見出し画像

営業時代の話㉖

今日は「営業時代の話」をお送りします!

▼第1話はコチラから!

それでは本日もよろしくお願いします!

※登場人物、企業、団体は全てフィクションです。

●営業報告会

毎月末の金曜日に「営業報告会」というものが行われる。これは、その月の営業状況を報告し合い来月に向けて対策などを考えていく会であった。

私は、この会社に入社し初めての営業報告会となる。報告書をまとめマネージャーの藤橋さんに事前にチェックをしてもらう。しかし、藤橋はさっと報告書に目を通すと「あとは報告会で話すよ」とだけ言い、報告書を私に戻した。

(絶対怒られるやつだ……)

私は藤橋さんの様子をみてそう心の中で絶望する。

そして迎えた営業報告会。営業マン数人と、マネージャーの藤橋さんが会議室に揃う。社長は相変わらず遅刻のようだった。

「社長はもう放っておこう。なら今月の営業報告会を始めます。よろしくお願いします」

藤橋さんの号令で営業報告会は始まり、まずは先輩たちが報告を始める。

「今月の新規契約は3本で、来月の目標は5本です」

先輩たちは次々に今月の成果を発表していく。さらには、来月の目標として、具体的に数字を出しながら報告をしていく。

それに対して藤橋さんも的確なアドバイスを行い、会はスムーズに進行していった。そして、いよいよ私の番が回ってきた。

「え、えーと。今月の新規契約は0本でした。……ら、来月には少なくとも2本の契約が取れるように頑張ります」

私は少し声を震わせながら、自身の営業活動について報告をしていく。いくら新人と言えど、中途採用の私が新規契約0本だったことは、先輩たちからも厳しい視線が送られた。

そして、報告が終わると藤橋さんはふぅっとため息をつき口を開く。

「……まず君に言えることは、おどおど話さないこと。今もそうだし、特にお客様の前でね。話を聞いててこっちが不安になるよ? そんなおどおどしていたら」

まさか営業活動のことではなく、話し方について言われるとは思わなかった。確かに緊張はしていたが、そんな初歩的なことで注意されるとは思ってもいなかった。私は恥ずかしくなる。

「まあ、君は入社してまだ間もないからさ、いきなり営業活動について厳しく言わないよ。来月から頑張るしかない。でもさ、話し方は自分の努力次第で変えられるでしょ? もうお客様の前に出てるんだ。学生じゃないんだから、自分で改善点を見つけてどんどん直していかないと、この先厳しいよ」

藤橋さんの言うことはまさにその通りだった。私は何も言い返すことは出来ず、

「はい。わかりました」

と答える。

「それとさ、先月からの課題図書どれくらい読んでるの? あえてこちらから突かないけどさ、そういうのも自分からどんどんとやらないとダメだよ。君の場合は、営業活動うんぬんより、仕事に向かう姿勢を正さないとこの先契約なんて取れないと俺は思う」

次々に藤橋さんからの指摘が入る。そのどれも藤橋さんの言うことは正しかった。

「とりあえず、ますばそこから改善していくように。なら次は本村さん、報告して」

こうして、私の報告は終わった。次に本村さんが報告を始めたが、正直話しの内容は右から左へと抜けていく。自分のふがいなさや恥ずかしさで顔をしっかりと上げることが出来なかった。

その後、全員の報告が終わり会は終了する。

「なら各自来月に向けて動き出すように。よろしくお願いします」

私は会議の片付けなどをするも、心はどっか遠くにいっているようだった。

To be continued…

色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!