見出し画像

30日間の革命 #革命編 148日

 手崎が深く頭を下げたところで、神原はカメラを止めた。

 「オッケーです。カメラマン止めました」

 神原は手崎にそう伝えると、手崎は顔を上げた。

 「ありがとうございました。はぁー……緊張した。わ、私上手く話せてましたでしょうか?」

 手崎は神原へと尋ねる。

 「うん。しっかり話せてたよ。むしろ、手崎さんがこんなに話せるなんて知らなかったよ」

 「い、いえ。人前で話すのは苦手なので、い、今も何も考えずに話しました」

 「それなら尚更凄いよ。手崎さんは坂本さんとか加賀くんみたいなタイプなのかもね」

 「え? ど、どういうことですか?」

 「うーん。少し説明は難しいんだけど……。ほら、彼らもさ何か原稿を用意して話したりしないじゃん。思ったことをそのまま話していくんだけど、そっちの方が説得力が出るというか。準備をしてない分、本音で話せてる感じがしてね。あと、雰囲気もかな。話しているときの雰囲気が、どことなく坂本さんに似ているような気がしたかな」

 「そ、そんな……。わ、私なんか足元にも及びませんよ」

 手崎は少し照れたような素振りをみせた。そして、いつも通りの話し方に戻っていた。

 「いやいや、まあ僕の何かが言ってもだけどね。さて、とりあえず動画は撮れたから、これからアップロードして投稿しようと思うけど、大丈夫かな?」

 「は、はい! よろしくお願いします!」

 そうして神原と手崎は部室に戻り、撮影した動画の投稿を始める。そして、準備が整うと

 「これであとはクリックするだけで投稿出来ちゃうけど、本当に投稿しても大丈夫?」

 と、神原は手崎に最終確認を行った。

 「……はい。よろしくお願いします」

 手崎はそう言い、神原に向かって頭を下げた。

 「了解。ならいくね」

 神原は投稿のボタンをクリックした。動画は数秒後、無事に投稿が完了する。

 「よし、無事に投稿出来たよ。正直、どんな反応が返ってくるかは分からない。坂本さんの停学のあと、初めての投稿だから、多分注目は集まると思う。でも、見た人全員が好意的に捉えてはくれないかもしれないよ」

 「はい。それは十分理解しています。例え炎上しちゃっても、それを受け入れる覚悟はあります。革命を起こすんですからね。もう怖がってはいられません」

 「……本当に手崎さん変わったね。凄いよ。……何か俺も負けてられないな」

 「い、いえ。私なんか本当に何もできなくて……。でも、最後まで一緒に頑張りましょうね」

 手崎と神原は笑顔でそう話した。

 手崎の動画は、神原の予想通り投稿してからどんどんと再生回数が伸びていった。坂本の停学を知ってから白の会を退会していった学生たちは、手崎の動画を見て頭を悩ませていた。革命に参加することになれば、坂本同様に処分される可能性が高まる。そうなれば、進学にも大きく影響してしまう。しかし、坂本や加賀、そして手崎の姿を見ると、この学校を変えたいという気持ちもある。

 このまま、今まで通りの学校生活を送るか。それとも革命を起こすのか。

 文化祭まで残り2日。学生たちは、その選択を迫られた。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
マガジン作成しました! 第二部はコチラからご覧ください!

takuma.o

色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!