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27 仲間

道彰の父「おい道彰、出て来るなって言っただろ。戻ってなさい。」
道彰「一輝…健太郎…。」

久しぶりに見た道彰の顔は2ヶ月前とは変わり果てていた。ビンタされたのか頬は赤く腫れ、髪は伸び、見るのも辛い風貌だった。

一輝「み、道彰…。」
道彰の父「道彰!戻れ!」
一輝「道彰!」
道彰の父「やめろ!」
一輝「道彰!!」

道彰は玄関口に立ったまま、どうしたらいいか分からない様子だった。

道彰の父「お前らいい加減にしろ!警察呼ぶぞ!」

そう言うと、道彰の父さんは道彰を引き込んでドアを閉めてしまった。

健太郎「…道彰…。」
一輝「さすがに…もう無理だな…。」

来てみて思った。これは予想以上に深刻だ。学校に居場所を無くして、その上親にあんな感じで接されて…。家から出してもらってもない感じだったよな…。せめて俺らだけでも味方になってやりたいけど…。

健太郎「道彰にちゃんと謝りたかったな…。」
一輝「そうだよな…。でもいつか機会あるって。悔しいけど今日は諦めよう。」
健太郎「今度京平と岳も誘って話そうぜ。これからのこと考えてかねえと。」

ーーーーー

それから数日後、4人で集まった。
岳「久しぶりだな、一輝。」
京平「一輝も俺らと一緒だったんだな。」
一輝「ああ。さっそくだけど道彰のことで聞きたいことがあって。バレたとき、どういう状況だったんだ?」

京平「入学式の日から俺ら全員何かおかしいって思ってたんだよ。道彰もそれは感じてたみたいなんだけど、入学式の次の次の日ぐらいに学校で他のグループの奴に話しかけてさ。」

岳「そうそう、母さんが父さんになってたんだぜ?その辺疑うだろ普通。なのに恋バナみたいなの平気でして。バカなんだよあいつ。それでこんなことなって。」

健太郎「お前、ためらいなく道彰のこと切ったもんな。」
岳「しょうがないだろ。あんなバカのせいで俺までいじめられたら最悪じゃん。」
健太郎「お前、その言い方ないだろ!」
岳「は?お前だって結局見捨てたくせに。」

一輝「待てよお前ら、この4人で仲間割れしてる場合じゃないだろ。俺らは助け合っていかなきゃいけねえんだよ。なあ岳、今の道彰の状況知ってるか?」

岳「状況って…不登校だろ。何で一輝が何か知ってる風なんだよ。」
一輝「俺は前、道彰の家に行って会って来た。」

岳と京平が驚いた顔をした。

京平「マジ?どうだった?」
一輝「ヤバかったよ。あれは親にもバレてて、虐待されてる感じだった。」
岳「…。」
一輝「俺は何とかしてやりたい。岳は協力する気あるか。」

岳「…俺だって別に完全に見放したわけじゃねえからな。元々ダチだし。でも一緒にいじめられちまったらその時点でもう終わりだろ。人権ないやつの言うことなんか誰も聞かねえんだよ。だから俺は…。」

"いじめられたら終わり"。その言葉がすごくズシッときた。それは俺らが一番よく分かってることだから。

俺らは中学時代、いじめる側だった。ターゲットは周りにも"下の立場"だということを分からせる。反論なんかさせない。俺たちが正義。それがいじめだ。

だから、自分までいじめられないようにして、安全圏から確実に道彰を助ける方法を考えてたんだな。

そしていろいろ話し合って、今日はお開きになった。また今度4人で道彰の家に行ってみようという話になって。

俺としては一気に3人も本音で話せる奴が出来てすごく楽に感じた。今まで1人もいなかったから。仲間がいるってこんなにありがたいものなんだな…。

家に着くと、また家の前に人影が。よく見ると…。

一輝「道彰…!」

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