30日間の革命 #革命編 36日目
「先生も革命を起こすための仲間になってください」
坂本からの単刀直入な誘いに、高橋は思わず口に含んでいたお茶を噴出した。
「お、お前な、ずいぶんとストレートに言うんだな」
少しむせながら、高橋は噴出したお茶を拭いた。
「もう私たちにはあんまり駆け引きをしている時間はないんです。多分、先生を仲間に出来なきゃ、この革命は失敗です。だから、なんとしても先生には仲間になってもらいます」
坂本はいつになく真剣に、そして強引に話を進めていた。お茶を拭きとった高橋は落ち着きを取り戻し、
「なら、なおさら仲間には入れないな。ここで、その革命ごっこを終わらせよう。それこそ、受験だってもう時間はないんだ。そんなお遊びしてる時間があるなら勉強しろ。お前も加賀もな」
と冷たく突き放した。しかし、坂本は笑顔で
「こっちも遊びじゃないので。先生、もう少しだけお時間大丈夫ですか?」
と冷静に返答した。二人の間にはピンと張り詰めた空気が流れている。
一方で、仙波から生徒会室に誘われた加賀は、警戒しながら生徒会室へと入っていった。久しぶりに生徒会室へ入る加賀だったが、懐かしむ余裕はなかった。仙波があえて二人きりで話をしようというのは、絶対に良い話ではない。恐らく、革命を止めさせるための話しである。加賀は、坂本と違って駆け引きが苦手であったため、仙波に何か言いくるめられないか不安だった。
「そういえば生徒会室に入るのは久しぶりじゃない?」
仙波は生徒会室に入ると加賀へそう話しかけた。
「そ、そうだね。まあ俺が生徒会に入ってた期間はそんな長くないから、そこまでの思い出はないんだけどね」
「そうなの? でも白の会の作戦を立てる時とかはこの生徒会室とかよく使ってたんじゃないの?」
「ま、まあ確かにそんな時もあったけど、普段は生徒会がメインで使ってたからね。そんなに使ってないよ」
「そっかぁ。そういえば、夏休み中に、白の会が体育館に人を集めて集会を行ってたよね? あれもさ、学校には生徒会で使うって名目で借りてたんじゃなかったっけ?」
「そ、そうだったけ?」
加賀は少しとぼけてみせると、仙波は戸棚から帳簿を取り出し、
「ほら、ここ。生徒会の活動報告のところに、文化祭に向けた集会っていう名目で体育館借りてるよ。申請は加賀君がしているみたいね。この日って、まさに集会があった日じゃなかったっけ?」
仙波の質問に加賀はどんどん追い詰められていく。
「……そういえばそうだったっけ」
加賀はそう返答をするので精一杯だった。そして、仙波はそんな様子の加賀を見ながら、諭すように話はじめた。
「加賀君たちはさ、革命を起こすっていう大義名分のために、色々な行動をしてきたと思うんだ。でも、こうやって改めて振り返るとさ、結構自分勝手なことをしてきたって思わない? さっきさ、加賀君は『人を使うのは良くない』って言ってたけど、同じようなことをしてると思わない?」
仙波は加賀を徐々に追い込んでいく。
「もっと言えば、一度革命には反対だって選挙の時に生徒の意見が反映されたでしょ? それでも革命を起こそうとするのは、加賀君たちのわがままでしょ?」
加賀は黙って仙波の話を聞いている。
「加賀君たちはさ、私たちが革命の邪魔をするからって嫌な人に見えるかもしれないけど、みんなからすると逆だと思うよ。ねぇ、もう一回よーく考えてみて。本当に革命が必要なの? 加賀君はさ、坂本さんのために動いているだけじゃないの?」
仙波の質問に加賀はピクッと反応した。そして仙波へと向かって話はじめた。
「それは違うよ。今は本気で革命が必要だって思ってるから、こんな状況でも革命を起こそうと思ってるんだ。例えば、小春が……。もし小春が革命を止めようと言っても、俺はこのまま突き進むよ。それくらいの気持ちを持っている」
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