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心理学の巨匠「フロイト」について

経歴や思想をわかりやすく解説いたします


フロイトは精神分析学や心理学に多大な影響を与えたといわれています。

心理学者として有名なフロイトですが、精神科医としても大きな功績を残してきました。

今回は、フロイトの経歴や思想についてわかりやすく解説いたします。


〈目次〉
1.ジークムント・フロイトはどんな人か
2.麻酔剤としてのコカイン研究
3.PTSDに通じるヒステリーの研究
4.心理学に大きな影響を与えたフロイトの思想
5.「無意識」の発見
6.「エス(無意識)」「自我」「超自我」
7.フロイトの夢診断とは
8.フロイトの精神分析とは
9.まとめ


1.ジークムント・フロイトはどんな人か
「ジークムント・フロイト」は、1856年にオーストリアで誕生した精神科医、心理学者です。

17歳でウィーン大学に入学したフロイトは、物理を2年間学んだ後、医学部の生理学研究所に入り、両生類・魚類の脊髄神経細胞を研究しました。

脳性麻痺や失語症の研究をするなど、この頃から脳に関する論文で大きな功績を残しています。

ここからは、フロイトという人物がどんな人生を歩んだのかを簡単に解説いたします。


2.麻酔剤としてのコカイン研究

今となっては違法な薬物というイメージが強い「コカイン」ですが、1880年代は兵士の疲労回復薬として合法的にコカインが処方されていました。

「コカイン」に注目したフロイトは、局所麻酔剤としてコカインが使用できるのではないかと考え、友人の眼科医とともにコカインを使用した手術を成功させます。

その後、フロイトは臨床研究にコカインを使用し始めますが、コカインの常習性や中毒性が世界各地から報告されるようになったのです。

「不当な治療を行っている」とされたフロイトは、いつしか医学界から嫌煙されるようになります。

コカインを推奨していたフロイトですが、モルヒネを常用していた友人にコカインを与えたところ、今度はコカイン中毒になった姿を目の当たりにし、コカインを推奨することはなくなりました。


3.PTSDに通じるヒステリーの研究

フロイトはヒステリーの研究にも力を入れていたと言われています。

当時ヒステリー研究の第一人者と言われていた神経学者「ジャン=マルタン・シャルコー」のもとで、催眠を用いたヒステリーの治療法を学んだのです。

シャルコーはヒステリーを細胞や組織の破壊が原因で起こる器質的疾患ではなく、神経の伝達が原因で起こる機能的疾患と考えていました。

シャルコーの考えに大きく感銘を受けたフロイトは、精神分析によって根治を目指すよりも一時的な症状緩和を目指す治療法を行うようになります。

そして「ヒステリーは幼少期に受けた性的虐待によって引き起こされる」という理論を発表しました。

この考えは後に無意識の発見や、PTSDの概念確立に通ずることとなります。

ヒステリー患者が無意識レベルに隠しているトラウマや経験を言語化し、症状改善を目指す治療法は当時、お話療法と呼ばれました。


4.心理学に大きな影響を与えたフロイトの思想
精神科医として画期的な方法で治療を行っていたフロイトの思想は、心理学の進歩に大きく貢献しました。

なかでも無意識の発見は心理学界をはじめ、さまざまな分野に影響を与えたと言われています。

以降、フロイトの思想について解説いたします。


5.「無意識」の発見

フロイトはヒステリーの研究などを経て、人間は自分で認識している「意識」のほかに、自分では認識できていない「無意識」があると唱えました。

ヒステリーやPTSDなどの精神疾患の原因は、無意識の記憶の蓄積だと考えたのです。

フロイトが無意識の理論を提唱する以前にも、無意識の存在を主張する学者はいましたが、無意識という概念を明確にしたのはフロイトだと言われています。

フロイトは意識と無意識の間に自我があり、自我が意識と無意識を調整していると考えました。

たとえば日常生活で嫌なことがあると、自我が嫌な記憶や感情を無意識下に抑えこもうと作用すると考えられます。

無意識の存在は心理学の分野だけでなく、人文学にも大きな影響を与えたと言われています。


6.「エス(無意識)」「自我」「超自我」

ヒステリーの研究から心的外傷の研究に精進していたフロイトは、無意識という概念をより細かく定義づけています。

人の心には「エス(無意識)」「自我」「超自我」の3つの機能が存在し、バランスが崩れると精神疾患が起こると考えました。

3つの機能の概要は次のとおりです。

・エス(無意識):人間的な欲求のこと。快楽を追求するため、非論理的な考えや衝動的な行動をもたらす。

・自我:幼少期の生活や受けた教育によって形成される。欲求(無意識)を抑制する役割を果たすと言われている。

・超自我: 幼少期に身につけた道徳がもとになっていて、無意識を抑圧する役割を果たす。「〜すべき」といったように理想を追求する。

7.フロイトの夢診断とは
フロイトは睡眠時に見る夢が無意識と関連していると考えていました。

夢の内容をもとに無意識下の感情を探る方法である「夢診断」を提唱し、書籍も出版しています。

フロイトは睡眠という無防備な状態で見ている夢は、無意識下の願望や感情が意識に訴えかけているのだと考えました。

たとえば普段、抑圧されている無意識が夢という形として具体的に現れていると提唱しています。

夢の内容から無意識下の感情や記憶を分析するためには、夢で見たことを自由に発言する「自由連想法」を使いました。


8.フロイトの精神分析とは

フロイトは、無意識下の感情や記憶を引き出す「精神分析」が精神疾患の治療に役立つと考えていました。

精神分析の方法である「自由連想法」の手順は次のとおりです。

①リラックスした状態でソファやベッドに横になる
②思い浮かんだ単語を挙げる
③連想できる単語もあわせて自由に発言する

この手法を繰り返すことで、無意識下で抑圧された感情や記憶が引き出せるとフロイトは言いました。

一つ一つ質問をしていくよりも、自由に発言するほうが自我が無意識にアクセスしやすいと考えました。


9.まとめ

フロイトが確立した「無意識」の概念は、心理学界のみならず、幅広い業界に多大な影響を与えました。

フロイトは無意識と意識は自我がコントロールしていると提唱しました。

フロイトの理論を知ることで、自分の感情と向き合ったりコントロールしたりすることに役立つと思われます。


参照元:「SEMINARZ」Webサイト

以上

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