30日間の革命 #革命編 60日目
橋田と手崎は話をするためにコンビニへと向かったが、しばらく沈黙が続いた。二人きりで話すことは久しぶりだったということと、お互いの立場が変わってしまったことにより少しの気まずさがあった。しかし、その沈黙をまずは橋田が破り、手崎へと話しかけた。
「今日はありがとう。時間遅くなっちゃってごめんね」
手崎は少しうつむいたまま言葉短く答える。
「……いえ。大丈夫です」
「この前も急に話しかけてごめんね。あの後大丈夫だった?」
「……ええ、大丈夫です」
「そっか……」
手崎は必要以上に答えないので、会話がすぐ終わってしまい、再び沈黙が訪れる。そんな状態を橋田はもどかしく思った。頭を掻き、飲んでいたペットボトルと机にドンと置いた。
「あー、何か変な感じ。こんな当たり障りもないことを話すために呼んだんじゃないんだよ。今日はもう気を使うのやめよう。ちゃんと言いたいこと言うから、あんたもそんなうつむいてないで、ちゃんと言いたいことあったら言いなよ」
この重い雰囲気を飛ばすように、橋田は手崎を見つめて勢いよく話した。すると手崎も、
「……わかりました。正直、私も話したいことはたくさんあります。……前みたいに遠慮はしません。言いたいことを言わせていただきます」
「……いいじゃん。ならお互い今から本音で話そう」
橋田は少し笑顔になって答えた。
「なら、私から聞きたいことがあるんだけど、何で急にあの人たちとつるむようになったの? 別に誰とつるもうとそれに文句を言うつもりはないんよ。でも、この前の様子を見たら何か楽しそうじゃないっていうか、無理して一緒にいる感じがしてさ。良かったら教えてくれない?」
橋田の質問に、手崎は少しうつむきかけたが、ぐっと堪え口を開いた。
「……きっかけは白の会を脱退手して、馬場君たち生徒会の人たちと話すようになってから。そしたら、自然とよく話してくれるようになって、気づいたらいつも一緒にいるようになっていました」
「それってさ、もしかしたら馬場が手配したんじゃないの?」
「……そうかもしれません。でも、私は嬉しかったんです。今まで誰にも相手にもされず、空気みたいな存在でしたから。誰かと一緒にご飯食べたり、話したりするのがとっても嬉しかった」
「それなら別に白の会の人たちだってそうじゃない? 坂本先輩とか加賀先輩とかさ」
「それはそうだったんですが、先輩たちは私にとって眩しすぎました。だから、私が横にいることを良く思わない人もいました……」
「……それが私たち女子バレー部だったってことね」
「……はい。だから、私は普通の友達が欲しかった。目立つことなく、普通に笑いあって楽しめる友達がほしかったんです。本音を言えば、橋田さんが言うように、無理している部分もあります。今日だって、この話し合いについてくるって聞かなくて……。でも、それでいいんです。私はこのままの生活が一番なんです」
「……一番か。そんな顔して言われても、本音だとは思えないけどね」
「……なら私も本音を言わせていただきます。橋田さんは約束通り女子バレー部のキャプテンになりましたよね。すごく誇らしかったです。嬉しかったです。だから、もう革命なんて終わりにしてください。もうそれだけで十分だと思います」
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