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30日間の革命 #革命編 121日
坂本は涙を拭きながら皆に謝り、そのまま教壇から降りた。それを皆は拍手で迎えた。誰もが温かい光景に見えた。文化祭に向けて一致団結したクラス。何も違和感はない。ただし、それが普通の高校ならば。これから革命を起こそうとしているのに、こんなにも平穏な時間を過ごしていて大丈夫なのか。加賀にはずっとそのことが頭の中に残っていた。
そしてそのまま文化祭に向けての準備は終わり、クラスは解散する。それぞれ帰り支度を済ませ教室を後にしていく。坂本はそれを笑顔で見送った。その様子を加賀も自分の席に座りながら見送っていた。そうして教室に残ったのは坂本と加賀の二人きりとなった。
「……セトは帰らないの?」
まずは坂本から話しかける。
「いや、もう帰るよ。……それにしても小春の泣いてる姿なんて珍しいものを見れたな」
加賀は少し冗談っぽく返した。
「あら、私だって泣くときは泣くわよ。人間なんだからね」
「そっか。クラスもだいぶ盛り上がってたね。さすが小春だよ。選挙に負けた直後のことを考えたらよくここまで出来たなって思う」
「……私だけの力じゃないよ。みんなの協力があったから。私にはそんな力もないしね」
「みんな小春がいるから頑張るんだよ。小春についていけば間違いないってね」
「ううん、そんなことない。もうみんなは自分たちの意志で動けているよ。私なんかいなくても十分に前に進めるよ、きっと」
坂本の言葉には謙遜とも思えぬどこか寂しさを感じることが出来た。
「……革命、成功するよな」
そんな雰囲気を察した加賀は、最後にそう質問した。
「……うん、もちろん。それにもう革命は起こってるよ」
坂本は少し間を置いた後に笑顔でそう答えた。既に革命が起こっているという部分の真意はわからなかったが、加賀はそれ以上深く質問はしなかった。何かあったら坂本から話してくれる。それまでは坂本を信じるしかない。加賀はそう決意していた。
「そうかもね。……よし、俺たちも帰るか!」
「……そうね。なら途中まで一緒に帰ろう」
そうして二人は教室を後にして一緒に下校した。帰り道では他愛もない話で盛り上がった。革命とか白の会とか関係なく、ただの高校生のようにくだらない話しもしながら。そして、別れ道へと到着した。
「なら俺はこっちだから。何か今日は色んな意味で新しい小春を見れた気がするよ」
「私は何も変わらないよ。でも凄い楽しかった。こんなに楽しい時間ならずっと続けばいいのにって初めて思ったよ」
「ははっ、何だよそれ。まあ本番はこれからだからさ、大変だろうけど頑張ろう」
「……そうね」
「……今日は金曜日か。ならまた月曜日だね」
「……うん」
「……なら、またな」
「……うん、またね」
二人ともどこか名残惜しそうに手を振り、それぞれの道へと歩き出した。
▼30日間の革命 第一部
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