組織には何故階層性が必要なのか?

ホラクラシーという自律分散型組織を体験した上で、感じること。

組織に階層性が必要となる、3つの要素。

  1. 成人発達理論:大人かどうか

  2. リーダーの必要性:未来を描き、率先し、責任を取る人が必要

  3. 仕事の階層性:規模が大きくなれば階層が必要になる

  1. 成人発達理論には、様々な視点を獲得することで取り巻く環境・物事・自身を俯瞰して見られるようになり、それに伴って意識が発達していく、という根幹の考えがあります。
    簡単に言えば、「大人」になっていくこと、と私は表現します。
    自分のことや、自分の職務ばかり大事な人は言われたことだけをやるので精いっぱいだし、本人にとってもそれで十分でしょう。
    そういう人に組織を引っ張ることはできないし、より意識が高い人がいれば、その人が、組織をマネジメントするべきです。
    (ちなみに、「大人でない人」や「こども」が悪いと言っているわけではありません。その人たちにはその人たちの役割があると同時に、企業では「大人」になることを望む人を採用し、育成していくことが望ましいと考えます。)

  2. 組織にはリーダーがいます。リーダーとは未来を描き、それを実現する行動を率先し、責任を取る人です。
    何故、組織にはリーダーが必要なのか、これは何故なのか私はまだ分かりませんが、恐らくホモサピエンスが、進化上リーダーを必要とし、リーダーがいる集団が生き延びてきたのでしょう。
    リーダーは未来を目指す時点で、抽象度の高いことをVisionとして指し示すこととなります(現状維持をしていこう!という人は、ここではリーダーとは定義しません。)
    未来でよい状況・状態を創っていこうとすることは、過去も現在も未来も、組織も事業も、悪いことも良い事も包含するから抽象度が高くなります。
    そうなると、抽象度の高低で階層が生じます。
    リーダーとフォロワー(ついて行く人)には、抽象度で差が出るのです。
    少人数の集団でもリーダーが存在することが多いですし、組織の人数が増えることで、この抽象度の差が歴然としていき、組織内に階層が増えていくと思われます。

  3. 最後が、仕事の階層性です。仕事や組織の規模が大きくなれば、経営や、ガバナンスに関わる業務が増えます。組織構成員全員への伝達が難しくなり、複雑に絡み合う業務をまとめて意思決定することが必要になり、より抽象度の高い意思決定機関が必要になります(それが会社の経営陣、経営者です)。

1と2は密接に関係します。
「大人」がリーダーの役割を果たすとは限りませんが、リーダーは「大人」でしょう。
3と2も関係します。
規模が増えてくれば、リードする人と、フォローする人の階層性も、仕事の規模と同時に増えてくるでしょう。

今のところ、企業において、ある程度の規模(50人以上)で完全なフラットな組織を見たことはありません。(制度的にはフラットだったとしても、実際にそうかどうかも含めて。)
フラットとは、同等の権利を持つということです。
ある部門もしくは人が、別の部門・人に指示・命令した場合に、指示・命令された側が完全なる拒否権を持っており、それが相互に、そして組織内の全ておいてに存在している状態です。

組織には階層性が必要である。
そして、それには3つの理由があるというのが私の考えです。