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【ビジネス/伝記本】『 生涯投資家 』 著:村上世彰【感想】

●あらすじ


かつて世間を騒がせた“村上ファンド”を率いた著者が、真に求めていたものは何だったのか。父の教え、ニッポン放送買収の舞台裏、阪神鉄道大再編計画、逮捕、失意の中で考えたこと、失敗した投資、日本への提言---------数々の事例を挙げながら投資家として全身全霊を込めて書き上げた半世記であり、投資理念の解説書。


生涯投資家


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●『 生涯投資家 』の内容


生涯投資家は、投資家である村上世彰の半生記と投資についてのノウハウや、

投資家のあるべき姿などについて述べている。

普通に生活していたらほとんど関わりを持つことはない世界の話だが、

普通に生活していて何の気もなく利用させて頂いている企業の話だ。

また、投資家というこれも一般人には遠い存在のように感じる存在を

こちら側へ一歩近寄って丁寧にアプローチしている。

海外との投資や企業と株主の関係、著者がどのような活動をしていたのかなど

知識を得るのはもちろん、読み物の一種としても楽しめる書籍となっている。

当書籍は全9章から構成されており、その中で更に細分化されている。

かいつまんでいくと、内容は以下の通りである。

はじめに

第1章 何のための上場か

第2章 投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス

第3章 東京スタイルでプロキシーファイトに挑む

第4章 ニッポン放送とフジテレビ

第5章 阪神鉄道大再編計画

第6章 IT企業への投資----ベンチャーの経営者たち

第7章 日本の問題点----投資家の観点から

第8章 日本への提言

第9章 失意からの十年

おわりに


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●『 生涯投資家 』を読んだ感想


正直に言うと、私は株の投資というものにこれといった興味がない。

しかし今回、生涯投資家という本を読んだのは投資への興味というより、投資家への興味からだ。

自分と異なる世界の人間を見てみたい。また、内容をチラリと読むと一つのお話としても完成されていそうだったため、私でも読了できそうだと感じ、親しい間柄の人物から拝借させていだたいた。

私には投資や株についての知識がないため、読了した感想と当書籍の形成や大まかな内容に関することしか述べることができない旨、ご了承いただきたい。

さて、実際に読み進めていくと、専門用語は多いものの、投資家がどのようなことを考えてどのような活動をしているのかという、自分の知らない世界についてわかりやすく記されている。

少なくとも、賭け事や小遣い稼ぎといった一般市民が考えうるような印象や偏見は払しょくされたように思う。作中で著者も、汗をかかずに大金を儲ける人と悪く思われがちと述べているように、私の他にもそのように思っている人は少なくないだろう。

当書籍では、数字だけでなく企業の資質を見て、様々な人間との交流を惜しまず、日本の経済を潤滑にするために奔走する投資家の生き様を汲み取ることができる。経済学には多少なりとも興味があったため、会社がどのような形で成り立ち、他の企業と関係を結んでいるかについてという点は素直に勉強になった。

また、著者が若いころから投資家である父親へお小遣いに関した交渉を持ち掛けたり、海外への企業訪問やプロジェクトのマネジメント経験、官僚として働いた経験などが述べられており、投資家というものの血の濃さと根の強さを目の当たりにしたように思う。著者の半生を読み物の一種として捉えてページを進めていく様は、小説ばかり読んでいる私にとっては(澁澤龍彦や三島由紀夫の作品など、知識を深める書籍は読んだことがあるとはいえ)珍しい体験であった。

当書籍はコーポレート・ガバナンスとうい言葉をよく使っている。

それもそのはず、著者はコーポレート・ガバナンスを重点に置いて投資や提案を行っていた。

おかしいものを暗黙の認識のままにしておきたくない。いびつな資本を正したいという一心で、変革させようとする著者に関心を抱いた。反面、日本を変えるためには地道な行動をしないと変えることができないという日本の存在の大きさに辟易した。

何事においても損や無駄を捨て、得や利益を望みそれに向かって行動するということは大切なことだと改めて思った。

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●今回レビューした図書の詳細


題名:生涯投資家

著者:村上世彰

発行所:株式会社 文藝春秋

文庫名:文春文庫


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