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30日間の革命 #革命編 58日目

 橋田は一言お詫びをし、屋上から去っていった。

 「ねぇ、何か急に話しかけてきて、何か私たちのこと威圧してなかった?」

 手崎の友人たちは橋田について話はじめた。

 「そうそう。何か睨んできたよね」

 「やっぱり女子バレー部って怖いよね。何か橋田さんがキャプテンになってから”変わった”って言われてるけど、結局今までと同じなんだよ。ほんと辞めて欲しいよねぇ」

 「あれじゃない? 坂本先輩とかの革命に関わってるからじゃないの? やっぱ、あの人たち変だよ。手崎さんも白の会を辞めてよかったよ。あんな人達と一緒にいたんじゃ、成績とかにも関わりそうだよ」

 友人たちは、橋田や坂本たちのことで盛り上がっていた。それを手崎は終始苦笑いで聞いていた。

 「ねぇ、本当に今度会いにいくの? もしかしたら、変なことされるかもしれないし、また革命に無理やり参加させられるかもしれないよ。私たちもついていこっか?」

 「そうだよ。もしかしたら、二人きりとか言いながら、坂本先輩とか加賀先輩とかいるかもよ。もしかしたら、江藤先輩もいるかもしれないよ」

 「あー、あり得るかも! この前だって、急に呼び出されたと思ったら江藤先輩がいたんでしょ。絶対また変なことになるから私たちもついていくよ」

 友人たちの話はどんどんと盛り上がっていく。彼女たちは基本的に馬場たちを支持しており、つまりは反革命派の学生である。手崎が白の会を辞め、生徒会側についたとき、馬場達から紹介されてから行動を共にするようになっていた。今まで一人で過ごすことの多かった手崎にとって、こうやって昼をともに出来る友人が出来たことはとても嬉しかった。しかし、度々坂本や加賀について話題にあがり、そのほとんどは批判的なことばかり。そんなとき、手崎は苦笑いで何とか乗り切っていたが、今回はいつも以上に話がエスカレートしていた。

 「てかさ、馬場君とか仙波さんに報告したほうが良くない? また手崎さんが女子バレー部に絡まれてるって。生徒会で動いてもらってさ活動停止とかに出来ないかな?」

 「あーそれいいかも。ぶっちゃけ、女子バレー部なんて必要ないよね。大して強くもない癖に、学校では威張ってさ。それこそ私たちで署名活動でもして馬場君に提出したら出来そうじゃない?」

 「それいいね! やろうよ!」

 彼女らの話は止まることなく、みんな笑いながら話している。

 「ねぇ、手崎さんもそう思うよね? 一緒にやろうよ」

 その中の一人が手崎へと話しかけた。みんなの注目が一斉に手崎へと集まる。

 「……あのね、私、今回は一人で話を聞いてこようと思うんだ。橋田さんもそんな悪い人じゃないし、多分坂本先輩とかも関係ないと思う。それに、みんなにも予定があると思うから、私のために時間つかってもらうのも悪いし……」

 手崎がそう話すと、先ほどまで盛り上がっていた空気が一瞬固まった。しかし、

 「えー、私たちに気を使わなくてもいいんだよ? 私たちは手崎さんのためなら何でもしようと思ってるから、遠慮しないでよ」

 と全く手崎の話を受け入れてはくれなかった。

 「そうだよ。むしろ私たちがいないと手崎さん、上手く言いくるめられちゃうかもしれないでしょ? 私たちがいれば、もし革命とかに誘われてもちゃんと断るよ。それで、もう二度と関わるなって言ってやるんだ」

 「それいいね! 私も言ってやろうかな」

 「そうだよ! むしろ今まで嫌がらせを受けてきた分をさ、お返ししてやろうと」

 と、再び友人たちは勝手に盛り上がり、手崎は置ていかれていた。

 「ならさ、橋田さんとの話はいつにする? 私がこの後橋田さんに言ってくるよ!」

 友人の一人がそう言うと、

 「……あの! わ、私は大丈夫ですから。一人で話せます。今回は一人で行かせてください。……ごめんなさい」

 と、手崎は少し声を張り上げた。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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