30日間の革命 #革命編 152日
翌朝、加賀は5時に目が覚めた。いつも7時過ぎに起きる加賀にとってはかなり早起きであった。いつもならこのまま二度寝をするが、この日だけは布団からすぐに起き上がる。
カーテンを開けると、まだ外は暗い。11月ともなると、日の出の時間が遅くなる。部屋の電気をつけ、学校へ行くための準備を始めた。いつもより時間はたっぷりあるはずなのに、どこか落ちつかない。母や妹とはまだ寝てるのであろう。加賀は、二人を起こさないように静かに家を出た。
いつもの通学路をいつも通りに歩いているが、時間が違えばこんなに景色が違うものなのか。静寂に包まれた住宅街は、どこか別の国に来たかのような感覚だった。そして、太陽はゆっくりと顔を出し始め、街をオレンジ色に染めはじめる。夕日とは少し違った優しい色で。加賀は大きく深呼吸をし、太陽に向かって一礼する。そして、走って学校へと向かった。
6時30分。校門に着いたとき、加賀の時計が指していた時間だ。校門は閉じ、誰もいないグラウンドを覗き、
「さすがに空いてないか」
と加賀はつぶやく。さて、校門が開くのは一体何時で、それまでどこで時間をつぶせばいいのかと頭を悩まさる。その時であった。
「加賀! こっち来いよ!」
校門の横から加賀を呼ぶ声が聞こえた。すぐさま加賀はそちらに目を向ける。そこにいたのは森下だった。
「森下!? こんな時間に何やってんだよ?」
「それはお前もだろ。いいからこっち来いよ! 学校に入れるぞ」
森下はそう言うと、加賀を手招きしてみせた。加賀は、不思議に思いつつ、森下の方へと向かう。校門からグルッと学校の裏側まで回ると、小さな裏門が見えてきた。
「これって?」
加賀は森下へと問いかける。
「ここは裏門でさ、野球部とか他の運動部が朝練のときに通るところだよ。運動部だけが鍵の番号知ってるんだ」
そう言うと、門にかかっていた鍵のダイヤルを回し、門を開けた。
「さすがに学校の中までは7時にならないと入れないけど、部室なら空いてるぞ」
「お、おう、ありがとう。てか、何で森下こんなに早いんだよ? それに何で俺がこの時間に来るってわかったの?」
森下は歩きながら笑って答えた。
「俺は毎朝6時に来てるよ。部活を引退しても、習慣でね。後輩たちの邪魔にならないようひ素振りしたりとか掃除したりとか毎朝やってんだ。それと、何でお前が来るのが分かったかって言えば、それは勘“だな。何となくそんな感じがしてランニングがてら校門に行ったらお前が至ってわけ」
「凄いな。エスパーじゃん」
加賀も笑って答えた。二人は学校が開くまで野球部の部室で過ごした。この日は文化祭のため、野球部の朝練はなく、学校が開くまでの時間を二人で過ごした。すると、森下の携帯電話が鳴った。
「もしもし……。どうしたの? ……まじか!ならそっち行くからちょっと待ってて」
「どしたの? 誰のから?」
森下はニヤッと笑ってから答えた。
「神原がさ、早く着いたけど学校開いてないから困ってるんだと。ちょっと迎えに行ってくるよ」
「神原が!? 今日って早く学校来るとか約束してたっけ?」
「してないよ。多分、みんな考えることは一緒なんだろ」
森下の言う通り、江藤と橋田は既にバレー部の部室に入っていた。そして、棚橋も文化祭実行委員として早めに登校しており、手崎も子の日は早めに登校をしていた。
学校が開く7時になったとき、白の会のメンバーは全員学校に揃っていた。
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