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カメラ・フィルムメーカーによる発色の傾向

僕がする話なので、昔の話になります。今は違うかも知れません。
それから、データを取ったわけじゃないので、あくまで感覚的なものと、経験的なもので話します。
ちょっと違うなと思われた方はコメント頂けると助かります。

色の三属性と色相環

色の傾向を言う前に、それぞれの色がどういう位置関係になっているのかを説明しないと一般の方は分からないと思うので、そこを簡単に説明します。
マゼンタ寄り」と言われてもどっちからどっちに寄ってるか分からないですよね。

色の三属性

色には、色相、明度、彩度の三つのレベルがあります。

  1. 色相:色合い

  2. 明度:明るさ

  3. 彩度:鮮やかさ

色相は原色の種類みたいなもので、RGB(RED, GREEN, BLUE)の体系では、光の三原色を組み合わせて出来る色のことです。

色相環

光の三原色を均等に混ぜると白(無色)になりますが、バランスが崩れると強い原色の方に寄った色になります。
その位置関係を図示したものが「色相環」です。

RGBの色相環

色相環の中の1つの色には、明度と彩度のレベルがあって、それを変えることで様々な色が生まれます。
例えばマゼンタは、印刷で使われるCMYKでの言い方になりますが、概ね赤紫色のことを指します。RGBでは、赤と青の間(紫)の赤寄りの色です。

それで、
例えばオレンジ色の明度を下げると茶色になるし、さらに彩度を下げると淡い茶色になります。
なので、上記の色相環以外にも、明度や彩度を固定したときの色相環がそれぞれ無数に存在しているのです。

フィルムメーカーの色の傾向

フジとコダックが争っていた時代には、フジは青くてコダックは黄色いという感覚を持っていました。
パッケージの色がそうだから、という訳じゃなく、逆に色味の傾向をフィルムの特徴と捉えてパッケージの色が決まっていたんじゃないかと思います。

  • フジ:青い

  • コダック:黄色い

  • コニカ:淡い

カメラメーカーの色の傾向

色味が決まる要素は、フィルムカメラではレンズだけでしたが、デジタルカメラはレンズと撮像素子(画像処理)がありますね。
それから、同じメーカーでもモデルによってコンセプトが違ったりして色味が違うこともあります。
レンズも、国内設計のレンズと、海外(ライカ・ツァイス)のライセンスを得て設計されたレンズでは、色味が違いますね。

しかし、感覚的にはレンズと画像処理の傾向は分離できていません。メーカーの特徴として捉えています。

  • キヤノン:マゼンタ寄り

  • フジ:青い

  • オリンパス:黄色い(?)

  • ソニー(?)・パナソニック・ライカ:アンバーがかる

  • ニコン:淡い・渋い

キヤノン

キヤノンのマゼンタ寄りはよく耳にしますが、おそらくは肌色を綺麗に見せようとするとそうなるんだと思います。
なので、青空もマゼンタに寄る。

フジ

元々のフィルムの国内メーカーは、自然の風景を対象とするか、人物を対象とするかによって色味が違っていたと思いますが、
フジは自然の風景であるところの空、海、樹木という辺りの発色を考えて青っぽくしているのではないかと考えています。

オリンパス

オリンパスも人肌は考えていそうに思いますが、赤い方に行かずに黄色を強くしているような気がしています。
それゆえ、空は極端に青くならずに自然に見えるのではないかと想像しています。

ライカ

ライカをそんなに見ているわけじゃないのですが、ライカというとアンバーというイメージがあります。
それで、モノクロ写真を効果的に見せるためにカラーフィルターを使うと思いますが、アンバーがモノクロに与える効果みたいなものが、元々ライカにあるのかな?と思ったりもするんですよね。

ニコン

ニコンはいつも「発色が悪いな」と感じるのです。それを僕は淡いとか渋いとかいう表現にしているのですが、彩度が低めなんでしょうかね。
その色にも寄せてないというポリシーがあるのでしょうか。

例えばコダックのフィルムでも、実験用みたいな用途のものでは発色を抑えてニュートラルな色合いになるようにしていますよね。
カメラの画質設定でも、ナチュラル以外にフラットみたいな設定がありますよね。
そういう感じがするんですよね。

スマホのカメラ

今まで、Apple(iPhone)、ASUS、Motorolaのカメラを使った中では、Appleは青っぽい感じがしました。キヤノンやフジのイメージです。他のAndroidメーカーは黄色味があるなと感じました。コダックのイメージです。
海外は一般的には黄色っぽいなと感じています。

ただ、デジタルカメラの画像処理は設定を変えられるので、ある程度はシーンに合わせて変えているんだと考えられます。

色以外の画質の要素

デジタルの場合、画像処理というのはいろんな味付けが可能なので、メーカーはとても複雑な設定をしていると思います。
どの色を強くするかということ以外にも、階調であったり、精細な写真でのエッジを強くするか弱くするかという設定も、画質に影響しますね。

話は少しそれますが、昔、複写機の会社にいたことがありまして、キヤノンの(白黒)複写機と、ゼロックスの(白黒)複写機では、写真をコピーした時の見え方がだいぶ、違っていたんですよね。
ゼロックスは端正だけど、キヤノンは重いというか濃いというか太いというか、そういう感じだったんです。
画像処理って、メーカーによって方向性が違うんですよね。

要は、正確な画像を出せばユーザーが喜ぶわけではないということなんです。人の目に訴える訴求力を考えて設計していると思うんです。
だから主たるユーザー層がどういう用途でそのカメラを使うか、使って欲しいかという、ペルソナを考えて画像処理の設計をしていると思います。

その辺りを考えてカメラを使うことは、メーカーの意向を尊重することにもなるんですよね。

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