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30日間の革命 #革命編 32日目
「やっぱさ、難しいんじゃない? 先生を巻き込むことは」
加賀は少し浮かない顔をして坂本へ話しかけた。
「まあ難しいのは難しいと思うけど、これを出来なきゃそもそも革命なんて起こせないよ」
「そうなんだけどさ、あの人が革命を起こそうって言うイメージが全く浮かばないんだよね。それと、どうやって味方にするの? 江藤ちゃんと違ってさ、『一緒に革命を起こしたい』って言っても全く響かないと思うよ」
「それはそうよ。そんなストレートに言うつもりはないわ。ただ、高橋先生の情報がないのも事実。だから接触して、色々と情報を引き出そうとしてるの」
「高橋先生よりもさ、隣のクラスの溝端先生の方が賛成してくれそうじゃない? 何か優しそうだし」
加賀は、隣のクラスの担任の溝端を提案した。
「誰でもいいって訳じゃないわよ。もちろん、溝端先生が味方についてくれるなら、それはそれでいいんだけど。高橋先生が動くかどうかで戦況は大きく変わるわ」
坂本は高橋にこだわっているようだった。
「そうなの? 高橋先生ってさ、言っちゃ悪いけどそんなに学校の中でも偉くないんじゃない? 学年主任ってわけでもないし。だったら、もっと力のある先生の方がいいんじゃない? 例えば、野球部の監督とかさ」
「そういうことじゃないの。権力とか力を巻き込むだけなら、それは本質じゃないわ。結局それで革命を起こしたとしてもまた一部の人間が力を持つ構造は変えられないわ」
「でもさ、何で高橋先生なの?」
加賀は単純な疑問を坂本へとぶつけた。
「高橋先生は、一つの信念があると思うの。権力とか力とかそんなものを気にしない。自分の中で「良い」と思うことにつき進むような感じがするの。例えそれが”革命”だったとしてもね」
坂本は自信をもって答えた。
「ふーん。俺には頑固で偏屈な教師にしか見えないけどねぇ」
加賀は肘をつき、目を細め坂本の話を聞いていた。
「あら、進路を反対されたこと、ずいぶんと根にもってるみたいね」
「そりゃ根にもつよ。あんなに反対されるとは思ってもなかったしね。だから、高橋先生が革命に賛成するなんてこれっぽっちも想像できないんだよ」
「でも、そんな高橋先生が味方についたら心強いんじゃない?」
加賀はうーんと悩んだ。
「まあ。革命と一緒に俺の進路も認めてくれるってんなら味方に入れてあげなくはないけどね」
「なら今回はセトが説得に行く?」
「いやー俺は今回別にやることがあるかね。まずは小春にお願いするよ」
「別のことって?」
「いつも小春ばっかに動いてもらってるからね。俺は俺で、革命のために動こうと思ってね。また詳しくは今度話すよ」
「……そう。なら、今回は少し別行動ってところね。ならお互いやれることに全力をつくしましょう」
そうして二人は別々の行動をするこになった。
▼30日間の革命 第一部
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