見出し画像

30日間の革命 #革命編 146日

 手崎は、これから自分が話すことを動画に録りそれをSNSで流してほしいと神原に頼みに来たのだった。

 「神原先輩、私はこのまま何もせず静観しているわけにはいきません。何か出来ることと考えたとき、自分の口でみんなに話そうと思ったんです」

 突然の手崎の話しに、神原は少しもだけ戸惑った。

 「え、えーと……。つまり、手崎さんがこれから話すことを動画に撮って流してほしいってことだよね? ちなみに話すって何を話すつもりなのかな?」

 「……はい。私の素直な気持ちです。これまで起こってきた出来事とかを踏まえて、学校は変わるべきだと言うことを伝えられたらと思ってます」

 手崎はまっすぐな目をして神原へとそう話した。そのまっすぐな目が、少しだけ坂本と似ていると神原は感じた。

 「……そっか。よ、よし、撮ろう! 今はどんなことでもやるべきだし、手崎さんの話しを聞いて、真剣だってことはわかったよ。でも、一つだけ確認しておくね。動画をネットに流すってことは、すぐに取り消すことは出来ないよ。もしかしたら予想以上に拡散してしまうこともあるし、心無い人からのコメントとかも来るかもしれない。……それでも大丈夫かな?」

 「……はい。中途半端な気持ちではないです。以前加賀先輩がやったオンラインでの集会も見ていて、あれくらいの気持ちや覚悟が必要だってことはわかりました。なので、その辺は大丈夫です」

 「……そっか。手崎さんもあの集会に参加してくれていたんだね。わかったよ。なら機材とか準備するから少しだけ待ってて。その間に話す内容とか整理しておいてね」

 「はい! ありがとうございます!」

 そうして神原は動画撮影の準備を始めた。その間手崎は目を閉じ、心の中で話すことを整理しているようだった。

 「お待たせ! こっちの準備は出来たよ。ちなみに、どこで撮る? ここは部室だからちょっと背景とかごちゃってしちゃうかもしれないけど」

 「そうですね。実はある場所を先におさえているんですが、ついてきていただけますでしょうか?」

 「場所おさえてたんだ! す、すごいね。よし、ならそこへ行こうか」

 そうして二人は部室から移動を始めた。神原はカメラと3脚を持って手崎の後ろをついていく。そして到着したのが図書室だった。

 「と、図書室で撮るの?図書室だと他の人とか来ちゃうんじゃない?」

 「大丈夫です。図書委員の人と話して、今日だけ貸し切りにしてもらいました。さっき場所をおさえたってのはそういうことです!」

 「か、貸し切りに!? ……手崎さんって大人しそうに見えるけど、結構凄いんだね」

 神原はここでも手崎に少しだけ驚かされた。

 そうして二人で図書室に入ると、確かに誰もいない。そして手崎は入り口の鍵を閉め、イスなどを準備し始めた。

 「先輩、この辺のイスに座って話してもいいですか?」

 「あ、ああ大丈夫だよ。ならこの辺にカメラを構えるよ。……しかし、何で図書室なの?」

 神原はカメラをセッティングしながら手崎にそう尋ねた。

 「……ここ図書室は私が入学してから一番お世話になった場所なんです。ここなら私の本心を素直になれなくて話せる。そう思ってこの場所を選びました」

 「……そっか。教えてくれてありがとね。……よし、カメラの準備もできたから、そろそろ撮影を始めよっか。準備はいい?」

 手崎は一度大きく深呼吸をして、

 「はい! 大丈夫です! よろしくお願いします!」

 と応えた。

 「よし、ならカメラ回すね。5秒前、4、3、2、1……」

 神原は手崎にキューを出し、撮影が始まった。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
マガジン作成しました! 第二部はコチラからご覧ください!

takuma.o

色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!