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30日間の革命 #革命編 126日
加賀は昼休み、1人屋上のベンチへと向かった。屋上のベンチは通常学生達が入れる屋上スペースのさらに1つ上にある。いつもは鍵がかかっていて生徒は入ることは出来ないが、不定期に鍵が空いている時がある。この場所を最初に教えてくれたのは坂本だった。
加賀は誰もいない屋上のベンチに寝そべった。この日の天気は快晴。あの蒸し暑かった夏から気温もだいぶ下がり、少し肌寒い日々が続いている。その分空気は澄んでいて、いつもより空が高く感じた。
「……どうしたらいいんだろ、これから」
加賀はそうつぶやいた。革命を実行に移す直前の出来事。それも今まで自分たちを引っ張ってくれてきた坂本の停学。今はまだクラスメイトしか知らないが、これが学校中に知れ渡ればその影響は大きくなることは容易に想像がつく。
革命のシンボル的存在だった坂本がいないとなれば白の会に与える影響力は凄まじく、せっかく集まった人数も減ってしまうだろう。さらに停学の理由が革命を起こそうとしていたことがわかればなおのこと白の会を脱会する人は増える。
また生徒会にとってはこんなチャンスはない。一番の敵であった坂本が不在となれば、ますます馬場たちの影響力は増していく。馬場たちがこの機会を逃すことはないだろう。
色々なことを考えても、やはり「停学」という言葉が重くのしかかる。学校に逆らえば問答無用に処分が下る。それをまざまざと見せられたのだ。これから再び生徒会を中心として、大人に従うことが正しいとされる学校へと戻っていくと考えると悔しさも込み上げた。
少しずつ積み上げてきた革命への動き。数ある失敗を繰り返してようやく生徒たちの意識が変わってきたところだった。
「また選挙のときと同じように失敗に終わるのかな」
かつての失敗が頭をよぎる。しかも今回の失敗は時期的にも挽回できる余地はない。つまりは完全なる失敗ということだ。
加賀は悔しさや虚しさ、不安や苛立ちなど様々な負の感情に飲み込まれていった。そしてやはり頭によぎるのは坂本のことだ。
「こんなときでも小春だったら笑顔でいるのかな。それで『まだ諦めないよ』とか言うんだろうな。……でも今は小春はいないんだ」
どんな時でも強気で決して折れない心を持っていた坂本。選挙に負けたときも彼女はいつも笑顔だった。振り返れば、坂本が最後に見せた涙はこのことを意味していたのか。坂本が初めて負けたと感じたから、あの様に泣いていたのかもしれない。だったら尚更、なぜ声をかけてあげられなかったのか。一番近くにいて、あの違和感を感じていた。最後まで一緒にいながら声をかけることが出来なかった自分が恥ずかしいし、悔しい。
再び加賀は自己嫌悪に陥った。昼休みだが、何も食べる気は起きず、ただただベンチに寝そべっていた。加賀の気持ちとは裏腹に、天気は変わらず快晴だった。
▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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