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30日間の革命 #革命編 16日目

 坂本は加賀の話を聞くと、今度は自身で江藤と話にいくことにした。

 「小春が? ……そっか。もしかしたら結構きつく当たれるかもよ。それか無視されるかも」

 加賀は坂本のことを少し心配するように声をかけた。

 「ええ、もちろんそれも想定している。それも承知のうえで、話しに行こうと思う。明日の放課後、部活終わりの江藤さんを訪ねてみるわ」

 坂本と江藤の接点はこれまであまりなかった。もちろん少しの会話はしたことがあったが、これまで二人でしっかりと会話をしたことはなかった。

 翌日の放課後、坂本は部活終わりの江藤を校門で待っていた。江藤が同級生たちと歩いてきたところに声をかけた。

 「江藤さん、急にごめんね。ちょっとお話しいいかな?」

 江藤は坂本が校門で待っていたこと、そして急に話しかけられたことに驚いた表情を見せた。周りにいた同級生たちも、少し驚いているようで、ヒソヒソと話しをしていた。その様子を見て、江藤は

 「みんな先に帰ってていいよ。少し話してくから」

 と先に同級生たちを帰らせた。

 「ここじゃ何だから、少し座れるところでも行く?」

 坂本が場所の移動を提案すると

 「ここでいいよ。そんな長く話すつもりもないし、手短にお願い出来る?」

 江藤は少し冷たく答えた。その表情は硬く、坂本を警戒しているようだった。

 「……そっか、分かった。なら単刀直入に言うね。一緒にこの学校で革命を起こさない? 江藤さんに仲間になってほしくて、今日は話しかけたの」

 坂本の話しに、更に江藤の表情が一変した。

 「はあ? 何の話かと思ったらまたそれ? 何なの加賀もあんたも。こんなとこで待ち伏せまでして、一緒に革命起こそうってさ、頭おかしいんじゃない?」

 江藤は少し声を荒げた。

 「……落ち着いて話を聞いて欲しい」

 坂本はなだめようとしたが、江藤は止まらない。

 「言わせてもらうけど、私はあんた達の味方になるつもりはないから。何が革命だよ。迷惑なんだよこっちは!」

 誰もいなくなった校庭に江藤の声が響いた。

 「……なんでそんなに怒ってるの?」

 坂本はゆっくりと江藤へと問いかけた。

 「あんたたちがおかしなことばかり言うからでしょ? いい? 私は革命に反対してんのよ。それなのに、あんた達は一緒にやろうって、普通に考えて怒るに決まってるでしょ」

 江藤は坂本へと詰め寄った。

 「ならさ、何で馬場君に革命のことを話さないの?」

 「は?」

 江藤は少し驚いた表情をした。それまでの怒りの表情とは違い、少し動揺しているようだった。

 「セトから聞いたんでしょ? 私たちがまだ革命を起こそうとしていることを。そのことを聞いたのに、江藤さんは馬場君には言ってないよね?」

 「……」

 江藤は坂本の質問に答えられなかった。坂本から目を逸らし、下を向いた。

 「革命のことを馬場君に言えば、すぐにでもこの計画を止められたはず。でも、江藤さんはそれをしなかった。さっきは革命に反対してるって言ってたけど、本当にそうなのかな? 江藤さんの本心を教えてほしいの」

 「……勝手なこと言わないでよ。あんたに何がわかるっていうのよ」

 江藤は先ほどまでの怒って表情とは少し違った、寂しさの混じったような表情を浮かべていた。


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