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30日間の革命 #毎日小説91日目

 馬場、そして手崎が白の会から脱退し、残った4人で革命を成し遂げるために動き出さなければならかった。しかし、その道は4人が考えていたよりもはるかに困難なものだった。

 馬場を中心とした白の会に対抗するための組織は、その人数を大きく増やしていった。白の会は進学や就職の妨げになると言い、馬場が生徒会長になればその道を守ると謡いまわった。そこには江藤や仙波も加わり、特に受験を間近に控えた3年生や2年生からの支持を得ていた。また、馬場は同級生からの支持も厚かったため、全学年からの支持を得ていた。

 対して白の会は、集会で反乱を起こされたイメージが強く残り、支持をする人たちの数も減っていた。もともとお祭り気分で白の会に興味を示していた学生も多く、そのほとんどは現実を見て馬場達を指示するようになっていた。また坂本や加賀も生徒会役員を辞任したことにより、「馬場がTOP2を引きずり下ろした」という噂まで流れ、ますます馬場の人気も上がっていた。

 集会から2週間後、再び白の会のメンバーは学校へと集まった。森下は野球部の練習のためか日焼けして肌の色も小麦色になっていた。

 「練習大変そうですね。調子はどうですか?」

 神原は森下へ話しかけた。

 「まあもう最後の夏だからね。みんな気合い入っているよ」

 森下はそう答えた。何気ない会話であるが、二人からはどこか落ち込んでいるような、そんな暗い雰囲気が漂っていた。

 そして、また前回同様に少し遅れて坂本と加賀が教室へとやってきた。

 「また二人でどっか行ってたの? 悪いお知らせとかやめてよ」

 森下は二人へそう話しかけた。

 「悪いお知らせなんてないわよ。生徒会長の再選挙について先生たちと話してきたの。夏休みの後半に登校日があるでしょ。そこで全校集会を開いて、選挙の演説を行うんだって。今回は私と馬場君の一騎打ちなんだけどね。それで、夏休み明けの全校集会後に投票を実施して、新生徒会長を決めるって感じ」

 と坂本が答えると

 「へー。割とタイトなスケジュールなんだね」

 と森下が不思議そうな顔を見せた。

 「まあ学校側も生徒会長が不在の期間をなるべく短くしたいんだよ。なんせこんなこと初めてだからね」

 そんな森下に加賀が荷物を降ろしながら答えた。そして、坂本も荷物をおろし、席につくとあらたまって話はじめた。

 「さて、我々白の会は現在窮地に立っております。多分みんなも気づいていると思うけど、ほとんどの学生は馬場君を指示しているわ。まあ冷静に考えれば、当たり前のことなんだけどね。だけど、だからといって私たちもただ負けを待つわけにはいかないわ。何となく雰囲気を見ればわかるけど、みんな落ち込んでる暇はないよ! 革命なんて、もともと簡単に起こせるものなんかじゃないんだから。私たちの強い気持ちが大事なの。私たちは最後まで、信念をもって行動し続けましょう」

 坂本はいつになく力強く、そして元気にメンバーへと話しかけた。そしていつしか落ち込んでいたメンバーも、

 「まあそうだね。ここまで来たら、派手に転んでやるか」

 と半ばやけくそではあるが、次第に元気が戻ってきているようだった。

 それから、白の会のメンバーはがむしゃらになって革命の必要性を学生へ訴えた。スマートな戦略もなく、ただただ地道に一人ひとりの学生へ話しかけたり、人数が集まらなくても集会を開いたり、地道な行動をひたすら続けた。もちろん振り向いてくれる学生は少なかった。夏休みも後半になれば、受験に向けて特に3年生は必死に勉強をする学生が増えていた。そんな中で白の会の革命に耳を傾ける学生はほとんどいなかった。

 それでも白の会のメンバーは必死に汗をかきながら、行動を続けた。

 そして、夏休み最後の登校日、生徒会長選挙の立候補者演説を迎えた。坂本と馬場の二人が壇上に上がった。

▼30日間の革命 1日目~90日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

takuma,o

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