30日間の革命 #革命編 153日

 11月3日。文化の日であるこの祝日に、武蔵中央高校では毎年文化祭が行われる。文化祭と言っても、模擬店を出したりバンドが体育館で演奏したりといったものではない。学生による“演劇賞発表”が行われるのだ。各クラス演目を一つ選び、発表する。そこから優秀賞などが選ばれるといった具合で毎年開催されるのだが、これと言って盛り上がらないのがこの文化祭だった。高校生にもなって、何で皆で演技をしなくちゃいけないのかと言った声が大半であり、他校のように“お化け屋敷”を作ったり、模擬店を出店したり楽しいことをやりたいというのが学生たちの本音であった。なので、この文化祭に熱を入れて取り組む学生は少ない。準備を含めて適当に終わらせてしまう学生がほとんどだった。

 しかし、今年は例年とは少し違う雰囲気を漂わさていた。その一番の理由は“白の会”である。

 「文化祭で革命を起こす」

 多くの学生はこのことを知っていた。白の会がどう動くのか楽しみにしている学生もいれば、無関心な学生もいる。しかし、確実に今までの文化祭とは違った雰囲気であることには間違いなかった。

 「何かさ、去年より朝の準備に来る人多くない?」

 加賀は森下と校内をうろつきながら話しをしていた。

 「確かにな。去年とか、本当みんなやる気なかったよな。先輩とか普通に受験勉強してたし」

 森下も周りの様子を見ながら答えた。時計の針は7時を回っている。学校が開くと二人は野球部の部室から、今度は情報処理部の部室へと移動をしていたのだが、その道すがら他の学生も早く登校して何やら文化祭に向けて最終確認や準備をしている姿を多く見ていたのだ。

 「これも革命と何か関係あるのかな?」

 「さあ、どうだろうな。そうだったら嬉しいけどね」

 そんな会話をしながら情報処理部の部室へとたどり着き、中へと入る。中では神原がパソコンに向かって何やら熱心に見入っていた。

 「何見てんの?」

 加賀は神原へと話しかけた。

 「いや、白の会とか、革命とかのツイートとかがどれくらいあるのかちょっと調べてるんです」

 「おぉ、そっか。で、どう? 結果は?」

 森下がそう尋ねると、

 「うーん……。正直0ですね。坂本さんの一見があってから、みんなこの件に関する投稿がパタッとなくなってしまいましたよ」

 と神原は少し険しい表情で答えた。

 「そっか……。まあ小春が停学になってから色んな噂が飛び交ったもんな。先生たちが学生のツイートとか全部チェッして記録に残してるとかね。それが内申に響くとか心配してる人が結構いたらしいしね」

 加賀はため息をついてからそう話した。

 「でも一つだけ吉報がありますよ」

 「ん? 何なに?」

 「先日投稿した手崎さんの動画です。そんなに長くない動画だったんですが、もう1,000回は再生されてますよ」

 「1,000回!? めっちゃ見られてるじゃん!」

 一般的に言えば、1,000回の再生回数はそんなに多くはない。しかし、特に有名でも何者でない普通の高校がつい先日アップロードした動画が1,000回も見られているというのは、決して少い数字ではなかった。結果として、手崎が上げた動画は大きな反響を呼んでいたのだった。

▼30日間の革命 第一部
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