30日間の革命 #革命編 183日

 高橋は大友との電話を切った。

 「……はぁー。しかし何であんなに怒鳴るかね。やっぱ大友先生は苦手だ」

 そうつぶやくと、高橋は学生たちのところへと戻っていった。

 一方、体育館の外では大友が荒れていた。

 「くそ! 電話を切られた! どーいうことだ! 何で高橋だけ体育館の中にいるんだ!」

 大友は怒鳴り散らすも、他の教師たちはどうすることも出来ずにいる。大友の声だけが響き渡っていた。

 「大友先生、どうしたんだ? そんなに叫んで」

 教頭の鳥越が大友に声をかける。

 「どうもこうもないですよ。高橋先生が今体育館の中にいるんですよ!」

 「な、何だと! ちょうど良いではないか。早く中から開けてもらいなさい」

 「それが高橋先生は開けるつもりはないと言うんですよ!」

 「ど、どういうことだ?」

 「知りませんよ。ただ、言ってしまえばあいつは学生の味方をしているんです。一緒に茶番を楽しんでいるんですよ」

 「な、何だと! あいつは教師だろ? 何でそんな馬鹿なことを」

 「あの騒動を起こしたクラスの担任が高橋なんですよ。理由は知りませんが、うまく丸め込まれたかそそのかされたんでしょう」

 「なんてことだ! 教師のくせに、やっていいことと悪いことも分からんのか」

 鳥越も大友の話を聞いて声を荒げた。

 「……しかしどうしますか? 教師まで一緒にいるなんてことになれば、また更に話しは変わりますよ」

 「当たり前だ! もしそんなことが外部に漏れたらもう娘の学校の信用は地に落ちる。いいか? 何としても外部に漏れる前に終わらせるんだ!」

 「……しかし、扉が開かないんじゃどうにも……」

 「……くそっ」

 鳥越も大友も怒鳴っては見たものの、この後どうすればいいのか分からなかった。ただ呆然と時間だけが過ぎていくのであった。

 体育館の中では、学生たちは相変わらずざわめいていた。体育館を占拠したということが非日常感を出して浮かれている学生もいれば、不安な顔色を隠せずにいる学生もいる。そんなとき、ステージ上に白の会のメンバーが現れた。そして、坂本がマイクを取り全校生徒に向かって話を始める。

 「みんな、まずは協力してくれてありがとう。お陰様で、何とか革命にむけての第一歩を踏み出せました。私たちはこのまま革命に向かってこのまま進んでいきたいと思います」

 坂本が話しだすと、学生たちは静まり全員が坂本に注目した。

 「で、これからのことについてみんなにもしっかりと伝えます。どうか落ち着いて聞いてください」

 坂本はそう言うと、一旦マイクを外して一息つく。そして、すぅっと息を吸ってから再び話し始めた。

 「私たちは、学校を変えること、もっと言えば日本の教育を変えるぐらいの革命を起こそうと思っています。今までのような大人の言いなりで、髪型も服装も縛られるようなものではなく、自分たちが自分たちで考えて動けるような学校に変えていきたい。そのために、今私達が行動を起こしていることを、全国の人たちに知ってもらう必要があります。体育館を占拠しただけでは学校は変えられません。私達が行動を起こしたということを全国の人たちに知ってもらってこそ、世の中に教育の在り方を考えてもらうことや、同年代の学生たちに行動を起こしてもらうことのきっかけになると思うの。だから、この騒ぎがもっと大きくなるまで、みんなでこの体育館に残ってほしいと思ってます」

 すると、その話しを座席で聞いていた馬場が手を挙げた。

 「騒ぎが大きくなるまでって、具体的にはどれくらいなんですか?」

 「質問ありがとう。そうね、具体的なことを言うと、警察沙汰になるまでを考えているわ」

 坂本の言葉に、静まっていた学生たちは再びざわめきはじめた。

▼30日間の革命 第一部
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