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34 2回目の告白

一輝「え、何でだよ!」
健太郎「一輝がノンケだっていう情報がこっちまで来てるみたいなんだ。」
京平「それで、前一輝と会ったところを見られてたみたいで…。」
岳「なんか俺らを監視してるキッショいヤツがいるっぽいんだよ。」

監視…?
もうそんなの、俺らをおとしめるために動いてるってことじゃん。なんだよそいつ。

健太郎「だから、しばらくはもう俺ら会わない方がいいと思うんだ。今こうやってるのも危ない。」
岳「まあ、もうバレてるからどうせ一緒な気もするけど。」
一輝「そうだな…。じゃあしばらく会わないようにして、今日ももう解散にするか。」

なんだなんだ。さすがに俊がここまでやるとも出来るとも思えないぞ。他になんか大きな力が動いてるような…。

ーーーーー

ある日、一日中いじめに耐えながらその日を終え、下校している最中。

雫「あ…あのっ。」

振り返ると雫がいた。恥ずかしそうな表情はあのときと変わらない。でも、今回は、若干申し訳なさをはらんでいた。

一輝「あ…雫か。どうした?」
雫「あの…この前はごめんなさい!」

突然頭を下げて謝られた。状況がよく分からなかったが、敵意はなさそうだ。もし今誰かに監視されてたら雫も危ないから、人目につかなそうな路地に連れ込んだ。

一輝「どうした?とりあえずここで話そう。」
雫「わ…えと、一輝くんのことノンケだって知らなくて、告白して困らせちゃって…。」
一輝「そんな別に…。」

雫「今も、一輝くんのために何も出来なくて、見て見ぬフリしてて、ずっと…申し訳なくて…。」
一輝「雫…!」

俺がノンケだって知っても避けるどころかこうやって…。

雫「え、一輝くん…!?」

気付いたら俺は雫を抱きしめていた。
本当に嬉しかった。俊たちに見放され、みんなからいじめられ、健太郎たちにも会えなくなった今、雫がこうやって優しく話してくれてたのが本当に心に沁みた。

一輝「ありがとう。すっげー嬉しい。」
雫「僕…一輝くんがノンケだって知って、実はちょっと安心したんだ。」
一輝「え、なんで?」

雫「懇親旅行の夜に一輝くんが言ってたタイプ、絶対僕のことだって思ってて。だから大丈夫だと思って告白したけどフラれて、すごいショックで。でも女の子が好きならしょうがないって思えたんだ。」

雫「みんなは一輝くんを避けるようになったけど、僕はやっぱり…うん、一輝くんが…好きだから。」
一輝「雫…。」
雫「ごめんね、下心見え見えだけど…。」

一輝「全然関係ないよ。スッゲー嬉しい。」

抱き合った状態から、顔だけ離して雫の顔を見た。嬉しそうに少し微笑みながら、目は若干潤んでいる。

一輝「…。」
雫「…。」

お互い無言になる。この安心感をゆっくり感じていた。

そのとき、ふと思った。
あれ、このシチュエーション…。二人っきりで、人目につかない狭い路地で抱き合って…。

すると、雫も同じことを思ったのだろう、こう言ってきた。

雫「キスとか…しちゃダメだよね…?」

嫌な感じはしなかった。優しく話してくれたお返し、というのもあるけど、今の雫の顔、すげー女っぽくてかわいい。

付き合うのは無理だけど、キスぐらいならいいんじゃないか?
雫なら…。

雫「ダメだよね…ごめんなさい。一回フラれたくせにまだこんなこと言って…ん!」

俺から唇をつけた。雫の唇はとてもプルプルで、とても気持ち良かった。目を開けなくても、とろけた雫の顔が分かる。15秒ほど動かなかった。

ついに男とキスしてしまった。でもやっぱり悪い気はしなかった。顔を真っ赤にして恍惚の表情を浮かべる雫を見て、俺は突然頭の奥で黒い考えが生まれるのを感じた。

雫と付き合えばいじめられなくなるんじゃないか…?

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