0時になったら純白のウエディングドレスと身を投げて
ふっ、と首を出したら吸い込まれそうになる。
古ぼけた小さなビジネスホテルの最上階。自室の窓から辺りを見渡すと、左右上下に柵や手すりはない。勿論隣の部屋にも。故に断崖絶壁だ。下は駐車場。両手で窓と壁を掴み、乗り出すと心臓が高鳴ってワクワクする。白い浴衣を羽織っているだけの女が、ホテルの最上階から勢いよく首を出している。人の目はどうでもいい。楽しくて笑った。
足を浮かせたまま、考える。今、久し振りに笑った。最近はマスクばっかり。故に愛想笑いをしなくても済んでいる。笑うという感情