーターのドアはまたバタンと閉まった。
ということで――。
あたしはいつもの自分のデスクに向かおうと、
歩いていると、社内では部長と課長と係長のおっさんどもが、
触手になった三種のチーズに縛られて、
チョメチョメされていた。
「うわあぁぁ~~助けてくれぇぇ~!!
おひょひょひょひょぉ~♡♡
そんな感じやすい変なとこ弄るなぁ~~!!
男の性感帯が馬鹿になっちまうぅぅぅぅ~~!!!」
などと、おっさんどもが情けない声で喚いていたが、
あたしはそれらを一瞥しただけで、スルーした。
まずは自分のデスクに鞄を置き、それから椅子に座った。
次に、デスクの引き出しを開けた。
引き出しの中には、
食べきりサイズの『にこにこぷん』の再放送菓子が、
いっぱい入っていたので、
ひと袋を取り出し、封を開けて、
ポリポリモシャモシャと食べながら、
再放送を堪能していたら、
窓の外から、
「はっはっはっはっはっ!
はーっはっはっはっはっはっ!!」
という、無駄にでかい馬鹿笑いが聞こえてきた。
――あら? 何かしら?
そう思って窓の方に行くと、
なんと雄大な夕焼け空に、一羽の鶴が、
総合格闘技(MMA)の、
男用ファイトショーツをくわえて飛翔してい、
そのすぐ後ろを、
インスタントのチキンラーメン5個パックが追い掛け回していた。
「は――っはっはっはっはっ!!
は――――っはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
という鶴のバカでかい馬鹿笑いが、
いつまでも、あたしの働くオフィスまで聞こえてきた。
あたしはその光景を眺めていて――。
――今日は仕事帰りに、どっかの薬屋に寄って、
トイレットペーパーシングル12ロールと、
バスロマンとシュミテクトとモンダミンと爪楊枝と、
ついでに、スナック菓子のポリンキーめんたい味を買わなきゃ!
と、固く心に決めたのだった。
めでたし。めでたし。
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前衛短編小説2
『海辺でクラスメイトの男子を見かけたら“ベントラー*2”と唱えよ』
closed.
シュルレアリスム詩人アンドレ・ブルトン作
『Page-Objet (1934年)』より
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皆様からの暖かな支援で、創作環境を今より充実させ、 より良い作品を皆様のもとに提供することを誓いま鶴 ( *・ ω・)*_ _))