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30日間の革命 #革命編 98日

  「こ、小春!?」

 加賀は思わず声を上げた。まさか隣にいるのが坂本だとは思いもよらなかったからだ。坂本は加賀の方を見ると、少しだけいたずらな笑顔を見せた。

 「な、なんでこんなところにいるんだよ?」

 「ごめんね驚かせちゃって。たまたま歩いてたらセトの姿が見えてね。声をかけようかなって思ったらコンビニに入っていったんだけど、何かやけに目が虚ろだったからしばらく様子を見てたんだ。ずーっと隣にいたのに、全然気づかないんだから」

 「そうだったんだ。なんだよ、声かけてくれればよかったのに」

 「何か声かけづらい雰囲気だったよ。……何かあった?」

 坂本は加賀の顔を覗き込むようにして聞いた。加賀は坂本の顔を見ると、少しだけ照れたのか、目を逸らしてこう言った。

 「べ、別に何かあったって訳じゃないよ。今日も森下とかと色々策を練ってたところだよ」

 「そっか。ならさ、ここで立ち話も店に迷惑がかかるから、飲み物でも買ってちょっと歩かない?」

 坂本はそう言うと、雑誌を置いて飲み物コーナーへと足を進めた。加賀も坂本の後をついていく。そうして二人は飲み物を買い、コンビニを後にした。

 「この前はごめんね。何か少し厳しいこと言っちゃって」

 坂本はペットボトルのキャップを開けながら加賀へと謝った。

 「この前って?」

 「ほら、神原君の件よ。私もセトに神原君のことお願いしていたのに、ちょっと厳しい言い方になっちゃったかなって」

 「あー。俺が退学するってやつね。全然気にしてないよ。むしろ俺から言い出したことだしね。それに、棚橋さんにも悪いなって思って。当初は疑ってたけど、今じゃ江藤ちゃんとすっかり仲良くなって白の会のかかせないメンバーだもんな。仮どころか幹部だよ。彼女は」

 「そうね。でも、よく退学するなんて考えついたわね。もし本当にバレちゃったらどうするつもりなの?」

 「そりゃあ退学するよ。……って威勢よく言ったけど、実際のところどうしようか不安になったんだよな。だからさっきコンビニで情けない顔して立ち尽くしていたんだよ。何かカッコ悪いところ見られたな」

 「そうだったんだ。そりゃ退学なんて言ったら不安になるわよ。でも、今色々と動いているんでしょ? 大丈夫?」

 「うん。今のところはバレずにやっているよ。でもさ、今日写真を投稿したんだ。もちろん白の会ってバレないようにはやったけど、正直ちょっと不安なんだよね。バレるバレないもそうだし、この作戦自体が上手くいくかどうかもね。皆にもあんな威勢のいいこと言った手前、失敗しましたなんて言えないしね。すげー不安だよ」

 加賀は正直な気持ちを坂本へと伝えた。坂本は少しうつむいた後、少しだけ笑顔になってこう答えた。

 「でも正直嬉しいな。セトがそこまで革命に懸けてくれてたなんて。私から誘ったことだけど、皆本当に革命を起こしたいのかどうか、私もちょっと不安だったんだ。でも、弱音は吐いていられないからとにかく動くしかなかった。でも、そんなとき、セトのあの覚悟を聞けて本当に勇気が出たんだよ。私もまだまだ頑張らなきゃってね。だからセトには本当に感謝してるよ。ありがとね」

 周りは薄暗くなり、街灯の明かりが灯り始めた頃だったが、加賀には坂本の笑顔がはっきりと見えた。そして、とても眩しく感じたのだった。

▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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