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30日間の革命 #革命編 56日目

 橋田に声をかけられるも、手崎はそのままその場を去っていった。

 「ごめんね練習中に。変な空気になっちゃったね……」

 加賀は橋田に謝った。

 「い、いえ。私も最初は手崎がいることに気づかなくて。何か割り込んじゃってすいませんでした。江藤さんもすいませんでした」

 橋田も加賀と江藤に向かって頭を下げた。

 「いや、こっちも悪かった。何かカッコ悪いところ見せちゃったな。あんなことしておいて、今更許してくださいなんて、虫がいいよな。手崎の言うことに何も言い返せなかったし……」

 江藤は苦笑いをしながらそうつぶやいた。

 「いえ、カッコ悪いなんて私は思いません。もちろん、私や江藤さんが手崎にやったことって、簡単に許されるものじゃないかもしれませんけど、非を認めて謝ることは、絶対カッコ悪くないと私は思います」

 橋田は力強く江藤へ言い放つ。

 「……橋田。ははっ。橋田にそんなこと言われる日が来るなんて思わなかったよ。すっかりキャプテンになってるじゃん。それに、私よりも”強い”キャプテンに。ありがとな」

 「そ、そんな。私はただ思ったことを言っただけですので……」

 橋田は少し照れている様子だった。

 「中々すぐには気持ちは伝わらないよね。俺もさ、ちょっと考えが甘かったかも。話せばわかるって思ってた。だから、これからも手崎さんと出来るだけ話してみるよ」

 加賀も自分に言い聞かせるように話した。

 「そうですね。……私もずーっと手崎と話さなきゃって思ってましたので、ちょっと私からも今度声をかけてみようと思います。……あ、もう練習なんで体育館に戻りますね。失礼します」

 「練習頑張れよ。期待してるぞ、キャプテン!」

 「はい! ありがとうございます!」

 橋田は江藤の呼びかけに笑顔で答え、体育館へと戻っていった。

 「ふぅ。何か橋田さんに救われたね。江藤ちゃんの言う通り、しっかりとした女子バレー部のキャプテンだよ」

 「そうだね。私がキャプテンをしていたころよりも、ずっと雰囲気がいいよ。これも革命のおかげだと思う。……だから私は手崎にもう一回ちゃんと謝るよ。こんなこと私が言うのは違うかもしれないけど、多分手崎にも馬場達の息はかかっていると思う。だから、駆け引きとかじゃなくて、しっかりと手崎本人と向き合って話してみる」

 「……そうだね。また今度しっかり話にいこう。……お、もうこんな時間か。なら、そろそろ帰ろっか」

 「そうだね」

 そうして、二人は解散した。体育館には女子バレー部の掛け声が響いていた。

▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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