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30日間の革命 #革命編 63日目

 「私は革命に参加する」

 橋田は手崎に向かって堂々と宣言した。それを聞いた手崎は、開いた口が塞がらない様子で困惑していた。

 「え、え? い、いや、どういうことですか? 今何て言いました?」

 「だから、私は革命に参加するよ。今ハッキリと決めた」

 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。今の私の話、聞いていましたか? このままだと生徒会に女子バレー部も活動中止にさせられるかもしれないんですよ?」

 「うん、しっかり聞いていたよ。そんなふざけた話に従うわけないじゃん。そっちが脅してくるなら、私は全力で抗うよ。そして、そんな生徒会を変えてくれるのが革命なら、私は革命を応援するし、私自身も積極的に参加する。そういうことだよ」

 「いや、でも……。そういうことじゃなくて……あの、何て言えばいいか……」

 手崎は橋田の話を聞き、どうしたらいいかわからなくなっているようだった。それもそのはず。革命と関係ないことを宣言させるはずだったのが、まさか革命に参加することを宣言させてしまったのだから。混乱している手崎を見た橋田は、さらに話を続ける。

 「私は自分の経験で、女子バレー部は変えるべきだって思って頑張ってきた。だから、女子バレー部以外のことは正直どうなろうと、あんまり関心はなかった。革命が起きようが起きまいがどっちでも良かった。でも、今の話を聞いて、変えるべきは女子バレー部だけじゃないって思ったの。何でか分かる?」

 橋田は手崎に問いかけた。不意の問いかけに手崎は少し戸惑いながら、

 「バ、バレー部の活動を理不尽に止められようとされてるから?」

 と答えた。その答えを聞き、橋田はゆっくりと首を横に振る。そして、手崎の手をとりギュッと握ってから口を開いた。

 「ううん。そんなのはどうでもいい。生徒会に何と言われたって抗うよ。私が許せないのは部活のことや私のことじゃない。私の友達が利用されていること。恩を着せて無理やり生徒会の活動に参加させるだけじゃなくて、辛かったことも利用して自分たちの目的を達成させようとしている。そんなこと絶対に許せない」

 橋田は真っすぐ手崎を見つめながら話した。手崎は、

 「と、友達って……?」

 と橋田に問いかけるた。すると、

 「あんたに決まってるじゃない。私が女子バレー部のキャプテンになったら友達になるって約束でしょ? だからあんたは私の友達。そんな友達が自分の気持ちを押し殺して苦しみながらも利用されている姿を見たら、そりゃ私も黙ってられないよ」

 と橋田は穏やかな笑顔を浮かべて答えた。その瞬間、手崎の目から潤み、今にも大粒の涙がこぼれそうになっていた。

 「あんたは何も心配しなくていいよ。今一緒にいる友達も大切にして、今までのように過ごして。私は加賀先輩とか江藤さんに革命に参加することを伝える。それと、女子バレー部としても、一致団結したい。今ちょうど部員たちも変わり始めているの。だから、みんな協力してくれると思う。だから、安心して」

 橋田はそう言うと、握っていた手崎の手を優しく離した。

▼30日間の革命 第一部
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