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20 旅行の夜といえば

入浴後。ここからは23時の消灯まで自由時間だ。

ホカホカの体で布団に入りながらテレビを見たり友達と喋ったり、ホテルのお土産コーナーを見て回ったり。この時間が一番楽しいかもしれない。

部屋にいるとき、クラスの一人が突然来た。

主催者同級生「1-A今から俺らの部屋に集合!208な!」

なんだなんだと思いつつ208に行く。他の部屋の人も呼び出されたみたいでゾロゾロ集まっていた。

主催者同級生「おし、とりあえず今いるやつだけで始めるか。」
同級生E「何すんの?」
主催者同級生「会珠高1-A、全員好きなやつ宣言大会開催〜!」
同級生F「うわー、やっぱそれかー。」

うわ、マジか。余計なコーナー始めるなよ。まあ嫌な予感はしてたけど。

ていうか待てよ。男同士だろ?クラスで誰が好きかとか言い合うの?この中にいるかもしれないのに?それ気まずくならね?

異性愛のときなら好きな対象が女子でこの場に絶対いないから気軽に言い合えたけど、同性愛だと無理じゃないか。そう思って見ていると、言い出しっぺが切り出した。

主催者同級生「はい、まずは俺から!俺は、見た目はガッシリ系で性格は努力してる感じの人が好きでーす!」

ああ、個人名じゃなくてタイプで言うのか。まあそれならいけるか。ていうかそうじゃないと無理だよな。
そういえばファミレスで4人で喋ったときもそうだった。それが当たり前なのか。

どんどんみんなタイプを言っていく。そしてそれを紙にまとめてカウントしているやつがいる。
次に言うやつは…。

誠慈「俺は年上の大人っぽい人が好きだな。見た目も中身も。」

誠慈…。この世界に変わって、そういう人がタイプになったんだな…。いや、これなら元の世界と同じでもいけるか?元々誠慈のタイプってどんな人だったんだろ。

あそうか、てか誠慈いるんだ!
ノンケだってバレてる誠慈の前でゲイのフリして好きな男のタイプ言うの超嫌だな。
嘘つきやがって、ホントはノンケだろお前って内心で思われるんだろうな…。うわ気まず。

主催者同級生「はいじゃ次。」

あ〜来た。言うしかないよな…。俊に言ったのと統一しないといけないから…えーと、中性的な男だったよな。

一輝「え〜俺の好きなタイプは…。」

あ、待てよ。

一輝「…好きなタイプは、中性的で大人しい性格の人です。」

誠慈のおかげで気付いた。男女どっちでもいける言い方をすればいいんだ。
これならノンケとして見ても嘘ではないから誠慈のこともそんな気にしなくていいし、他のやつらは勝手に男のことだと思い込んでくれる。

主催者同級生「中性的っと。はい次!」

ふう、切り抜けた。

雫「え〜僕のタイプは、ヤンチャそうなのにそうでもなくて、ギャップがある人です。…実はこの中に…います。」

大胆な発言に場が盛り上がる。誰だ誰だと沸き立つ。でもさすがに誰かは言わないまま、順番が回った。

康太「は〜い、僕のタイプはデブで〜す。だからここにいる人は全員興味ありませ〜ん。」

笑いが起こる。

同級生E「おーい失礼だろ…いや、デブって言われたほうが失礼…いやそれもデブに失礼…ん?」
同級生F「ややこしくなってるな。(笑)」

雅也「デブ呼ばわりのが嫌だろ。でも康太に好かれたらデブ認定されたってことだから複雑だよな。」

意外と楽しい感じで進んでいった。もう終わるなと思ってたら何人か後から来て引き延ばされたけど、特に何事もなく無事終了した。

自分たちの部屋に戻り、時計を見ると22時54分。

一輝「うわ、もう消灯か。」
俊「今日はホント疲れたね〜。」
雅也「夜更かしもしてえけど、シンプルに眠てえわ。どうせ怒られるし。」
一輝「だな。」

康太「ベッドどうする〜?どの組み合わせで寝る〜?」
雅也「俺はこっちで寝るから。1人こっちこいよ。」

俊「うーん、どうしよ…。」
康太「…じゃあ、僕雅也の方で寝よ〜っと。」
一輝「じゃあ俺と俊だな。」

そして部屋の電気を消した。

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