30日間の革命 #革命編 179日
坂本と加賀は、白の会のメンバーをステージ袖に集めた。
「みんな、ここまで協力してくれてありがとう。で、ここから相談というか、話があるんだ」
加賀はメンバーに向かってそう口を開いた。
「セト、これは私から話すね。……と、その前に、まずは今日は急に出てきて戸惑わせてしまって申し訳ないです」
坂本はまずメンバーに向かって謝罪した。
「いや、マジで驚いたよ。セトがちょうど合図を出した時だったから、どうすればいいのか戸惑ったし」
森下は少し笑いながらそう話し、
「僕もですよ! もう外のメンバーに合図を出す瞬間でしたから。いつも坂本さんには驚かされてばっかりですよ」
神原も笑ってそう話した。メンバーは坂本のことを温かく出迎えたのだった。
「みんなありがとう。本当に申し訳なかったです。……で、さっきセトが言おうとしたことを話すんだけど、落ち着いて聞いてね」
坂本はそう言うと、一呼吸置いた。メンバーたちも、坂本が何を話すのか、少し緊張した。
「私は、これから警察が来るまで体育館を占拠したまんまにしようと思ってる。それくらいして、はじめて全国にこの状況を届けられると思うの。だから、まだ他の学生たちも返せないし、撮影も始めない。それと、そのことをしっかりと全校生徒にも伝えて説得しようと思う」
坂本がそう言うと、みんな目を丸くした。
「……け、警察って、本気で言ってるの?」
恐る恐る口を開いたのは江藤だった。
「うん、本気です。ここまできたら、中途半端に事を収める方が今までの行動を無にしてしまうと思うの。みんなも分かってると思うけど、もう後戻りはできない。今学生たちを帰してしまったら、この学校のことだけで終わり、結局何も変えられない。この行動の責任は最後までとことんやり切ること、そして学校を、日本の教育を変えることなんだと思う」
坂本は、先ほど加賀にも言った通り、力強くメンバーに話した。それを聞いたメンバーは沈黙する。加賀同様に、警察という言葉を聞いて少し怖気づいていた。しかし、坂本がこういう時は絶対やり遂げるということも知っていた。だから、メンバーは口を揃えて、
「警察が来るまで待とう」
と答えた。メンバーの答えに坂本のみならず、加賀も一緒に頭を下げ、
「ありがとう! 絶対やり遂げよう!」
と力強く話した。そして、話がまとまったところで、次の問題はどのようにして全校生徒にこの場にとどまってもらうかということだった。先ほど加賀は「もう少ししたら帰りたい人から解散して良い」とアナウンスをしてしまっている。学生たちはそれを聞いているからこそ、今も大人しく体育館にとどまってくれている。これが、「警察が来るまで待ってもらう」と言ってしまえば、途端に帰りたい人が続出することは目に見えていた。
いつどのタイミングで何と言うのか。メンバーは頭を悩ませるが、坂本は、
「よし、なら今からすぐに学生たちに言おう。ここはストレートに伝えた方がみんな聞いてくれると思う」
と、これからすぐに全校生徒に告げることを提案した。
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