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30日間の革命 #革命編 175日

 突然現れた坂本は、全校生徒に向かって『革命を起こそう』と呼びかけた。革命に賛同していた学生たちからは拍手が起こる。革命のシンボル的存在だった坂本がここで登場したことで、会場のボルテージは一気に上がっていく。教師たちは必死に鎮めようとするも、もはや数人の力では収拾がつかないほどの盛り上がりを見せ始めていた。そして、先ほどまで座っていた学生たちもどんどんと立ち上がり始めている。その光景を目の当たりにし、加賀は少し腰が抜けた。これほどまでの影響力を間近に見て、圧倒された。坂本の登場、そして、その掛け声でこれほどまでに会場の雰囲気が変わった。

 座席にいた馬場も、同じことを思っていた。元々坂本を超えるため、加賀の話に乗っかっていた。タイミングの良いところで、加賀に取り替わってこの革命を仕切ろうと画策をしていたのだが、坂本の登場でその計画は狂う。しかし、それ以上に坂本の登場で湧く会場を目の当たりにし、改めて坂本の存在感を見せつけられたのだった。さっき自分が動いても、ここまで会場を熱狂させることは出来なかった。ここまで坂本にとって代わり生徒会長を務め、白の会の動きを抑えることで、坂本を超えたと思っていた。しかし、それは間違いだった。圧倒的存在感の前に、自身の負けを認めざるを得なかった。馬場は力なくその場で一人座り込んだ。周りの学生も坂本に熱狂し、馬場が座ったことに気づく者は少なかった。

 坂本の掛け声から数分、先ほどまで立ち上がっていた学生は半々だったが、もう座っている学生はほとんどいない。その様子を見た坂本は、

 「ほらセト、今だよ! 一緒に革命を起こそう!」

 と加賀に向かって笑顔で呼びかけた。

 「う、うん!」

 そして、加賀は再び神原たちに合図を出した。神原は今度こそ、「始まる」とTwitterに投稿した。体育館外に待機していた学生たちはそれを受け、数か所の火災報知器を一斉に鳴らした。そのけたたましい音は体育館まで聞こえてきた。熱狂とともに、体育館にはざわめきが起きる。教師たちは慌てふためき、確認するために、数名の教師は自ら体育館から出ていく。そして、そこに更に混乱を誘うように、森下たちが体育館から一斉に飛び出したりして、教師たちを体育館から出していく。その混乱の中、火災報知器を押した学生たちは体育館に戻ってくる。そして、森下たちも、それを確認すると、自分たちもタイミング良く体育館へと戻る。気づけば、体育館から一人の教師を除いて全員いなくなっていた。その一人とは高橋である。高橋は混乱する体育館を後方から座ってじっくりと眺めており、森下たちはも追い出すことはしなかった。

 そして、教師がいなくなったことを確認した加賀は、

 「今だ! 体育館を締めろ!」

 と大声で呼びかける。森下達はその掛け声で一斉に各扉を施錠する。それだけではなく、あらかじめ用意していた跳び箱などの用具で、扉にバリケードを設置する。そうして各扉が封鎖され、いよいよ学生たちは体育館を占拠することに成功したのだった。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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