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あの日のベトナム~Pho Quynhのビーフシチューフォー

ベトナムといえば、フォーである。

ベトナム料理は日本でも人気だが、日本で食べるベトナム料理と現地で食べるそれとは味が違う(気がする)。
半年の滞在中、現地の方々に連れられてあちこちのベトナムレストランや食堂に行き、時には家にお呼ばれし、定番から珍しいものまでたくさん食べた。しかし現地で食べた料理はどれも私の口には薄味で物足りず、また偏食放題な自分が自発的にまた食べたい、と思ったベトナム料理はワタリガニの唐揚げとフォー、フルーツだけという、食の国ベトナムで残念な結果を残した。そんな自分が一度行って病みつきになり、滞在中何度も一人で訪れ、さらには帰国直前にスケジュールを無理やり調整して食べ納めに行き、帰国後ベトナムを再訪した際にもまっすぐに向かったフォーの店がある。
それがPho Quynhである。


Pho Quinhはホーチミンの夜を彩るブイビエン通りから少し外れた、9月23日公園の向かいにある小さな店だ。シンプルなフォー、おいしいパン、ほかにもベトナム料理が食べられる。いつでも込み合う、地元客にも観光客にも人気の店だ。そんなこの店で絶対に食べてほしいのが、

ビーフシチューのフォー

なのだ。
初めてこの名前を聞いたとき、(ビーフシチュー、フォーと合うのだろうか…)と思った。だが、このビーフシチューというのが一般的なあのドロッとした濃い味のシチューではない。どちらかというとさっぱり、薄めのスープっぽい見た目である。見た目はあまりおいしそうではないかもしれない。

麺ありとなしがある。なしとパンのセットがおすすめ


しかし一口食べれば驚きで2度見すること間違いなしである。
ビーフシチューフォーを食べるときのおすすめセットがある。
まずは本体であるビーフシチューのフォー。これは麺ありと麺なしが選べるが、おすすめは麺なしでオーダーし、それにフランスパン(ベトナムのフランスパンはフランス仕込みだが、ややふわっとしておりとてもおいしい)をつけて食べる。麺がないならフォーじゃないじゃないか!と突っ込まれそうだがそこはスルーしていただきたい。
一口食べたら大量に添えられているパクチーを投入。これは苦手でなければ多いほどおいしい。さらにライムをこれでもか、と絞る(私は3~4カットは必ず絞り入れる)。これで酸味が増してさわやかになり、ベトナムの蒸し暑さによく合う。飲み物はベトナムの定番ビール333(バーバーバー)をチョイス。ベトナムはビールには氷が必須なので、もともと薄いビールがさらに薄まって、アルコールに弱い自分でも楽しくいただける。ちなみに、ベトナムの氷は口にする前にチェックが必要。中に棒状の穴が開いているものは比較的安全だが、クラッシュアイスは水道水で作っている可能性があるので口にしないのが無難だ。この店の氷は製氷なので安心して口にできる。

晴れた日にブランチがてらテラス席で(ほぼテラスだが)このセットいただく時が至福の時だった。
ホーチミンを訪れる機会があれば、ぜひ訪ねてほしい名店だ。

ちなみに。
ベトナムの9月23日は 「南部抗戦の日」。
ベトナム南部抗戦が起こった日。ホー・チ・ミン氏がフランスから独立を宣言した11日後にイギリスがフランスを支援する形でベトナムへ進軍。ベトナムではこれに抵抗する動きが起こった。この抗戦は半年続き、第一次インドシナ戦争へと続いていく。この日をベトナム人の不屈の精神を象徴する日として記念し、各地にこの日付を冠した通りや公園が作られている。


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