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30日間の革命 #革命編 125日

 坂本の停学を告げられてから授業がそのまま始まった。担任の高橋と入れ替わるように科目の教師がやってきて授業を始めたが、加賀を含め多くのクラスメイトは授業どころではない心境だった。

 (小春が停学になって、これから1ヶ月も学校に来ないのか? 今週の文化祭はどうするんだよ。革命は?)

 加賀は頭の中でひたすらそんなことを考えていた。そして激しい自己嫌悪にも陥る。

 (証拠もあるって、俺がこの前やった配信のことか? それなら小春が停学するんじゃなくて俺が退学すべきだろ。それに先週異変に気づいていながら何で声をかけられなかったんだよ。最後に小春と別れたとき、小春は何か言ってほしそうにしてたじゃないか。そのあと電話もすることも出来なかった……。何やってんだよ俺は)

 まるで授業の内容は頭に入ってこない。加賀はそのまま机に顔を伏せた。そんな加賀の様子を江藤は心配そうに見つめていた。

 そしてあっという間に1限目の授業が終わった。教師が教室を出ていったあと、クラスは坂本のことで話題は持ち切りだった。文化祭をどうするのか。革命のことはどうなるのか。坂本に一番近い加賀に注目が集まったが、机に伏せる加賀に対して誰も話しかけることは出来なかった。クラスは不安と落胆に包まれていた。

 そんな中、江藤は意を決して加賀へと話しかけにいった。

 「セト、大丈夫?」

 江藤がそう話しかけるも、加賀の反応はない。

 「ちょっと、とりあえず起きてよ」

 机に顔を伏せたままの加賀を起こすように江藤は声をかけた。加賀は少し間をおいてからゆっくりと顔を上げた。

 「ショックなのはわかるけど、それはうちらも一緒だから。これからどうしよう」

 「……」

 加賀は顔をあげたものの、江藤の問いにはしばらく答えられずにいた。そして、

 「……ごめん、今はまだどうしたらいいかわからない。まだ頭が混乱してて。ちょっと放課後まで時間ちょうだい」

 と加賀は江藤に言い、再び机に顔を伏せた。

 「……わかった。私も正直まだ混乱してるからまた落ち着いたら話そうね」

 江藤は加賀がかなり落ち込んでいることを悟った。そしてそれ以上は加賀に話しかけるのをやめ、自分の席へと戻っていった。

 それからの授業も加賀は変わらず机に顔を伏せ、ひたすら自問自答を繰り返していた。時折教師から注意されるも一時的に顔をあげ、再び伏せるといったことの繰り返しだった。

 それから時間は経ち、昼休みとなった。加賀はおもむろに立ちあがり教室を出ていく。向かった先は屋上のベンチだった。階段をのぼり、屋上のベンチへと続くドアの前に立つ。ゆっくりとドアノブを回すと、鍵は空いていた。加賀はそのまま屋上のベンチへ進んでいった。

▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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