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30日間の革命 #革命編 177日

 学校内の火災報知器が鳴り止んだ。どうやら教師たちが止めたらしい。そして、続々と体育館の周りに集まってきているのか、教師たちが体育館に向かって叫ぶ声が大きくなってきた。そして、体育館の各扉を叩く音もだんだんと大きくなってくる。それを受け、心配そうにする学生も増え体育館の中は混乱が起き始めていた。

 そんな中、加賀は神原の元へと駆けていった。神原は体育館の端で機材を用意している。白の会の次の作戦は、この状況を全国に届けることだった。自分たちの意志をインターネット上に投稿し、知ってもらう。そのために、神原は撮影機材を準備していた。

 「悪ぃ、遅くなって。準備はどう?」

 加賀は神原のもとへ到着すると、そう声をかけた。

 「いえ、全然大丈夫です。それよりもまずはお疲れ様でした。何とか第一弾は成功しましたね」

 「ああ、何とかね。でも、体育館の外が結構騒がしくなっているし、中にいるみんなも不安がっているから、早めに撮影して投稿しちゃわないと収拾がつかなくなりそうだ」

 「そうですね。外からは何とか防げそうですが、内から外に出たいっていう生徒が増えてきたら防ぎようがないですからね」

 「そうだな。撮影が終わったら、帰りたい学生はすぐに返す予定だから。何とか撮影だけしちゃおう」

 「はい。もうすぐ準備出来るんで、加賀君はステージで準備していてください」

 「了解」

 神原にそう言われ、加賀は再びステージへと戻っていく。ステージでは、3年1組が発表を終えた後の片付けなどを行っていた。そして坂本はクラスメイトたちと話をしていた。加賀は坂本に話しかける。

 「小春、ちょっといい?」

 「うん、どうしたの?」

 「小春と停学前に考えていた作戦を今のところ順調に実行中なんだけど、このまま進めても大丈夫かなと思って」

 「うん、もちろん。このまま突っ走ろう。今はまだ革命が起きる直前だと思うんだ。体育館を占拠したことはまだまだ序章で、この後どう行動するかで本当に革命を起こせるかどうかが決まると思う。この後の動画も、しっかりと撮っていこう」

 「了解。なら、もうすぐ撮影が出来そうだから、準備出来次第、撮影を始めるよ」

 加賀はそう言うと、撮影をする準備を始めようとした。しかし、

 「……ちょっと待って。まだ撮影を始めるのは早いかもしれない」

 と坂本は加賀を呼び止めた。

 「な、何で?」

 「今、撮影を始めて投稿をしても、まだこの状況を全国の人たちは誰も見てくれないと思うんだ。もっと周りが注目をし始めたとき、その時に投稿を開始したほうが届けられると思う」

 「そ、そりゃそうだけど。……どれくらい待つ?」

 「……警察が来るところまでは待ちたいね」

 「け、警察!?」

 加賀は思わず驚いた。

 「ちょっと待って。警察って、そんな大事になったら投稿どころじゃないでしょ」

 「ううん。警察が動くくらいのことがないと、報道も動いてくれないと思うんだ。全国的に報道がされたら、そのタイミングでこっちも動画を流す。そこが一番注目されると思うの」

 「で、でもさ、さすがに先生たちも警察までは呼ばないんじゃないのか?」

 「うん、今はそう思っていると思うよ。まだこの事態をそんなに重くは捉えていない。でも、このまま本気でここに籠城したら先生たちも動かざるを得ないと思う。そこまで耐えよう」

 「それって、どれくらい?」

 「うーん……。少なくとも夜になるまでは待たないと警察までは動かないんじゃないかな」

 「よ、夜って。そしたら内部から外に出たいっていう人も増えちゃうんじゃない?」

 「うん、そうなると思う。でもそこは私たちで何とかしなきゃ。全校生徒が体育館を占拠したっていうこの状態を全国に届けたいんだ。一部の生徒だと、インパクトも薄くなっちゃうからね。そこは私たちが説得して待ってもらおう」

 加賀は改めて坂本の覚悟を目の当たりにした。どこかで加賀の中で、学校を占拠したらそれで十分だという気持ちもあった。しかし、それだけでは革命は起こせない。坂本の目を見て、加賀は唾をゆっくりと飲み込んだ。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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