30日間の革命 #革命編 33日目
それから坂本と加賀はそれぞれ別の行動をとることになった。坂本は担任である高橋を革命派に引き込むために、まずは接触すること試みていた。そして金曜日が訪れる。坂本は予定通り、ホームルームが終わると高橋へと話しかけた。
「先生、前にお話していた通り今日はご相談に乗っていただけますか?」
高橋は坂本の顔を見ると、一瞬嫌そうな顔をしたが、
「……もう金曜日か。よしわかった。なら職員室でゆっくりと話すことにするか」
と坂本を職員室へと連れていくことにした。
「ありがとうございます」
坂本は笑顔で答え、高橋の後へと続いていった。その様子を廊下から仙波が見つめていた。
「仙波さん。小春の動きが気になるの?」
仙波は驚いて振り返る。そこには加賀の姿があった。加賀が考えていたことは、生徒会副会長であり、同級生の仙波との接触であった。
仙波は加賀の姿を見て一瞬動揺を見せたが、すぐさま落ち着きを取り戻したようだった。
「どうしたの? 加賀君から話しかけてくるなんて珍しいじゃない」
「そうだっけ? ああ、そうか。確かに最後に話したのは、仙波さんが俺に『白の会を中断させよう』って誘ってきたときだったかもね」
加賀も少し笑顔を浮かべ、余裕を見せた。
「……で? 何か私に用事でもあるの?」
「いや、それを聞きたいのはこっちだよ。最近さ、何かと俺たちのことを見張ってるようじゃん。何か聞きたいことでもあるのかなと思って」
「……見張ってるって?」
仙波の表情が少し曇る。
「あれ? 仙波さんたちの差し金じゃないの? 峰さんとか他のクラスの人も何人か俺たちの行動を見張っているように感じたんだけど」
加賀は、クラスメイトの峰やその他の人たちが、坂本や加賀の行動を見張っていることに気づいていたのだ。そんな素振りは一切見せていなかったことと、まさか加賀に気づかれていたということに仙波は再び動揺した。
「……そのことは坂本さんも気づいているの?」
「さあ? 小春は特に何も言っていなかったからわかんないや。こんなこと俺が言うのもなんだけどさ、あんまり人をそうやって使うのはどうかなって思うよ。何かそのやり方は好きじゃないかな」
加賀の言葉に、仙波は今までに見せたことのないイラだった表情を浮かべた。
「ちょっと待ってよ。自分の立場わかってしゃべってるの? 何で自分たちが監視されてるかくらいわかるでしょ? それくらいのこと自分たちがしようとしてんのよ。自覚ないの?」
明らかに仙波は動揺し、イラ立ちを隠せなくなっていた。そんな仙波と対照的に加賀はまだ余裕の表情を見せていた。
「仙波さんもそうやって怒るんだ。はじめてみたよ」
その加賀の態度がますます仙波をイラつかせる。
「何なの? 話があるならさっさと言ってくれない?」
すると加賀もそれまでの表情とは一変し、真剣な眼差しで仙波を見つめてこう話した。
「……知っての通り、もう俺たちは革命に向かって動きはじめてる。次は本気で革命を起こすつもりだよ。それは何も馬場や仙波さんを見返すためじゃない。本気で革命がこの学校に必要だって思うからだよ。現にバレー部だって変わることが出来た。俺たちは本気だよ」
「そんなこと今更宣言されてもね。私たちはこの学校のためにあなた達のことを止めることが仕事だと思ってるから。あなたちが本気になればなるほど、こっちだってどんな手段を使ってでも止めにかかるよ」
仙波も落ち着きを少し取り戻し、冷静に答えた。
「そっか。それはそれでいいんだけど、何で仙波さんはそんなに革命に反対するの? その理由だけ教えてほしんだけど」
仙波は少しだけ間をおき、加賀へぐっと近づいて小声で答えた。
「知りたい? 私が革命に反対している理由を」
加賀は急に仙波に接近され、逆に動揺してしまった。
「う、うん。知りたいよ」
すると仙波はいつもの落ち着きをすっかり取り戻したように笑顔になった。
「なら今から生徒会室に来て。二人きりで話そうよ」
加賀はごくりとつばを飲み込んだ。
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