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どこにも行けない上海旅行②せめて美味しいものが食べたい

今回の旅は”どこにも行けない”旅だ。
こっそり企てた唯一の観光タイムも夢と消えた今、夢も希望も失ってひとりポツンと祝賀ムード満載の部屋でたたずむことしばし。

疲れのあまり幽体離脱しかけた瞬間、福音のようにおなかの音が響いた。

そうだ!私にはまだ「食事」という楽しみが残されている!

ハレルヤ!な気分で早速周辺を検索するも、どこにレストランがあるのかよくわからない。窓から見える景色はすでに夜のソレ。急がないとお店が閉まってしまう…と慌てて身支度を整え、フロントで近隣にレストランがないか尋ねたところ、道路を挟んだ向かい側が商業施設とのことだった。今回の宿泊には夕食と朝食のブッフェが含まれていることは承知していた。しかし観光という楽しみが奪われた今、せめて食事くらいは現地のローカルフードを食べて中国感を満喫したい!と、あえて外出することにした。日本に忘れてきた消耗品も補充したいし、コンビニでちょっとした飲み物やおやつも買いたい。もしかしてちょっといい写真が撮れたりするかも…。そこで商業施設へと向かったのだが、この選択をのちに後悔することになる。

商業ビルの低層階はレストランや遊技場になっている。読めないが看板の色やデザインでなんとなく”すき屋かな?”と思う店やローカルの店が並ぶ。麺類、火鍋、中華っぽい濃い色味の肉っぽいものがのったどんぶり、チキンの店、カフェなど約10件。迷いに迷った挙句ようやく1件の麺屋さんに入った。一番お客さんが多く(といっても3組だが)、かつ価格もかなりリーズナブル。メニューも写真ありでわかりやすかったのだ。店内に入るとタッチパネルのモニターで注文するしくみのようだった。どうやって注文するのかわからずキョロキョロしていると厨房からお兄さんが出てきた。中国語で何か聞かれたがわからないと答えると、お兄さんは困ったような顔をしながらも身振り手振りで注文を助けてくれた。優しい。支払いまで進んだのだが、電子マネーが使えないためキャッシュで払いたいというと、お菓子の缶に入れたお金でお釣りをくれた。優しい!

商品を待っている間、店内を観察する。おばあちゃんとお孫さんだろうか、食べ残した料理をタッパーに詰めていたり、おじさんが一人で料理を待っていたり、若者が黙々と麺をすすっていたり。グループ客はおらず、スタッフ同士がにぎやかに話している声が聞こえる。しばらくするとオーダーしたヌードルが運ばれてきた。

絕米炸肉醬豬油拌粉という麺料理。グーグル先生曰く”豪華ミートソースとラードの混ぜビーフン”とのこと。ミートソース感は微塵もないがおいしそう。価格は25元と超リーズナブル。
見た目から味を想像しやすい料理を頼んだつもりだったが…

麺はベトナムのフォーのような、白くて薄い米粉の麺。そこに肉を油で炒めたソースのようなものがかけてある。見た目は食べるラー油っぽい感じ。別皿にはザーサイ、高菜のようなもの、ピーナッツ、炒めた肉など、薬味が数種類乗せられている。それをお好みで麺にのせ、混ぜて食べるスタイル(だと思う)。見た目は上々、おいしそう。早速数種類を麺に乗せて混ぜ、一口目をほおばった。

(・・・あ、味が・・・しない・・・・。)

見た目からはやや塩辛い、または上海っぽい甘辛い濃いめの味を想像していたが…まんまと裏切られた。薄味というより最早味がしない。いや、正確には”油の味しかしない”だ。これだけたくさんの薬味があるのにアラ不思議、炒めた油の味、薬味の混ざった油の味しかしないのだ。混ぜれば味がするかも、とぐりぐりソースを混ぜてみるが、一向に味が濃くなる気配がないので薬味をひとつづつ食べて味を確認してみた。見た目が高菜っぽい草も油味、ザーサイも油味、肉みそ炒めっぽいのは油と八角味、もやし、ピーナッツ、白菜はそのままの味、つまりほんのり素材のお味。唯一はっきりした味がしたインゲンっぽいものの炒め物は…激辛・油味で一口で撃沈。結果”濃い味”の薬味はひとつもないことが判明した。カウンターを見ると調味料的なものが置いてあるのだけれど、どれもフタが開いていてあまり使いたい雰囲気ではなく、また何をどう足せばよいのかも判らないため手を出せずにいた。
さらにもう一件、隣のおじさんが運ばれて来た食事を食べ始めた途端、ありえない音量で

“ぴっちゃぴっちゃ…ぴっちゃぴっちゃ…”

と音を鳴らして食べ始めた。おじさんといっても歯はしっかりある年齢、それがどうやったらあんなに派手に音を鳴らせるのだろうと思う大きな音を立てて食べている。ちなみに食べていたのは和定食っぽいもの。卵焼きからどうやってあの音を出しているのか…謎すぎる。
おかげで一気に食欲を失い、申し訳ないとは思いつつも半分以上を残し、店を出ることにした。

食欲を満たせずストレスを抱えたまま現地のコンビニっぽい商店にはいり、飲み物とスナックを買うことにした。本当は日本ブランドのコンビニが良かったのだけれど、中国は海外の他の国にくらべてコンビニが少ない!ホテルは割と大きかったのだけど、残念ながら近くに見覚えのあるコンビニの看板は見つけられなかった。諦めてローカルのお店に入ると、店員さんはカウンターの奥でふんぞり返り、携帯で動画を見ている。荷物が山積みで狭い店内を物色するもこれといって食べられそうなものはなく、飲み物だけ購入することにした。選んだ2本はこちら。

①酸梅湯(サンメイタン)
梅が入っていればおいしくない訳がない!と思い購入。梅ジュースを想像していたのだが、”漢方薬っぽい何か”が入っており何とも微妙なお味。ひとくち飲んで”うへぇ”となり、念のためもうひとくち飲んでギブアップ。ある意味中国味溢れるお味。
後で調べたところ、酸梅湯は”烏梅(ウバイ)”と呼ばれる青梅を燻製したものを使って作る、健康・夏バテ予防に効果のある中国・台湾で広く親しまれる国民的健康ドリンクなんだそう。クセが強く日本ではあまりなじみのない味ながら、現在は多くのメーカーが販売しており、自宅でつくることも出来るらしい。いくつか試したらいつかおいしいものに出会えるのかもしれない…。

数種類ある同じ梅系ドリンクの中から”一番中国っぽいもの”を選んだのが仇に。

②くちなしウーロン茶(無糖)
2本のうち1本は安パイを選ぼうと手にしたのがこちら。
サントリーだし日本語が書いてあるし、これは日本人ウケを意識している商品に違いない!と、数種類あるお茶の中からくちなし風味をチョイス。他には定番ジャスミン茶、黒ウーロンなどがあった。サントリー以外にも中国のブランドのお茶が多数並んでいた。こちらは見た目通りのお味、ただしジャスミン茶ほどのパンチはなく、なんとなくぼんやりしたお味。

”サントリー”と書いてあれば大きな間違いは侵さないだろうと思い購入。日本語も書いてある!

それにしても中国のコンビニの冷蔵庫、温度が高い!
今回はローカルのコンビニとローソンに立ち寄ったが、ドリンクが軒並みぬるくてがっかり。キンキンに冷えた飲み物にありつけたのはホテルのブッフェのみだった。

結局この日は夕飯抜き、翌日は早起きしてホテルのブッフェをのぞいた。中国は朝から肉や炒め物が多く、結局フルーツとヨーグルトを食べた。その後も夜はブッフェで当たり障りのない洋食(ベーコンやピザなど)を食べ、フルーツとデザートでおなかを満たした。火鍋も試したけれど、お肉の味があまり合わず、スープに調味料でこれでもか!と味付けし、キノコや豆腐をぶち込んでは食べるという、およそ肉食マンらしくない食生活で過ごした。

後ろに写っている物体に注目。點心だと思い張り切って6つも取り分けたら中身のないただの蒸しパンだった…悲しい。
結果、こんな食事に明け暮れることに。
デザートはどれもおいしかった
こういうお饅頭の造作が中国味満載


今回の旅で唯一、これはなかなかおいしい!と思えた中華料理(?)は、ランチで訪れた自助餐的な食堂(中国では何と呼ぶのだろう)で食べた山盛りの料理。ナスの炒め物は日本人の口に合いそうな味でペロリと平らげた。こちらの食堂は定額(39元ほど)で好きなおかず4品を選ぶスタイル(ご飯つき)だったのだけれど、1つは激辛料理を選んでしまいこちらは食べきれず。おいしかったのでもう少し辛くなかったら全部食べられたかも。ウズラと豚の角煮っぽい料理もおいしかった。もやしの野菜炒めは塩コショウのシンプルな味付け。やたらとモリモリにされるので一生懸命食べたけれど、周りを見たら現地の皆さんは盛大に残していた。中国の”食事は余るほど用意”の文化を垣間見た瞬間だった。残飯を片付ける人たちも、食べ終わりかけ(まだ食べている)私に”席変わってくれる?”と聞いてくる中国女子も大陸感に満ち溢れており、私なんぞは終始圧倒されっぱなしだった。

見た目からおいしそうでおいしかった。上部の肉が火を噴く激辛。

中国ごはんがダメならと、ランチで入ったドイツ料理店のウインナーは149元。日本円にして約3,500円ほど(当時レート)。そしてすごくおいしいわけでもないという微妙な一品であった…。でもポテトはホクホクでおいしかった。

コーラは缶で出てきた。ぬるい…

こうして食事でも大成功とは言えなかった中国旅行だったが、現地の雰囲気やリアルな空気を感じることができたので優勝!とポジティブにとらえている。なじみのない料理を食べて一喜一憂するのもまた旅の醍醐味…でもアメリカと香港は何を食べてもおいしかったな…。次はおいしいものを見つけるぞ!と次回の中国旅行の目標を見出したのだった。


お食事番外編。
ホテルのディナーはブッフェスタイル。乾いた喉を潤そうとドリンクバーへ。見ると緑色の缶が氷いっぱいのケースで冷やされている。スプライトかな?冷たいし飲んじゃおう!と開けてグビグビ…で、思わず噴き出しそうになった。
なんとこちら、ビールでした(笑)。
良く見たらしっかりビールって書いてある…。ジュースのコーナーとコーヒーのコーナーの間に置くなんて、紛らわしすぎやしませんか(笑)。アルコールはあまり飲めないけれど、こちらのビールは薄くてアルコール度数もさほど高くなかったので諦めて飲み干した。キンキンに冷えた飲み物は大事。
味はハイネケンっぽい感じ。飲みやすい。

スプライトかとおもった






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