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30日間の革命 #革命編 61日目

 「もう革命なんて終わりにしてください。もうそれだけで十分だと思います」

 手崎は橋田に向かって真っすぐ話した。

 「え? ごめん、どういうこと?」

 手崎から「革命」を終わりにしてほしいと言われた橋田は困惑した。

 「ですから、もう革命は終わりにしてほしいんです。バレー部が変わることだけでも十分だと思うんです。これ以上、学校を変えようとか思わないでください」

 「ちょっと待って。確かに私は女子バレー部を変えようと思ってキャプテンになったけど、革命派に加わってるわけじゃないよ。そりゃ加賀先輩とかのことは応援しているけど、私には革命を終わらせるとか、そんなことは出来ないよ」

 「……わかってます。でも、橋田さんは女子バレー部のキャプテンになりました。その影響力は大きいです。事実、そのことで生徒たちは”革命”が必要なんじゃないかって思う人たちも増えています。実際に学校が変わる様子を目の当たりにしているから。橋田さんは今、それくらい学校で影響力があるんです。だからお願いしているんです。もうこれ以上のことをやめるように加賀先輩たちに言ってください」

 「……ごめんけど、それは出来ない。私にどんな影響力があるか知らないけど、私は私のやるべきことをやるだけだよ。私のやるべきことは、革命を起こすことじゃないけど、革命を止めることでもない。女子バレー部を変えることが、結果革命を起こすことに繋がろうと、それは私の範疇じゃないよ。個人的には加賀先輩たちを応援する気持ちはあるし、何だかんだで江藤さんにも感謝する部分はある。でも、私に出来ることは女子バレー部を変えることだって思ってるから」

 「でも、周りの人はそうは見ません。橋田さんのことを革命派だって思ってる人はたくさんいます。だったらせめて、『私は革命派ではない』とどこかで宣言してください。それだけでもお願いします」

 「はぁ? 何でそんなことを言わなきゃいけないのよ。って言うよりもさ、何でそんなに革命を止めることに必死なの? あんただって脱退したとは言え白の会の元メンバーでしょ? 江藤先輩に対して恨みはあることは理解できる。でも、加賀先輩とか坂本先輩たちにもそんなに恨みがあるの?」

 橋田の問いかけに、手崎は目線を落とし、

 「……恨みなんてないですよ。恨みなんてあるはずないじゃないですか」

 と答えた。その声は少し震えていることを橋田は感じた。

 「……だったら何でそんな革命を止めたがるのよ。ねえ、今日はお互い本音で話そうって約束したでしょ。何かあるなら話してよ」

 橋田は優しい口調で手崎に話しかけた。手崎は少しの間うつむいていたが、意を決したように話はじめた。

 「……私はもうこれ以上大事にしたくないんです。馬場君は、革命を止めるためには何でもするつもりです。そのためには、私が女子バレー部から嫌がらせを受けていたことも利用します。今、江藤先輩が革命派に寝返ったことを利用して、私に嫌がらせをしていたのは白の会からの繋がりだったことにもしようとしています。馬場君も白の会にいたので、それに気づいた。だから、反旗を翻したんだと」

 「え? 何それ。元々女子バレー部と白の会は関係ないじゃん。それに、江藤さんと馬場君は付き合ってるんでしょ? 何か話の辻褄が合わなくない?」

 「……辻褄なんていくらでも合わせられます。さっき言った通り、彼らは革命を止めるためには何でもするんです。このままだと、坂本先輩たちだけじゃなくて、橋田さんたち女子バレー部も生徒会に目をつけられて活動を止めさせられます。だから、ここで革命には関与してないって言ってほしいんです。そうすれば生徒会には何もされませんから」

 「何その話。いくら生徒会でもそんなことまでしないでしょ? あんたの考え過ぎなんじゃないの?」

「……違います。彼らは本気です」

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