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22 旅行を終えて

懇親旅行2日目はエルジーランドの近くの臨海水族館に行った。

俊「うわー、やっぱサメは迫力あるなぁ!」
一輝「そうだな。こんなの襲われたらひとたまりもないな。」

順路通りに館内を見て回る。すると、「繁殖のヒミツ」という展示のコーナーがあった。

繁殖か…。今まで疑問に思いながらも避けてきたテーマだ。同性同士の恋愛に慣れてきたとはいえ、やっぱり頭の中にはそういうことは考えたくないというような感覚がある。その中でも特にこういうのに関するところは…。

でも確かに、同性愛が普通になったこの世界でどうやって子供が出来るのかは疑問だった。同性同士で子供が出来るように変わったのか、子供は異性間でないと出来ないままなのか…?

でも自分で調べる方法は無かった。今まで分からないことは俊に聞いていたが、これはさすがに高校生にもなって知らないのはヤバいよなと思って俊にも聞けなかった。

だから、人間と魚ではまた違うだろうとも思いつつ、この展示コーナーを見て情報を集める。

「一般的な魚は、体外で繁殖します。オス同士の場合は互いの精子をかけあい、きれいに互いの2つの精子が混ざると水中を漂いながら魚の形に細胞分裂していきます。精子は遺伝子を見分けられるので、自分の精子が2つ混ざることはありません。」

「メス同士の場合は、互いの卵子をかけあい、きれいに2つの卵子が混ざると底に沈んでゆっくり細胞分裂が始まります。卵子も精子と同様 自分の卵子が2つ混ざることはありません。」

元の世界の魚の子作りとか知らねえけど、この世界ではこうなってるのか。やっぱ同性同士で子供が出来るんだな。

でも、オス同士の子供とメス同士の子供に違いはあるのか?これだとわざわざ2つ性がある理由がよく分からないな…。

それに、人間の場合は水中で生きてないからこれとは違う繁殖方法だろうし、まだ分からないな…。

すると突然、パシッと背中を軽く叩かれた。

雅也「一輝、繁殖に興味津々じゃーん!お前もやっぱ男だな!」
一輝「いやっ、そんなんじゃねえし。」

びっくりした。集中しすぎてたな。しょうがない、これ以上見るのは危なそうだし、先に行こう。

そうして館内を見て回り、見学は終わった。そのまま昼食を食べて学校に帰り、波乱の懇親旅行はあっさりした2日目とともに幕を閉じた。

ふう、2日目は特にハプニングもなく、普通に終わって良かった。超疲れた…。

〜〜〜〜〜

家に帰ると、父さんが待っていた。

一輝の父「おお、お帰り!どうだった、懇親旅行は?」
一輝「ああ、楽しかったよ。」
一輝の父「感想それだけか〜?夜はどうだった?なんか面白いことなかったのか?」
一輝「別にないよそんなの。」

なんだよつまらないな。そんな残念そうな顔をして父さんは背を向けた。そして、少しの沈黙の後、話し始めた。

一輝の父「なあ、一輝。」
一輝「なに?」
一輝の父「俺な…」

一輝の父「大輔と結婚する。」

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