30日間の革命 #革命編 88日
加賀が声をかけると、後方の扉より一人の男が入ってきた。神原だ。神原は少しうつむき、少しばつの悪そうな顔をしていた。
「神原!?」
森下は神原の姿を見つけると、思わず声を上げた。そのほかのメンバーも、ヒソヒソと話をしだした。理由はもちろん、神原が生徒会側に協力していたことである。そのことがわかったのはつい最近だった。そんな中での神原の登場は、全てのメンバーに驚きを与えた。
「ちょ、ちょっと。神原君ってこの前生徒会側に協力してたって分かったばっかりじゃなかったっけ? なんでここに来てるの? 来たらまずくない?」
棚橋はメンバーに向かってそう話した。
「ま、まあ待って待って。今日は俺が呼んだんだよ」
とメンバーのざわめきを感じた加賀が説明を始めた。
「この前も言ったとおり、俺は神原のことをそのままほっとくことは出来なかったし、何とか話してみたいと思ってたんだ。で、ついこの前にちょうど神原と話すことが出来て、白の会に協力してもらえるってことになったから、今日ここに呼んだんだよ。それに、ちょうど神原の得意領域だったからね」
加賀はそう皆へ説明した。しかし、当然それだけでは納得できるわけもなかった。
「……そう言われても、『ならこれからもよろしくね』ってわけにはいかないでしょ。まずは本人から話をきかないと」
と江藤は神原から直接話してもらうことを提案した。
「……そうね。事情が事情だから、まずは神原君の話を聞いてみましょう」
坂本も江藤の提案に賛同し、神原自身に話をしてもらうことにした。
「……わ、わかった。もちろん俺もこれだけで、また元通りにって言うわけじゃないから。なら、神原話せそうかな?」
と加賀も神原へと話しかけた。神原は少しうつむいたまま、うなずき、皆の前へと一歩踏み出した。そして、唾を一度飲み込んでから、ゆっくりと話し始めた。
「……ま、まずは皆に謝りたいと思います。裏切るようなことをして大変申し訳なかったです」
そう言うと、神原は深く頭を下げた。そして、
「……僕が生徒会の皆さんとつながっていたことは事実です。その経緯をちゃんと話そうと思って、今日は来ました。……まず、接点が出来たのは、選挙が終わって白の会が一時解散したときです。現生徒会副会長の仙波さんとは同じクラスだったのですが、元々はほとんど話したことはなかったです。でも、選挙が終わって白の会が解散した後に、仙波さんから話しかけられました。『白の会がこれまでどういう活動をしていたのか教えてほしい』って。僕も、白の会は解散して、もう革命は終わりになったと思ったので、少しだけですが仙波さんに色々と話しました。それから、事があるたびに、坂本さんや加賀君のことについて聞かれて、僕は特に疑問も持たず答えていきました。そのうちに、『坂本さんたちだったら、この後どういう行動をすると思う?』とかを聞かれるようになり、最終的には『ちょっと探りを入れてきて欲しい』とか、実際に密偵のような活動もするようになってしまったんです。本当はそこで断ればよかったんですが、なし崩し的に言われるがままやってしまっていたっていうところが、本音です」
神原は、自身が生徒会側についていた理由をそう話した。
▼30日間の革命 第一部
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