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30日間の革命 #革命編 113日

 加賀の心は既に前を向いていた。例え今回の集会が生徒会にバレていたとしても前に進むしかない。60人を超える人が時間を作って自分の話しを聞いてくれた。加賀にとって、その事実だけでも前に進むには十分過ぎるほど勇気を貰っていた。

 神原はそんな加賀を見て、少し自分を恥じた。とにかくバレないことを最優先に考え、加賀が必死に話しているときも、悪いことばかり考えてしまう。そんな自分が少し嫌になった。

 「どうしたんだよ?またそんなうつむいて」

 加賀はそんな神原の様子を見て少し心配になり声をかけた。

 「……いえ、なんか自分はマイナスなことばかり考えてしまい、ちょっと恥ずかしいなって思いました。変に周りのことを気にしてしまい、いざという時に足が前に進まない。加賀くんや森下くんに比べて役に立たないなって……」

 神原は落ち込んだ様子で答えた。

 「おいおい、何を言ってるんだよ。そもそもこの作戦はお前がいなきゃ出来なかったんだから、そんな落ち込むことないだろ?」

 まずは森下がそう励ました。そして、

 「……森下の言う通り、そもそもこの作戦は神原がいてこそのものだから、役に立たないなんてことはないよ。それにさ、俺たちって割りと突っ走りがちだから、神原が冷静な目で見てくれることが凄い大事なんだよ。白の会に誘ったときもそうだったろ?俺たちが暴走したら止める役割だって。だから自信持っていいんだよ」

 と、加賀も神原へと言葉をかけた。

 「……二人ともありがとうございます。正直、まだ生徒会に手を貸してしまったことに負い目を感じていて、自分は白の会にいていいんだろうかって不安になるときがあるんです。……でも、自分には自分の役割がある。そう思って進むしかないですね。いつも心配かけてすいませんでした」

 神原はそう話しながら、自分にも言い聞かせているようだった。

 「……そうだな。俺も森下も神原も、そして小春も皆違う人間なんだから、役割も違うよ。それぞれの道で前に進めばいいんだからさ。これからもよろしく頼むよ」

 加賀は最後にそう言い、神原の肩を叩いた。その時、屋上のドアが開いた。

 「お疲れ様!やっぱここだった!」

 そう言いながら出てきたのは、棚橋と江藤、そして坂本だった。

 「お疲れ様!セトの演説見てたよ。バッチリだったね」

 江藤は加賀へと駆け寄りそう話した。

 「見ててくれたんだ!めっちゃ緊張してて何を話したか覚えてないけどね」

 加賀は三人の姿を見て、少しリラックスした表情に戻っていた。江藤と棚橋はその後も森下や神原にも話しかけ、その場はワイワイと盛り上がった。そんな様子を少し外れたところで坂本は見守っていた。そして、そんな坂本とふと目があった加賀は、坂本のもとへと歩み寄った。

 「……お疲れ様。本当にカッコ良かったよ」

 坂本は穏やかな笑顔で加賀へと話した。

▼30日間の革命 第一部
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