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30日間の革命 #革命編 160日
加賀たちの前のクラスの発表が終わり、いよいよ本番を迎える。各自スタンバイが完了すると、棚橋によるアナウンスが会場に流れる。
「次は3年1組による『マクベス』の発表です。これが本文化祭最後の演目です。……それでは皆さん、楽しんでご覧ください。どうぞ」
棚橋のアナウンスが終わると、幕が開いた。加賀はステージの袖にから客席を見た。。学内のイベントとはいえ、これだけの人数に注目され、演技をするというのはやはり緊張する。
しかし、それだけではない。先ほどまでの会場の雰囲気とは少しだけ変わっていることに気づいた。それは、やはり加賀たちが何かを起こすということが生徒たちには知られていたからだろう。この演目が終われば、何が起きる。いや、無理やりにでも何かを起こす。白の会に参加していた学生たちも多数いたため、この発表に対する見方が今までの発表とは別のものとなっていた。
「きれいは汚い、汚いはきれい」
その雰囲気を更に混沌とさせるが如く、『マクベス』の演目が始まる。まずは魔女の3人のセリフから始まった。
「良いは悪いで悪いは良い」
さらに3人の魔女たちはこのセリフも繰り返す。この矛盾する言葉に、マクベスの世界観が現れている。そして、加賀たちが起こそうとしてる革命も、まさにそうだった。何が正しく、何が間違いなのか。まるで魔女たちはここにいる全ての生徒に問いかけるように、何度もそのセリフを繰り返した。
魔女たちの雰囲気に気圧され、会場は一気に『マクベス』の世界へと飲み込まれていく。物語が進んでいくと、マクベス役の加賀も登場した。それまでは優しくも強い一人の武将であったが、魔女たちと出会い、その運命は変わっていく。
「いずれ王になるお方」
と魔女たちに呼びかけられたマクベスは、密かに希望を募らせる。さらには、妻にもそそのかされ、いよいよ主君であるダンカン王を殺害してしまう。加賀はだんだんと変化していくマクベスの様子を見事に演じていた。それは高校生の演劇発表とは思えないほど、鬼気迫るものであった。
「声が聞こえる。『マクベスは眠りを殺した! もう眠れない』と」
加賀のセリフが体育館へと響き渡る。そして、物語も終盤へと差し掛かっていく。
ダンカン王を殺害し、王位へと就いたマクベス。しかし、王を殺害してしまったことに対する恐怖や、周囲への疑心暗鬼が募り暴政を行う。そして、最後は復讐に来たマクダフに倒されてしまう。そうして、この物語は終わりを告げる。最後には再び魔女たちがステージ上へと現れた。
「良いは悪いで悪いは良い」
再びこの言葉が、体育館へと響いていった。
▼30日間の革命 第一部
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