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【解説】細胞の構造と働きについて


生き物の種類は様々で、私たち人間のように、たくさんの細胞でできる「多細胞生物」もいれば、アメーバやミドリムシ等のように、1つの細胞だけで生命を維持している「単細胞生物」もいる。

細胞が生命を維持するためには、エネルギーを作ったり、増殖したり、不要な物を排出したり、と様々な機能を持たなくてはならない

今回は、細胞の構造と働きについて解説したいと思う。


〈目次〉
1.細胞の種類と構造とは?
2.細胞の構造  主な構成要素
(1)「核」•••遺伝子の貯蔵庫
(2)ミトコンドニア ••• エネルギーを作る
(3)葉緑体  ••• 光合成に必須
(4)液胞
(5)細胞膜
(6)細胞壁
(7)細胞質基質
3.動物細胞と植物細胞の違い


1.細胞の種類と構造とは?
細胞とは、生物の基本単位であり、全ての生物は細胞でできている。

この細胞には2種類あり、それぞれ、体をつくっている「体細胞」と、精子や卵など生殖に関わる「生殖細胞」がある。

なお、一般的に「細胞」とだけ言う場合、「体細胞」を示していることが多い。

以降、「体細胞」について解説していく。

「体細胞」を構成するものには、「細胞小器官」などと呼ばれるものがあり、それぞれ役割分担をして生命維持ができるようになっている。

このような細胞の構造のうち、生物の知識として基本となるものは以下の図の通りである。

「動物細胞」と「植物細胞」の構造


また、細胞の構造は、「原形質」「後形質」に分けられる。

細胞の構造 「原形質」と「後形質」


「後形質」とは、「細胞壁」と「細胞液(のちに説明する液胞の中身)」の2つであり、その他は全て「原形質」である。

また、「原形質」はさらに「核」とそれ以外に分けられ、この核以外の部分をまとめて「細胞質」と呼ぶ。

そして、この「細胞質」は「細胞膜」・「細胞質基質」と、「細胞小器官」に分けられる。

「ミトコンドリア」や「葉緑体」など、こまごまとした器官は「細胞小器官」である。

細胞はひとつひとつで自分自身を維持、増殖できるようになっている。

そのための役割を「細胞小器官」が互いに分担し、時には協力もして、細胞が維持されている。

2.細胞の構造 主な構成要素
(1)「核」•••遺伝子の貯蔵庫
大抵の生物の細胞には、動物細胞にも、植物細胞にも、中心に「核」と呼ばれる部分がある。


核は、染色体(DNAとタンパク質からなる)を持ち、遺伝情報をつかさどっている。

・核の構造
核は、「核膜」という二重の膜で覆われていて、ところどころに空いた「核膜孔」で核内外の物質の輸送を行う。

「核」の構造


「核膜」の内部には「核液」という液体が入っていて、そこに「染色体(DNA+タンパク質)」「核小体」が浮かんでいる。

「核小体」は、遺伝物質の一種である「RNA」や、細胞小器官の「リボソーム」が使うタンパク質を作るところである。

・核の機能
核は、遺伝情報(DNA)の保持と伝達を担っている。

核の中にあるDNAは、普段は細い糸のような状態で存在しているが、細胞分裂をする時に凝縮し、染色体になる。

染色体は酢酸カーミンや酢酸オルセインなどの塩基性色素でよく染まるため、そのような実験を覚えている方も多いかもしれない。

※「真核細胞」と「原核細胞」
先ほど、大抵の生物の細胞には核が存在すると言ったが、核が存在しない細胞からなる生物もいる。

核のある細胞を真核細胞、ない細胞を原核細胞という。

原核細胞は、細胞内に染色体をもってはいるものの、それが核膜に覆われていないため核という形にまとまっていない。染色体が細胞の中に漂っているような状態である。
主に細菌類やラン藻類などが原核生物にあたる。

(2)ミトコンドニア ••• エネルギーを作る
・ミトコンドリアの構造
ミトコンドリアは2重の膜があり、外側を「外膜」、内側を「内膜」と呼ぶ。

また、内膜はひだ状に入り組んだ形をしており、そのうち内側に飛び出た山折りの部分を「クリステ」といい、逆に引っ込んだ谷折りの部分を「マトリックス」という。

「ミトコンドミア」の構造


マトリックスという構造内には「ミトコンドリアDNA」という独自の遺伝情報がある。

このDNAは、通常の生物のDNAと違って環状の構造をしている。

この独自のDNAを持つということから、ミトコンドリアは太古の昔には別の生物(細菌)で、細胞と共生していたが、進化の過程で細胞内に取り込まれたものなのではないか、と言われている。

・ミトコンドリアの機能
ミトコンドリアは、真核生物に存在する構造で、「好気呼吸(酸素による呼吸)」を担っている。

そのため、ミトコンドリアは呼吸に必要な酵素を含んでいる。

ミトコンドリアが好気呼吸を行うことで、細胞の活動に必要なエネルギー(ATP)が産生される。

(3)葉緑体  ••• 光合成に必須
・葉緑体の構造
葉緑体は、光合成を行う植物に存在する。
葉緑体は2重膜でできていて、顕微鏡で見ると緑色をしている。

また、葉緑体も、ミトコンドリアと同様に、独自のDNAを持つことが知られている。

「葉緑体」の構造


葉緑体の内側の部分は「ストロマ」といい、「チラコイド」という薄い袋状の構造が並んでいる。
葉緑体のDNAは、環状の構造をしていて、「ストロマ」に存在する。

「チラコイド」の膜には、緑色の色素である「クロロフィル」を大量に含むからで、この色素が光合成をする際に活躍する。

「チラコイド」は互いにつながっていて、内部空間が通じていると考えられている。
多数の「チラコイド」が重なったものを「グラナ」という。

・葉緑体の機能
光合成が最もよく知られた主要な機能である。
葉緑体は光合成により、「デンプン」や「グルコース」などの有機物を合成する。

それ以外にも、窒素代謝、アミノ酸合成、脂質合成、色素合成など、植物細胞の代謝の重要な機能を担っている。


ここで、細胞小器官のうち、2重の膜を持つものや、独自のDNAを持つものについてまとめてみる。

まとめ図


(4)液胞

液胞は、「動物細胞」にも存在しているが、あまり発達しておらず、おもに「植物細胞」で見られる。

・液胞の構造
液胞は、その名の通り、膜の中に細胞液という液体を含んだ構造である。

「液胞の膜」は細胞小器官であり、原形質に属しますが、中身の「細胞液」は後形質に属する。

細胞液には無機塩類、糖、色素(アントシアンなど)が貯蔵されている。

・液胞の機能
浸透圧の調整や、細胞内の各物質の濃度調節を行う。


(5)細胞膜
・「細胞膜」の構造と機能
「細胞膜」は、動物細胞や植物細胞で、「細胞質」を包み込んでいる膜のことである。

細胞膜は、選択的透過性という性質を持っていて、細胞に必要な物質のみを細胞内に入れ、不要な物質を外に出す役割がある。

また、細胞の外からの情報をキャッチする役割もある。


(6)細胞壁
・「細胞壁」の構造と機能
「細胞壁」は、主に植物細胞で、「細胞膜」のさらに外側にあり、「細胞質」を囲んでいる。

「セルロース」や「ペクチン」を主成分とし、細胞の形を守る役割がある。

物質を通すための穴が大きいので、液体に溶けているほとんどの物質を透過する全透性を持った全透膜である。


(7)細胞質基質
「細胞質基質」の構造と機能

細胞質基質は、細胞膜の内側を満たす液体の部分を指す。

タンパク質の合成など、様々な化学反応の場になっている。

細胞内に流れ(原形質流動)を作り、物質の輸送、細胞小器官の配置、細胞と細胞の間の信号を伝えることなどを行う。

3.動物細胞と植物細胞の違い
動物細胞と植物細胞では、構造に違いがある。
以下の表を参照いただきたい。

「動物細胞」と「植物細胞」


葉緑体と細胞壁は植物細胞にしか存在しない。

葉緑体が光合成に必要な細胞小器官であることは、上述したとおりである。そのため、葉緑体は光合成をする植物細胞にしか存在しない(例外を
除く)。

また、細胞膜は動物細胞、植物細胞どちらにも存在するが、細胞壁は植物細胞のみに存在する。

動物細胞は能動的に動くため、固いセルロースを含む細胞壁が必要なくなったと考えられる。

参照元: 「受験のミカタ」Webサイト

以上

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