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30日間の革命 #革命編 190日

 革命に向けて、いよいよ全校生徒の気持ちが一致した。学校を変える。そして日本の教育も変える。その想いは歓声となって現れた。その歓声は体育館の外まで響き渡り、外にいた教師たちの気持ちを不安にさせる。既にこの学校だけで抑えられる事態ではなくなってしまっていることを感じたからだ。

 「や、やっぱりどこかに協力申請しましょう。このままだと埒が明かないですよ」

 一人の教師がそう言った。その言葉に周りにいる職員たちも同意する。

 「とりあえずどこかの業者に頼んで扉を開けてもらうか、最悪警察を呼ぶしかないんじゃないでしょうか?」

 そんな意見まで出始めていた。しかし、それを聞いた鳥越は、

 「ダメだダメだ! 学生が閉じこもったことくらいでそんな大げさなことをするね! 体育館の中には高橋がいるんだろ? 早く開けてもらうように言いなさい!」

 とあくまで学校内で事を収めることにこだわった。

 「た、高橋先生ですけど、体育館を開けるつもりはないって言ってるらしいですよ……」

 一人の教師が恐る恐るそうつぶやいた。

 「何だと!? それはどういうことだ! アイツは教師だろ! 何を考えているんだ全く! もういい! 私が直接高橋と話すから誰か電話でも何でも繋ぐんだ!」

 鳥越はその話しを聞き憤怒した。そして、近くにいた教師に高橋へと電話を繋ぐように支持をする。教師は慌てて携帯を取り出し高橋へと電話をかけた。しばらく呼び出していると、ようやく高橋と電話が繋がった。

 「きょ、教頭。高橋先生と電話がつながりました……」

 「早くよこせ!」

 鳥越は乱雑に携帯を取り、電話に出る。

 「鳥越だ! 早く体育館を開けるんだ!」

 電話に出るや否や、鳥越は頭ごなしに怒鳴りつける。

 「……今度は教頭ですか。はぁ……全くどいつもこいつも」

 高橋は気怠そうにそうつぶやいた。

 「何をごちゃごちゃ言っとるんだ! とにかく早く体育館を開けなさい!」

 「あの、さっきも大友先生に行ったんですが、中から開けるのも難しいんですよ。それに私は開けるつもりもないので」

 「開けるつもりはないってどういうことだ! お前は教師だろ!」

 「ええ、教師です。でも教師としてもここを開けるつもりはありません」

 高橋はキッパリとそう言い切った。

 「……何だと! 貴様、自分が何を言ってるのか分かってるのか! このままだと懲戒免職になるぞ!」

 鳥越は高橋の態度にますます憤怒し、ついに懲戒免職の話しまで持ち出した。

 「……教頭は何かに困るといつもその話しをしますよね。さっき学生たちにも停学“で脅してましたよね。……言っておきますが、いくらそんなことで脅しても、彼らの前じゃ無意味ですよ。もちろん私も気にしてません。むしろ、免職くらい覚悟のうえですよ」

 高橋はあっさりとそう答えた。

 「な、何だと! こんなことで職を失ってもいいのか? それに免職だけで収まるかもわからんぞ! このまま立てこもるなら、警察沙汰にもなりかねん。下手すればお前は逮捕される可能性だってあるんだぞ! それでも良いのか?」

 鳥越は高橋に脅しのつもりで警察の話しを持ち出した。さすがに警察沙汰になると言えば高橋も考え直すものた鳥越は踏んでいた。しかし、

 「……そうですか。では警察を呼んでください」

 とこれもまたあっさりと高橋は答えた。

 「こ、これは脅しじゃないぞ。体育館の中に学生と一緒に立てこもったのなら、逮捕されてもおかしくない。それに警察を呼ぶことなんて簡単に出来る。とにかく考え直せ。何を思ったのかは知らんが、こんなことをしても何にもならんぞ。学生たちにそそのかされたのか? とりあえず体育館を開けなさい。そうすれば警察も呼ばん。な?」

 鳥越は最後は諭すように高橋へと呼びかけた。

 「あ、いえ、警察を呼んでもらって大丈夫ですよ。むしろ学生たちはそれを望んでいるようなので。どのみち警察を呼ぶことになると思うので、呼ぶなら早めにお願いしますね。それでは失礼します」

 高橋はそう言うと、一方的に電話を切った。

 「お、おい! 高橋! ……くそ! 電話を切られた」

 鳥越はそう言うと、乱雑に携帯電話を教師へと返した。

 「教頭、私もさっき高橋を説得したのですがダメでした。……このあとどうしますか?」

 近くにいた大友が鳥越へと話しかける。

 「……今すぐ警察を呼べ!! どうやらあいつらはそれがお望みだそうだ!」

 鳥越はそう叫んだ。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

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