彼女。ホームにて。
品のある制服姿。
お嬢様学校に通う彼女。
そんな彼女が、駅のホームで堂々とタバコをふかす。。。
誰も注意しない。
当たり前の日常光景。
彼女は14歳。
中学3年生。
私は高校3年生、17歳だった。
だいぶ冷えてきた、寒いのだ、彼女は駅のホームのベンチに私を座らせ、彼女は両足を大胆に開き、私の両股にまたがるように座る。
そして強く抱きつく。
電車が来た。
彼女は抱きついたまま離れようとしない。
(この姿勢のまま、抱っこして電車に乗りたいのかな?)
電車が停まり、ドアが開く。。
電車内から、若い制服姿の我々を覗きこむように見る人々、、
そして、私を見つめ続ける彼女。
彼女が言う。
「暖かいから、このままでいようね。」
「一本逃しても、門限には間に合うからさ。」
下を向いている私に、
「どうしたの?」「顔赤いね」
「恥ずかしいのかな?見せ付けてやろうよ!」
大胆に抱きつき腰をくねらせる。
私は、(早くドアよ、閉まれ!)
(早く出発してくれ!)
願っていたほどに恥ずかしかったのを今も覚えている。。
彼女は確かに堂々としていた。
あらゆる意味で頭もよく、容姿も品があり、姿勢から彼女の家柄の裕福さが見てとれるだろう。
そんな彼女が制服姿でタバコを吸い、駅のホームのベンチにて足を開いて私にまたがる。
今思うと異様な光景だ。
当時、1995年代は異常な世界だったのか、
地域に依るのか、あの当時、八王子市や日野市に隣接すりる昭島市に住んでいた。(実家。)
制服姿の高校生が普通に手頃で誰もが知るフランチャイズの飲み屋でタバコを吸い、酒を飲んでいた。それが日常光景だった。
14歳の制服姿の彼女が、私の耳元に、
「次の電車が来るまで、このままでいようね。」
あれから17年後、私は妻とベビーカーに乗せた娘と実家の昭島で買い物をしていた。
3ヶ月に1度、2度は実家に顔を出すのだ。
妻と娘といる時、偶然、ショッピングモールで彼女を見かけた。
彼女は中学生ではなかった。(当たり前だが。)
立派な大人になり、1人だった。
目があった。
彼女は私に気付き、妻と娘がいるのを瞬時に察し、気付かない振りをして通りすがった。
しばらく歩き後ろを振り向くと、
彼女は私を見ていた。
何故か、息子を見送るような、暖かい眼差しだった。
あの光景は忘れることはないな、、、
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